救援者
「なんか、あっけないな……いや、最初のボスならこういう物か」
オランウータンのそばに寄ったら蔦も寄ってこなかったから遠距離の人が蔦の相手をして近距離の人がオランウータンを叩く。っていうのが攻略法なのかな?まぁ僕は紫電ボードで蔦の上を飛んで行ったからソロでも楽に勝てた。僕より多分レベルが下だから正直体力が多いだけで大したこと無かったな……レベルも上がらなかったし
「うぅ……やっぱりこれは大分疲れるや……」
左右のウェービングで回避とフックの威力を上げるデンプシーロール。ボスのHPを持っていく為に結構長めにやったから中々に疲れた
「よいしょっと」
動かなくなったオランウータンに合掌してからナイフを突き刺す。一応戦った相手だしね?
『森賢人の毛×20 森賢人の皮×12 森賢人のスカート を入手』
一個どうしても見たくない物が混じってるけど……スルーして、とにかく次の街の方に向かおう
「ん?またメッセージ?」
ハスバさんからまたメッセージが届いていた
『救援の者が今ボスの場所に着いたらしい。狼を連れている男が救援の者だ。合言葉は「動物、好きかい?」って聞かれたら「うん、大好きさ!」だ。そいつと一緒に行けばセカンドラの街にいk』
文章が途中で切れている。囮作戦中って事も考えると逃げながらも書いた文なのだろう……自然とボスのフィールドだけど敬礼をしていた。あぁ、空に薄っすら忍者頭巾のハスバさんが見える気がする
「まぁ人が待ってるし、行くか」
ハスバさんなら案外追われている状況を楽しんでいそうだし、そう心配しなくても良いか
ボスフィールドに光の扉……というか穴の様な物が出てきたからあの中に入ればボスフィールドを出る事が出来るのかな?
「いよっと!」
ジャンプして光の穴に入る。すると景色がボスフィールドから一転して目の前に草原が広がっていた。後ろを向けば森があるからちゃんと森を抜ける事が出来たみたいだ
「「うわっ!」」
僕が出てきた場所から左を向いたらモヒカンの男の人が立っていた。モヒカンの人は急に出てきたシロクマにビックリして、僕はトゲトゲ肩パッドを付けた世紀末スタイルな人が居たからビックリした
「く、熊?」
「モヒカン?」
「うおっ喋った!?」
二重で驚くモヒカンさん。だけどそのモヒカンさんの足元に狼が一匹……あれ?この人ひょっとして
「ちょっと待って下さい。これで……」
シロクマコスチュームを脱ぐ。そうすると白いローブに黒い仮面のいつもの姿の僕が出てくる
「はぁ!?あっ!動物、好きかい?」
合言葉だ
「うん、大好きさ!」
だから僕も合言葉を答える
「ハスバからお前さんの事を頼まれたダイコーンだ」
「ハチです。よろしくお願いします」
ダイコーンさんが右手を差し出してきたので僕も右手を出して握手する。あ、仮面も首輪形態にしておこう
「ワンッ(よろしく!)ワンワンッ(僕ははんぺん!)」
白っぽい狼がダイコーンさんの所からこっちに来て自己紹介?してきた。【呼応】の効果かはんぺんの声が聞こえる
「はんぺんって言うのかぁ、よろしくー」
「お前、はんぺんの言葉が分かるのか!?」
「えっ?まぁ……一応?」
「お前も……ハチ君もサモナーなのか!?」
僕の両手を掴んでくるダイコーンさん。世紀末スタイルで迫られると中々に迫力がある
「ワンワンッ(驚いてますよ!)」
「あ、あぁ、すまない」
はんぺんの方がしっかりしてる……
「その、残念かもしれませんが、僕はサモナーじゃ無いんです。スキルの効果で聞こえるだけで……」
「信頼関係の無いサモナー以外でも聞く事が出来るのか!?そんなスキルがあったとは……どんなスキル、あぁ、秘密なんだったか?」
「そこまで伝わってるんですね。はい、秘密です」
どうやらハスバさんが事前に僕の事を説明していたらしい。
「そういえば僕が入る前に4人組が入って行ったんですけど、もうここを通りましたか?」
「4人組?いや、見ていないな?」
「じゃあ早く移動しましょう。僕の方が先に終わったみたいですから後からかち合うのは避けたいです」
せっかくここまで隠密で来れたからこのまま隠密で行きたい
「分かった。一応さっきのを着ておいてくれないか?」
「あ、はーい」
言われた通りにシロクマコスチュームに着替える
「よく見たら中々可愛いな?」
世紀末モヒカンなおじさんに可愛いと言われて喜んで良いのだろうか?
「ま、まぁ……」
「よし!じゃあ今だけハチ君では無くこんにゃくという名前で呼ばせてくれ。俺の召喚獣という扱いで他の人の目を誤魔化そう」
「なるほど、それなら確かにこっちの恰好の方が相応しいですね」
「おっと、人の前では普通に喋らない様に」
「ベ、ベアー?」
「良いじゃないか、それで行こう!」
こうしてダイコーン、はんぺん、こんにゃくのおでんトリオでセカンドラの街を目指す事になった
「やったな!」「勝てた勝てた!」「ちょっと危ない所もあったけどねー?」「蔦に捕まりそうになってたもんね?」
後ろの方で4人組の声が聞こえてくる。どうやら勝てたみたいだ
「ヒャッハー!」
「「「「「!?」」」」」
突然のダイコーンさんのヒャッハーに困惑する4人組と僕。すぐに平静を装う
「どうやら初めてのボスを倒せたみたいだなぁ?回復アイテムは残ってるかぁ?残っていないなら道から逸れずに行くんだぜぇ?」
ただの良い人だこれ