秘密護衛開始!
「ハチ様、冒険の方はどうですか」
「えーっと、街から逃げて、新しい仲間を迎え入れて、温泉を発展させて、仕事依頼されて……とりあえず楽しんでます!」
「あの、最初がおかしいと思うのですが……」
「それ言われちゃうと困りますけど……まぁ逃げるのも楽しいじゃないですか」
追う側の楽しさと逃げる側の楽しさ……これはちょっと違うかな?
「まぁハチ様ならそう言いますよね……」
「そういえば、オーブさんは何か楽しみとか無いの?」
こういう時は逆質問でうやむやにするに限る
「楽しみですか?ハチ様が想定を超えてくる事ですね。今回のもそうですが、多分その魔法は防御の運用しか考えられてませんよ」
「……まぁ、オーブさんも楽しませる事が出来たなら僕も嬉しいよ」
ニャラ様しかり、オーブさんしかり、楽しませる相手が居ると張り合いが出てくるなぁ
「とりあえず、もう少しだけ色々試させてもらうね」
「ハチ様の気が済むまでどうぞ」
もう少しだけ調査してみよう
「ありがとうございました。それじゃあ行ってきます!」
「またどうぞ」
結構試してみたから護衛に利用出来そうだ
「護衛の時の恰好はどうしようかな」
一応、ルクレシアさんと一緒に行くつもりだけど、学生服か、白ローブか、流石にNPCが多いだろうからシスター服で行くと悪目立ちしそうだからNGかな。周りに服装を合わせられるテアトルクラウンの服か、ルクレシアさんをお嬢様として利用出来る執事服も選択肢としてはアリだな。シロクマコスチュームは……無いな
「一応その場に合う恰好だな」
まぁその場のノリに合わせて服を選べば良いか
「またご飯とか傷薬とか作っておくか」
護衛の時の万が一を考えて、色々準備しておこう。相手が魔法やスキルを封じてくる可能性もあるし、回復手段が多いに越したことはない
「このくらいあれば大丈夫か」
「うんうん、ちゃんと私の分も用意してて偉い!」
「モルガ師匠?僕がお金を入手出来ない呪いに掛かっている事に感謝した方が良いですよ?じゃ無きゃツケがとんでもない事になってますよ?」
「……」
「……」
モノが無言で仁王立ちで現れたら、モルガ師匠が無言でゆっくり土下座した。一言もしゃべってないけど、「私のお陰だからね?」「感謝しております」みたいな……
「あの……」
「はっ!なんかなんか、勝手にお礼をしてたような……ハチ君にはいつも感謝しておりますー!」
モノがすぐに消えたけど、モルガ師匠のストッパーになってくれそうな存在がこんな近くに居たとは……
「本当ですかねぇ」
「もちろんもちろん!でもやっぱりご飯はこれからも……ね?」
「これからも色々手伝ってくれるなら良いですよ。その内、何かしら起きるかもしれませんからね」
「やるやる!手伝うよ!」
現状、モルガ師匠の方が下っぽく見えるが、普通にそのネームバリューに乗っかってるし、モルガ師匠のお陰で何とかなった場面とかもかなりある。だから実際モルガ師匠に離れられたら困るのは僕の方だし、これからもモルガ師匠は今まで通りのもてなしをしようか
「それじゃあこれから護衛相手に見つからず、護衛してる事もバレない様にしなきゃいけないんですけど、アドバイスか何かありますか?」
「ハチ君ハチ君。私にそんな特殊な状況のアドバイスが出来ると思う?」
「いえ、期待はしてませんよ」
「だよねだよね」
「と言う事で、一応フィフティシアで学校対抗?の模擬試合を見に行く時に護衛して欲しいって事なので、モルガ師匠も良かったらその場に居てくれれば丁度良い隠れ蓑になってくれるかなって」
モルガ師匠をその場に連れて行ければ注目はモルガ師匠の方に行くだろうし、日和って襲撃を止める可能性もあるだろう
「うーんうーん、悪いけどそれは出来ないかな……」
「一応理由を聞いても?」
「えっとえっと、ただの買い物とかお出かけで人に声を掛けられる分には構わないけど、何か式典とか、大会とかに関与するのはあまりしたくないんだよね」
「あぁ……」
元救世主の威厳を悪用するじゃないけど、モルガ師匠が居るからここ凄いですよみたいな宣伝に使われない様にって事か。それなら納得だ
「それなら仕方ないですね。またくだらない事かなと思った弟子をお許しください」
「うむうむ、至らない弟子を許そう!これからも精進して頑張るのだ!」
「はい」
茶番で笑って許してくれている間に必要な物はインベントリに仕舞い、支度する。これですぐにでも行ける
「まぁ、あとは無理しないで時間調整していきますか」
予定を詰め詰めにしない様に余裕を持って今日は止めておこう。あとは当日のお楽しみだ
「ハチさん。準備良いですか?」
「うん、行けるよ。それじゃあ案内よろしくルクレシアさん。私服、結構可愛らしい感じだね。それじゃあ、これにしようかな」
「ありがとうございます。ハチさんも良くお似合いで……とにかく行きましょう!」
ルクレシアさんが私服だからとりあえず学生服も無しだな。ローブも一応止めておこう。お嬢様って感じだし、執事服で良いかな?事情は既に説明して大会は見るけど、ちょっと護衛任務で離れるかもしれないとは伝えておいた
「おっ!ハチ君来たね」
「例の任務を受けます。何か注意事項とか、今日の護衛対象の服装の情報とか有ります?」
「一応これが写真。今の所怪しい奴らは見当たらないけど、まだどうなるかは分からないよ」
会場にルクレシアさんと向かうと眼鏡先生が居たのでクエストを受ける。まずは護衛対象を探しますか
『ヒドゥンエスコート を開始します』




