第101話
沼地エリアの街並みは樹海エリアの街並みとほとんど似ているけど、何処となく暗い感じがする。
それに、プレイヤーの姿が全然見かけない。
事前に調べたけど、この沼地エリアに出てくるモンスターは多種多様な状態異常を付与してくる。そのせいで、攻略が困難な場所で一番人気がなくプレイヤーの数が少ないエリアだ。
まぁその分、希少なアイテムが手に入るらしいけど、面倒臭さが勝るんだろうな。
「ハルナ、あっちの店で状態異常系を治すアイテムが売ってるぜ」
カイトが指差して店を案内する。
「そうなんだ。俺は大丈夫だからいいかな、カイトの方が必要じゃない?」
「買いに行くけど、どういうことだ?」
俺は耳打ちで聖天道虫のマントの効果を伝えると、カイトは目を見開く。
「なんだそのチート装備は!? ズル過ぎだろう!!」
「ははは、偶然手に入れたぜ」
「運良過ぎだろう! その運を俺に分けてくれ!」
「嫌だ、ほらお店に行こうぜ」
「はぁー……わかった」
カイトについて行きお店に入る。
カイトが買っている間に店内を見て回る。
色々のアイテムがあるな。あ、耐性を持っていないアイテムがある。一応、そういうのも買っておこう。備えあれば憂いなしって言うしね。
「お待たせ、そろそろ行こうか」
「おう」
お店を出ると空から球体の機械が降りてくる。このエリアの案内役だな。
「沼地エリアにようこそ! 私案内役を務めさせて頂きますカルトと申します!」
俺はカルトにプレイヤーカードを見せると、カルトはスキャンし始める。
「ご協力感謝。なにかお困りなことがあればヘルプ機能をご利用ください」
「あ、早速聞いてもいい? クワガタみたいなモンスターがいるところってわかるかな?」
「少々お待ちください」
少し経つとカルトにマップを開くように言われ、開くとマップに青い色の円が描かれていた。この街から大分離れているな。
「その青い色の円の範囲の何処かにいると思われます」
「そんなことも出来るんだ、凄い機能だな! 助かったよカルト」
「いえいえ、お仕事ですので。他にお困りのことはございますか?」
「特にないかな」
「また何かあればヘルプ機能をお使いください」
そう言ってカルトは飛び去っていく。
「ヘルプ機能って意外と便利なんだな」
「便利だから使ってあげて。フィールドに出るにはどうするんだ?」
「樹海エリアと同じく外壁にある門を通って外に行けるぜ」
「了解、じゃあ行きますか」
屋台は開いているけど静かな大通りを抜けて門を潜ってフィールドに出る。
湿地が広がるフィールドを俺たちは慎重に進んで行く。
「ハルナ、この先の水場にモンスターが二体いる。イビルアリゲーターって名前のモンスターだ。レベルはどちらも30」
「相変わらずの広範囲索敵能力だな。前使ったアストラルファイアーだっけ? それで倒せそう?」
「無理だ、水の中に潜っているから当たらない」
「そうか……そいつらの周りに他モンスターは?」
カイトは首を横に振る。それなら行けるかな。
俺はコガネを呼び出す。
「シュ……?!」
呼び出したコガネは慌てて俺にしがみつくいて、直ぐに体を光の粒子に変え武器に吸い込まれていき特殊な革手袋に変わる。
『ここ、なんなの? 地面気持ち悪い……なんでこんなところで呼び出すのさ!』
「それは後で謝るから、力を貸してくれ」
『今謝って』
「あとで謝る――」
『今!!』
俺は内心溜息をつく。
「こんなところで呼び出してしまいすみませんでした」
『うん、許そう!』
少しだけ、ほんの少しだけイラっとしてしまったが我慢だ。
『で、なにするの?』
「電気を流して水中にいるイビルアリゲーターを一網打尽にするんだ」
『任せて!』
俺はワイヤーを伸ばしてイビルアリゲーターが潜んでいる水場にワイヤーを浸ける。
「【共鳴技・スパイダースネットスパーク】!」
ワイヤーに電気が流れ水中で光が点滅する。
しばらくすると、二体のイビルアリゲーターがひっくり返った状態で浮き上がってくる。
気絶しているイビルアリゲーターの残り体力を削って倒し切る。
「なんだ今の? 共鳴技って言っていたような……」
「さっき呼び出した蜘蛛のモンスターのコガネとの共鳴技だよ。他の仲間も落ち着いたら紹介するから先を急ごう」
「了解」