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第111話

 戦いが終わると生成されていたステージが消えていく。ステージが消えたことで武器を解除され、武器と共にコガネたちは紋章に戻っていく。

 おっさんたちが伸びているところを視線を向けると誰も居なかった。


「あれ? おっさんたちいないな……」


 逃げたのかと思っていると空間が歪み、そこから紳士服のドウジマさんが姿を見せる。


「お疲れ様でしたハルナ様。素晴らしい戦いでした」


「見てたのなら止めてくださいよ……」


「基本的に私たちは不干渉ですので申し訳ありません。ですが、ご安心ください。ガント様一味はアカウント完全停止させましたので」


「アカウント停止って……やり過ぎなんでは……?」


「いえ、ハルナ様以外にも被害を受けてるプレイヤーから相談がありまして、前回ハルナ様から通報を受けて数週間のアカウント停止のペナルティを課したのですが、反省する様子もなくこの様な事態が起きてしまったとのことで、GM総意によりアカウント完全停止となったのです」


「なるほど……」 


「もうログインはしないと思いますので、安心してこの世界を楽しんでください」


 一礼してからドウジマさんは姿を消した。

 まぁ、何はともあれ、これでのんびり遊べるな!


「あ、あの……」


 知らない男性のプレイヤーから声をかけられる。初期装備ってことは初めて間もないかな。


「何か用ですか?」


「えっと、あの……」


 男性プレイヤーはおどおどしててなかなか用件を話してくれない。


「さっきのモンスターのこと教えてくれ!」


 すると、横から別のプレイヤーが聞いてくる。

 それを皮切りに沢山のプレイヤーがコガネたちのことを聞いてきた。

 対処に困っていると首根っこを掴まれ、見上げると少し怒っている表情したカレンさんだった。


「聞きたい者は順番に聞け! 一斉に話されても迷惑だ!」


 カレンさんの澄んだ声が響き辺りが静かになる。


「ありがとうございますカレンさん、あとは俺がやります」


 カレンさんは俺を見てから頷き一歩後ろに下がった。


「えっと、あとで攻略掲示板の方に載せますのでそこで見てください。それじゃ俺たちはこれで」


 一礼してからカレンさんを連れて、一旦海原エリアに向かい、なるべく人目を避けながら桟橋に到着。インベントリから船を取り出して海面に浮かべる。


「どうぞ、この中なら俺のフレンドしか来ないんで」


「邪魔する」


 船内に入り、カレンさんにソファに座ってもらい飲み物を渡す。

 コガネたちを呼び出して食べ物をあげる。ついでに、ビートルワームを六体も呼び出して蜂蜜を沢山あげた。蜂蜜の在庫ほとんどなくなったな、シロガネに集めもらわないとな。


「美味いな……」


 一口飲んだカレンさんが呟く。


「それ、知り合いのお店で販売してるんですよ。気に入ったのなら、紹介しましょうか?」


「頼む」


 カレンさんはまた一口啜った。

 俺はカレンさんとは反対側のソファに座る。


「さっきはありがとうございましたカレンさん、助かりました」


「気にするな、見てて不快に思っただけだ」


 それよりも、とカレンさんは続ける。


「先程の戦い良かったぞ、共鳴技と聞こえたのだが……」


「コガネたちとの共鳴技です」


「モンスターとも出来るのだな……」


「出来るって言っても俺からは使えないのでコガネたち次第です」


「あの空を飛んだのも共鳴技なのか?」


「ちょっと違うんですが……まぁそんなところです」


「そうか……あの、ハルナ……」


 もじもじしだすカレンさん。

 雰囲気が一気に変わり俺は戸惑った。


「な、なんでしょう?」


「可能で有ればいいんだが……私を空に連れて行ってくれないか!」


「そんなことですか、構いませんよ」


 俺は立ち上がって食べているクモガネに近づく。


「クモガネ、食べてる時に悪い」


「キュゥ?」


 クモガネは見上げて頭を傾げる。


「カレンさんを空に連れていきたいから、【共鳴】をしてもらっていいか?」


 クモガネは俺を見てからカレンさんを見る。もう一度俺を見てから食事を再開した。


「クモガネ?」


 呼び掛けてもクモガネは反応してくれない。あれ? いつもなら共鳴をしてくれるのにどうしたんだろう。


「キシャ!」


 近くにいたクロガネに頭突きをされた。


「痛っ! 何すんだよクロガネ……」


 ぷいっとクロガネはそっぽを向く。なんなんだよ……


「ごめんなさいカレンさん、今はしたくないっぽいみたいで」


「そうか……」


 肩を落として落ち込むカレンさん。


「機会があれば空に連れて行きますよ」


「わかった……」


 俺はクモガネの頭を撫でてからソファに戻る。


「それで、テイムが出来るかどうか見てもらいたいって言っていましたが」


「詳細は追って話すから火山エリアに着いてきてくれ」


「火山エリアか……構いませんよ。ただ、初めてなもんで全然詳しくないんです。足を引っ張っちゃう可能性が」


「大丈夫だ、私が一掃する」


 自信満々で放ったカレンさんの言葉に苦笑いする。頼もしいなこの人。


「分かりました、それじゃ行きますか」


「うむ!」


 呼び出したコガネたちを戻してから、転移門を潜り火山エリアに向かった。




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