第130話
「春名! こっちこっち!」
「遅えぞ春名」
「悪りぃ、色々あったもんだからさ」
「「色々?」」
「俺のことは置いといて、ドラゴンの情報は見つかったのか?」
秘密にしたかった俺は無理矢理話題を変えた。
「一応情報は見つけたけど、ドラゴンの生息地がエリアの最奥だって」
「もしくは、ダンジョンだそうだ」
「最奥かダンジョン。ダンジョンは見つけないといけないけど、ダンジョンってテイム無理じゃね? 出てくるモンスター全て敵対だし」
「そうなんだよな~……となると最奥か……」
「俺たちじゃちょっと厳しいよね」
「レベル上げしながら目指すか、ワンチャン土曜のアプデの上位職になってだな」
「それがいいかな」
カレンさんに頼るってのもあるけど、こんなことで頼むのはな……ないな。
「よし、春名も来たことだしレベル上げ行くぞー」
「おうー」
「あんま長くは出来ないからな」
また兄ちゃんに怒られたくないから海都には長く出来ないと伝えとく。
「わかった。とりあえず、火山エリアじゃないところにしようぜ」
「それなら樹海エリアに行こうよ」
「そうだな、春名もそれでいいか?」
「おう」
さっきまで居たと言いたかったけど伏せることにした。コガネのレベルも戻ったことだしちょうどいいか。
街の中心にある転移門に向かい樹海エリアに到着。
樹海に行こうと大通りを通っていると凄い形相した、俺に加護のことを聞いてきた女性と取り巻きたちが待ち構えていた。
「ちょっとあんた! ボスモンスターなんて聞いてないんだけど!」
「そりゃあ言ってないですからね、女性としか」
「騙したわね!」
俺は溜息を吐いて肩をすくめた。
「騙してはいませんよ? あのモンスターから認められて貰えるんですよ、俺の特殊なスキルは」
「ボスモンスターに認められるって……有り得ないわ……!」
「有り得たから俺のスキルがあるんですけど……」
俺は溜息をつく。
「あの、用事あるんでそろそろ行きます。行こう二人とも」
「お、おう」
「うん」
「ちょっと待ちなさいよ!」
歩き出そうとしたら女性が俺の腕を掴んで止める。
「これ以上邪魔するなら通報しますけど?」
「……っ!」
睨んでいうと女性は手を離す。
颯音と海都に目で合図をして歩き出した。
後ろでぎゃあぎゃあ騒いでいたけど無視する。次に面倒くさい絡みしてくるなら運営に通報だな。
街を出て樹海に着く前に海都が話しかけてくる。
「面倒くさい奴に絡まてんのな」
「最初はそうでもなかったんだけどね。まぁ次はないけど」
「容赦ないな」
そんな話をしていたら樹海に到着した。
俺はコガネ以外を呼び出し、颯音はヒスイとギンを呼び出す。
「相棒のモンスターいいなぁ~」
「海都も直ぐにテイムが出来るようになるよ、きっと」
「そうだな。……春名、コガネは呼び出さないのか?」
「呼び出すけど、ちょっと二人にびっくりさせたくて最後にしただけさ。コガネ」
俺の前に呼び出されたコガネの大きさに颯音と海都が目を丸くしていた。
「コガネがすっげぇ大きくなってるんだが!」
「進化したんだ! おめでとうコガネ!」
颯音はコガネの頭を撫でる。
「俺らと別行動してたのはこれが目的だったんだな!」
「まぁそんなところ」
「進化したならレベル1だよね。 奥に行かないようにする?」
「いや、大丈夫。コガネは強いし、なんかあればサポートする」
『ハルナのサポートなんてなくても平気』
「そうだけど、念には念をだよコガネ」
『仕方ないな』
「は、春名……」
颯音に呼ばれて振り返ると、颯音は口をパクパクさせていた。
「い、今共鳴なしでコガネと話してた……?」
「あーそっか。伝え忘れていたことがあったな」
俺は颯音に【念話】のことを伝えると、颯音は目をキラキラさせる。
「ヒスイ! ギン! レベル上げに行くぞ!」
「「ワフ!」」
ヒスイとギンを連れて颯音は樹海に駆けていく。
「本当に羨ましい……」
「カンストまで頑張ろうぜ海都」
「はいよ」
颯音の後を追って俺と海都は樹海に入る。
結局レベル上げは深夜まで続いたのだった。
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