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第100話

「春名、おはよう」


 朝飯を食べているとスーツ姿の兄ちゃんがリビングにやってくる。


「兄ちゃんおはよう、今日は仕事?」


「今日も帰りが遅くなるから」


「そうなんだ、朝飯食べる?」


「いや、あっちで食べる」


「あっち? あ、職場ってこと?」


「ああ」


「まだ時間ある?」


 兄ちゃんは腕時計を見る。


「一応あるけど?」


「ちょっと待ってて」


 俺は急いでキッチンに向かい、冷蔵庫から適当におかずを取り出して弁当箱に詰める。

 別の段にご飯を詰めてから蓋を閉じて弁当袋に仕舞う。


「兄ちゃんお待たせ、あっちで食べて」


「え、あ、ありがとう……それじゃ行ってきます」


「いってらっしゃい!」


 兄ちゃんを見送ってから残り朝飯を食べる。その間に、颯音に連絡する。

 直ぐに返信が来て、昼に予定が入って夕方ぐらいになりそうとのこと。

 先に行ってると返信して、食器を流し置いてからゲームにログインした。


「さて、行く前に色々と準備しますか」


 最初に行くのはルーシャさんの店。コガネたちにあげた分の補充だ。

 道なりに進んで中層にあるルーシャさんの店の前に到着。店内に入るとNPCの従業員がレジに立っていた。


「いらっしゃいませ、お決まりですか?」


「すいません、ルーシャさんっていますか?」


「店長ですか? 今は不在ですね」


「そうですか。それじゃ注文いいですか?」


「はい!」


 代金を支払ってルーシャさんのお店を後にする。そのあと、中層のお店で適当に買い込む。


「あとは……いつもの串焼きだけか」


 俺は中層の中央にある転移門を潜り樹海エリアに向かう。

 寄り道せずに串焼き屋に行くと、イベントの時にパーティーを組んでいたカイトが並んでいた。

 俺は後ろから指で肩を突っつく。


「ん? あーハルナか、イベントぶりだな」


「久しぶり~あの後カイト生き残れたのか?」


「聞いてくれよ……」


「あ、先に買ってから聞くよ」


 おじさんに軽く挨拶してからいつも通りに三袋分を購入してから近くにあるベンチに腰掛ける。

 カイトは串焼きを食べる。 


「お、美味いなこれ」


「だろう? うん、美味い」


「お前は買い過ぎだと思うけどな、はぁ……」


 カイトは深いため息をする。


「その様子だと、倒された感じ?」


「……そうだよ」


 カイトはぼそぼそと話し始める。


「あの後、奇跡的に入りたかったクランの人たちと合流したんだけどさ、直ぐにダイヤモンドスネークという大蛇と遭遇したんだ」


 俺は串焼きを一口食べる。


「それで、みんなを逃がすためにクランの人たちに囮役を頼まれて、頑張って引き付けたんだ。結構引き付けたんだけど、結局やられて、イベント終わってからその人たちのところに行ったらさ」


「うん」


「囮役は助かったけど、入団条件に達してないからクランに入れられないって言われたんだ。結構ひどいと思わない?」


「確かにひどいな」


「そのクランに入る気も失せたし、ゲームもやる気が削がれてな……」


「なら、うちに来る? まだクランを作るとか友達と相談してないけど、カイトが来てくれるならすっげぇ嬉しい。それと……」


 俺はカイトに小声で耳打ちをする。


「入ってくれるならモンスターを仲間にする方法を特別に教えるよ」


 カイトは目を見開く。


「本気で言ってるのか?」


「カイトならいいかなって」


「俺が裏切って情報を拡散させるかも知れないぞ?」


「うーん、拡散されても問題ないんだよな~まぁその時はカイトをボコボコにするだけだ」


「発想がこわっ! でも、まぁ」


 カイトは柔らかく微笑んだ。


「お前となら楽しめそうだな。その件、関係なく俺をクランに入れてくれ」


「おう」


 俺とカイトは固く握手を交わした。


「カイト、今日暇?」


「予定は特にないけど」


「夕方に友達もログインしてくるから紹介したいのと、この後一緒に沼地エリアに行かないか?」


「沼地エリアに?」


 カイトは渋い顔をする。


「あそこは状態異常耐性ないとキツイんだよな~それでも行くのか?」


「もちろん」


「わかった、暇だしいいぜ」


「じゃ行こうぜ」


 俺とカイトは転移門を潜って沼地エリアに向かった。



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