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第131話

 翌日、俺の部屋で寝ている颯音を起こさないように部屋を出て兄ちゃんの弁当を作り行く。

 作り終わるころに兄ちゃんがリビングにやってくる。


「兄ちゃん、おはよう」


「おはよう~……」


 大欠伸しながら兄ちゃんは挨拶を返してくる。


「春名……今日も帰りが遅いから弁当はいらないってメモを残していたと思うんだけどさ」


「……え」


 兄ちゃんは冷蔵庫に貼られている一枚の紙を俺に見せる。

 そこには兄ちゃんが言った通りのことが書いてあった。


「気付かなかった……ごめん、兄ちゃん……」


 兄ちゃんは俺の頭に手をそっと置く。


「せっかく作ってくれたし持っていくよ」


「……うん」


 兄ちゃんを見送ると入れ替わりに颯音が部屋から出てきた。


「おはよう春名……」


「眠そうだな。朝飯食うか?」


「うん……顔を洗ってくる……」


 颯音が来る前にパッパッと朝飯を作り一緒に食べる。

 食事中に颯音のスマホが鳴り、画面を見ると颯音は苦い顔をする。


「どうした?」


「母さんから、昼前には帰りなさいって。こういう時は何か頼みごとがある時だからな……」


「頑張れ」


 颯音は溜息を零す。


「これ食べたら帰るよ」


「わかった」


「あと今日ログイン出来ないかも」


「わかった、海都にも伝えておくよ」


 朝飯を食べ終えた颯音は荷物を纏めて帰った。

 粗方掃除を済まして、課題を進めているとスマホが鳴った。

 海都から連絡で、急用が入って海都もこれないようだ。

 てことは、久しぶりに一人か。

 なら、先延ばしにしていたビートルワームたちを進化させよう。

 さっさと今日やる分を終わらせてログインをする。


「さて、どこでやろうか……」


 考えた結果、船でやることに決め転移門に向かう。


「おーい、ハルナ!」


 聞き覚えのある声に名前を呼ばれ、顔を向けると手を振っているグレンさんだった。

 その隣にはベオルさんもいた。エレナさんとユリーナさんはいない様子。

 俺はグレンさんとベオルさんの所にいく。


「グレンさん、ベオルさん、お久しぶりです」


「久しぶりだな。どこか行くところだったのか?」


「海原エリアに行く所です。二人は?」


「俺たちはエレナとユリーナが来るまでぶらぶらしているところだ」


「海原エリアはまだ四つ目の悪魔の島が攻略されてないからフィールドには出れないぞ?」


 俺は首を横に振った。


「船内でテイムした仲間を進化させようかなって思って。四つ目の島、まだ攻略してなかったんですね」


「海中から触手に襲われて船で一気に人を運べないんだとよ」


「なるほど。海原エリアはしばらく離れていたんで情報ありがとうございます」


「いいってことよ」


 グレンさんとベオルさんとしばらく談笑しているとエレナさんとユリーナさんがやってくる。


「あれ? ハルナがいる! おっひさー」


「ハルナ君、お久しぶりです」


 俺の背中を軽く叩くエレナさんと、丁寧にお辞儀するユリーナさん。


「お久しぶりです、エレナさん、ユリーナさん」


「何してたの?」


「ただ話してただけだ」


「そうなんだ。てっきりハルナも誘うのかと思ってた。てか、ハルナはこれから暇だよね!」


 エレナさんに勝手に暇だと思われ俺は苦笑いした。


「暇……じゃないですけど、予定が終われば行けます」


「予定?」


 エレナさんは頭を傾げる。

 俺が言おうとするとベオルさんが説明した。


「テイムした仲間を進化させるそうだ」


「へぇー。あ、モンスターが進化するところを見たことないから見たい!」


「私も見てみたいわ」


 エレナさんとユリーナさんがすごい見てくる。


「ハルナ、俺も多少だが見たいと思ってる」


 ベオルさんも二人の意見に同調する。


「ええ、構いませんよ」


 そういうと三人は喜ぶ。


「グレン、それでいいよね」


「任せる」


「そうと決まれば……どこでやるの?」


「海原エリアです」


「海原エリアならモレルとルーシャも誘おうよ!」


 俺は困った表情を浮かべた。


「ダメなの?」


「ダメ……じゃないですけど、ルーシャさん幼虫が凄く苦手なので……」


「そうでしたね」


「誘うだけ誘ってみようよ!」


「そう、ですね」


 あんまり気乗りしないけど決めるのはルーシャさんだ。誘ってみよう。

 グレンさんたちと転移門を潜り海原エリアに着いた俺たちはルーシャさんが経営している洋菓子店に向かった。



次回の更新は1/22に予定しております。

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