無慈悲なる慈悲
『称号【慈悲】を入手』
『称号【慈悲】が【無慈悲なる慈悲】にランクアップしました』
久々の称号だ!って【無慈悲なる慈悲】?凄い矛盾してるんですけど?
『【慈悲】 連続で10人以上の人間をキルせずに、無力化に留めて戦闘を終了した際に入手。 あなたの慈悲の心は天使のようですね 相手を無力化した場合でも経験値を入手出来る』
『【無慈悲なる慈悲】 10人以上の同性をキルせずに、致命的な一撃を与えて無力化して戦闘を終了した際に入手。 あなたは慈悲の心が無い鬼なのですか? 相手を無力化した場合でも経験値を入手出来る。同性に対し、ダメージ+5%』
「これは……喜んで良いんだろうか」
敵をキルしなくても経験値を入手出来るのはありがたいけど、天使のような慈悲の心とか言われた直後に人の心とか無いのか?みたいに言われてる……生かしてやるけど金的で気絶させるからとか慈悲があるのか無いのかが微妙なライン……とか?
「とりあえずこの人達は放置して帰るか」
ここで生かしておいてまた力を付けた時に無力化しに来たらその時は経験値稼ぎに使えるかも
「お前……許さない!」
「生き残りですか」
まぁ全員生きてるけども……とにかく反応的には最後の1人といった所だが、最後に残っていたのは子供……うわぁ、やり辛い……
「大人が倒されても退かないその覚悟は見上げた物です。ですが、長く生きる為には戦力差や周囲の状況を見極める事も必要ですよ」
「俺が……俺が頑張らなきゃいけないんだ!」
盗賊にするには勿体無い男気だ
「あなたの勇気に免じてここは退きましょう。因みに、まだ全員生きています。ここで仲間を救うのか、怒りを私にぶつけて、そこに転がっている人達と同じになるか。お好きにどうぞ」
「くっ……」
盗賊を野放しにするのは良くないだろうけど、更生のチャンスは与えるべきだろう。まぁ背後から襲ってくるつもりなら遠慮なく無力化してやるけど
「俺は……無力だ……」
さながら何かの話の主人公みたいだなぁ……まぁ今後関わる事は無いだろうけど一応もう一言だけ声を掛けておくか
「貴方は無力ではありません。貴方には沢山の可能性があります。私に言われて腹が立つかもしれませんが、キチンとした努力を続ければ何かしら才能が開花するでしょう。おっと、もう時間も残されていないのでこれで」
「……」
盗賊の少年に盗賊以外の新しい道があると示したからとりあえずこれでこの子が盗賊から足を洗ってくれれば良いけど、そこまで責任持てないから可能性がある事だけ言えば良いか
「とりあえず無力化だけで経験値が入手出来るようになったのならまた盗賊と戦いたい所だけど……流石に他の盗賊が近くに居るとは思わないからまた別の所に行ってみないとかなぁ……それとも街中で喧嘩してるような奴を止めて経験値稼ぎを……あっ」
どうだろう。今喧嘩祭りやってるかなぁ?
「オラァ!」
「ハッハー!」
「ヒャッハー!」
一度思いついた事を試す為に森からフィフティシアに帰還して、サーディライの街に行くと血の気が多い漢達が殴り合いの喧嘩をしていた。但し、中央広場から出ない様にちゃんとルールを守っている様な感じだ。周りに回復魔法を使う人も居るのか、回復してもらってお金を払ってる人も居る。ああいう商売もあるのか……
「やってるなぁ。丁度良かった」
無力化する事で経験値を得る事が出来るのなら、この喧嘩祭りで数十人を無力化すればレベルアップ出来るかもしれないという事は、【レスト】で寝かせる事でも経験値を得られるのだろうか?それともやっぱりこっちに抵抗してこない様に気絶か恐怖状態にしなきゃダメかな?
「シャラァー!」
「ホアーッ!」
「キエェー!」
この盛り上がり凄いなぁ?今回は僕も参加させてもらうぞぉ!
「それじゃ、行きますか」
流石にお祭りに来ている人を骨折させるのは気が引けるし、吹っ飛ばすくらいが丁度良いか
「ガキは引っ込んでなぁ!」
「【インパク】」
「ふおっ!?」
魔法でおっさんを横に吹き飛ばす。これでこっちにも多少やって来てくれるかな?
「「「うおぉぉぉ!」」」
3人のおじさんがこっちに向かってやって来る。【インパク】で1人上に飛ばし、【受け流し】で近くの木箱に1人突っ込ませ、最後の1人は殴りかかって来る勢いを利用して巴投げでそのまま後方に投げる
「他の奴もドンドンかかってこーい!」
ここは注目してもらう為にちょっと大声でヘイトを集める
「威勢の良いひよっこだなぁ!」
「揉んでやるぜぇ!」
「喧嘩屋の俺様がこの祭りでは主役なん……ぐはぁぁ!?」
喧嘩屋の何とかさんにプロレスの前宙から相手の首を両足ではさみ、引き倒す様に回転するティヘラという技で沈めた
「「「「おぉぉぉぉ……」」」」
周りで見てた人達から感心の声みたいなのが洩れている。ここは相手を気絶させたり、こっちにもっと来てもらう為にプロレス技で攻めて行こうか
「おっしゃぁ!次は俺だ!」
「ぶっ潰してあげますよ!」
次にやってきた商店街のおじさんみたいな人には側転やバク転で接近しながらフランケンシュタイナーで沈める
「「「「うぉぉぉ!」」」」
アクロバットなプロレス技を繰り出す事で周りの人が盛り上がる。盛り上がると注目されたい人が寄って来るという循環のお陰で僕の周りに喧嘩したい人が集まってきた。さぁ、頑張るぞぉ
 




