表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/433

第127話

 夕飯を終えた俺と颯音は、待ち合わせした時間にログインした。


「よっ! 待ってたぜ!」


「先に来てたのか?」


「まぁ、ちょっとな」


 困惑した表情をする海都。聞かない方がいいな。


「これから何する? レベル上げ?」


「俺はドラゴン探しに火山エリアに行きたい」


「春名もそれでいい?」


「……わりぃ、ちょっと寄るところあるから別行動するわ」


「寄るところ?」


 颯音が首を傾げて聞いてくる。


「秘密の場所。先行ってて」


「わかった」


「さっさと来いよ」


 桟橋から移動して転移門に向かう。

 火山エリアに行く颯音と海都を見送り俺は樹海エリアに向かった。


「よし、さっさと行こう」


 街中で声を掛けられないように気配遮断とクモガネのスキル【凍てつく鱗粉】を使って街中を走って樹海に向かった。

 樹海に到着した俺はスキルを解除してマップを開き、目的地の場所を確かめる。

 今から行く場所は俺に装備や加護をくれたボスモンスターがいるところだ。

 会いに行くわけじゃないけど、あそこの周辺には花が沢山咲いている。蜂蜜を集めるには絶好の場所だ。

 なんで行くのかというと、さっきインベントリを見たら蜜が少なくなっていたからだ。 

 クイーンビーのところで貰えばいいけど、シロガネが知らないところで会いたくないから今回は行かない。

 ドラゴン探しの後でもよかったけど、正直に言うと火山エリアに少し飽きていたのもあるから、蜜集めを優先にしたんだ。二人は言う気はないけど。


「コガネ」


 俺はコガネを呼び出した。


「シュ?」


 辺りをキョロキョロしてから足で自身を指して見上げてくる。

 僕だけ呼んだのって言いたげだな。

 木に登っていこうと思ったけど、まぁいいか。

 俺は全員を呼び出した。

 コガネとシロガネとクロガネは好き勝手に動き、クモガネとアカガネとアオガネは俺の周りに集まる。


「キュン」


「キュゥ」


「シ、シャ」


 アオガネは緊張した様子だけどクモガネとアカガネは和気あいあいと話している。


「ほら、みんな行くぞ」


 そう言うとコガネとシロガネ、クモガネとクロガネは共鳴を使った。


「シ、シャ?」


 急にコガネたちが消えて狼狽えるアオガネ。俺は頭を撫でる。


「大丈夫、みんないるから。アカガネ、俺の背中に掴まって」


「キュン」


 アカガネが背中に掴また。


「アオガネも掴まっ、て……」


「シャ」


 アオガネに指示する前に、アオガネは俺の腰に巻きつく。なんかベルトみたいだな。


「しっかり掴まってろよ、コガネ」


『はいはい』


 コガネが吸い込まれた黄色い球体が俺の前に来て、両手を伸ばし触れると、両手がコガネとの特殊な革手袋に変わった。

 ワイヤーを頭上の枝に伸ばし一気に上がる。そのまま、枝を伝って目的の場所に向かった。


「だ、誰か!」


「助けて!」


 しばらく移動していると地上から助けを呼んでいる女性の声が聞こえ足を止めて見下ろすと、二人の女性のプレイヤーは木製の盾を持ったゴブリンとボロボロで切れ味が悪そうな短剣を持ったゴブリンが二体。それと、杖を持ったマジックゴブリン一体に囲まれていた。

 さて、女性プレイヤーは腰を抜かして動けないでいる。

 ゴブリンたちのレベルは30と低い。助けれなくもない。


『ハルナ、あいつ倒したい』


 真面目な口調でコガネがいう。

 コガネが感情的なの初めてただ。

 コガネのレベル的に問題けど。


「サポート居るか?」


『いらない』


 そう尋ねると、コガネは共鳴を解除してゴブリンたちの頭上に移動していく。


『行かせて大丈夫なの?』


 シロガネが心配そうに聞いてくる。


「コガネは強いから心配ないさ。まぁやばかったらフォローするさ」


 そう言っている間にコガネはゴブリンたちの頭上に到着した。

 じりじりと女性プレイヤーに近づいていくゴブリンたち。

 様子を窺っているコガネは動き出し、先頭にいる盾を持ったゴブリンに糸を巻き付け、マグロの一本釣りのように引き上げた。


「ギャア?」 


「「え?」」


 ゴブリンと女性プレイヤーが見上げた瞬間、激しい音とともに電気が迸る。

 焼き焦げて煙を上げるゴブリンが両者の間に落ちて直ぐに消滅した。容赦ないなコガネ。


「「ひっ!?」」


 丸焦げのゴブリンを目の当たりにして女性プレイヤーは悲鳴を上げた。 


「ギャア!」


 マジックゴブリンが頭上に向かって火の玉を飛ばすがコガネは避けて両者の間に飛び出した。


「「蜘蛛ッ!?」」


 コガネの姿を見た途端、二人の女性プレイヤーは目を回し気絶した。


「シュ!」


『コガネがあいつらを回収してくれって』


「分かってる」


 俺は急いで枝から降りコガネの元に行く。

 俺は二人を抱えたけど重くて持ち上げれない。仕方なく糸で括って翅を展開する。

 ゴブリンたちを牽制しているコガネに視線を送る。


「コガネ、全力でやっちゃえ」


 コガネは返事はしなかったが頭を縦に振ったように見えた。

 体が浮き二人を頑張って持ち上げ、全力でその場から離れた。

 大分離れると空がどんどんと暗くなっていき、ゴロゴロと音が鳴り、コガネが居たところに雷が落ちた。



次回の更新は1/13に予定しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ