表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
981/2041

素面の君

「というかコイツなんでここに……まぁいっか。なんか出来るってんならやってみろよ」

 腰を抜かした状態から起き上がるのかと思ったらそのまま胡坐をかいてグビグビっと何処から取り出したのか分からない瓶をラッパ飲みする白い着物の人。恥じらいも何も無いよ……


「ベアベア」

「なんだお前。クマ野郎のくせに礼儀良いな?」

 とりあえずヒポメサギを手土産に玄関前でお辞儀してみたら中に入れてもらえた。まさに田舎の一軒家って感じだな……わぉ、あれは竈か?


「期待はしてないけど、酒の肴になりゃ良いから生じゃ無きゃ良いぞ。生のまま出したら氷漬けにしてやるからな」

「ベアベアー」

 氷漬けか……白い着物を着ていたり、肌も真っ白だし、もしかして雪女さんかな?でも普通に竈とかあったり、生のままは嫌とか言うし、温かい食べ物とか出しても良いんだろうか……


「おっ!あ、ベアベア!」

「ん?」

 危ない危ない。普通に油って書いてある瓶が置いてあってビックリしてしまった。油があると言う事はこれはやっても良いんですよね?


「ベアベアベ~ア」

 調味料は持ってるし、触った感覚で片栗粉らしい粉があったのでそれも使わせてもらう。ヒポメサギの胴体を押して、念の為フンが残らないように…と思ったけどそれは10匹やって全くでなかったので、やらなくて良いみたいだ


「ん~?」

 普通の魚なら内臓を取るべきだけどワカサギは内臓を取らない方がふっくらしてて良いみたいな話を聞いたので、ヒポメサギも多分同じだろう。塩水でヒポメサギを洗って、表面の水気をしっかり取り、片栗粉らしき物を付けて軽くもむ。準備は出来たし竈にも火を入れて油を熱して揚げちゃうぞ~?


「クマ野郎、お前……随分器用だなぁ?」

「ベア!」

 もう既に酔ってるのか、シロクマコスチュームで調理していても器用で済ませる着物の人。もう既に大分判断力落ちてるんじゃないだろうか……


「ベアベア!」

「おっほ!美味そう!では早速……はむっはむっ……んー!ごくごくっ、かぁーっ!」

 最後に塩を振ったヒポメサギの素揚げを食べて瓶のお酒らしき物をラッパ飲みして「かぁーっ!」はちょっと……想像だけど、それは居酒屋に居るおじさんでは?


「んー!んまい!こいつは酒が進むなぁ!」

 無くても普通に飲んでましたよね?


「あら?もう無いのか……いやぁ美味かったぞ。お前やるなぁ?また次も頼むわ!」

「ベ、ベア……」

 ヤバい……この感じ、モルガ師匠にも似た気がする。良いように利用して飯係にされる奴だ


「ヤバい。どうしよ……いつ言うべきだこれ」

 着物の人は酒と肴でお腹いっぱいになったのか、居間で一升瓶片手にお腹をボリボリ掻きながらぐーすか寝てる。部屋も汚れてたのが気になって掃除したけど全く起きる様子が無い。この人とんだダメ人間……ダメ雪女では?


「何か見つけたいとは思ったけど、こういうのだとは思わなかったな……どうしよう?先に進むべきか?」

 もういっその事何も言わずにコッソリ先に進んだ方が良いかな……


「母上……」

「……」

 もう少し様子見しようか




「ふわぁぁぁ……起き抜けの一杯」

「ベアベア」

「うわっ!?なんだお前、まだ居たのか……」

「ベアベア、ベアベアベア」

 ここは一旦水を差しだして酔いを覚まさせよう。少しは話を聞けると良いんだけど


「なんだ?水を飲めって?」

「ベア」

「水なんて飲んだら酔いが冷めるじゃねーか」

「ベアベア」

 それで良いんだよなぁ……正気になれば多少は良くなるかもしれない


「酒だ酒!」

「ベア!」

「邪魔すんなよ!」

「【レスト】」

「ふぇ……」

 これはもう問答無用【レスト】で大人しくさせよう。【レスト】は酔いも解消出来たはずだからこれで30秒経てば素面のこの人の事が分かるハズ……


「つい使ってしまったな……起きたら流石に気付かれるか?」

 ベアベア言って何とか今まで誤魔化してたけど、流石に魔法を使ったから起きた時にバレるかもしれない。少しだけ離れて隠れて様子を見てみよう


「……」

 30秒経ち、ムクリと起き上がった着物の人。左右に揺れたりしてないし、酔っては無さそう……


「……あぁ、ダメだ。死のう」

「ベ、ベア!?」

 いきなり起きてダメだ死のうはマズい。どれだけ追い込まれてるんだ……


「あれ、家にクマなんか居たっけ……クマなんか飼えないよ。あぁでも、私が死ねば死体を喰ってこの世に居た形跡は消してくれるか……」

「ベアー?ベーアベーア…」

 とりあえず元気出してみたいなジェスチャーをしてみるけどダメだ。何かロープ用意しだした


「良く分からないけど、クマさん。死体処理は頼んだよ」

「アッ、ベッベアベア!」

 掃除した後で残り物で軽く作ったご飯を持って来る。これを食べて少し元気出して貰えるかな……


「え、これ君が作ったの?美味しい……」

 さっきとはまるで別人だな……


「あぁ、クマよりご飯作るの下手とかやっぱりもう生きてる価値無いわ……死のう」

 逆効果だコレ!?


「あぁーもう!寒いけど仕方がない!」

「うわぁぁ!?」

 流石にクマよりご飯作るの下手なので死にますなんてされたら目覚めが悪い所の話ではないので、シロクマコスチュームを一時解除して正体を現す事にした



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まーた地雷原でタップダンスっちまったようですねえ〜w それはそうと、つい題名をシラフじゃなくてソーメンと読んだ私は無罪であるw
[一言] これは師匠は点滴ぶっ刺して点滴からの栄養で済ませて、この雪女は自動レストで済ませよう!←
[一言] ハチ君が出会う女性だから何かしらの変な人なんだろうとは思ったけど、別ベクトルでやべぇ奴だった!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ