模擬試合の情報
「あー、もうこんな時間だ。そろそろご飯の支度とかしないといけない。それじゃ!」
こういう時は逃げるに限る。にしても、禁書の解析が進んだって事はやっぱりフィフティシアに行く必要があるな。多分修正作業をしたあのナコト写本の解析が進んだって事なのかもしれない。ついでにレイヤーも学びに行くか
「あぁ、行っちゃった……」
「逃げられたな。だが、やはり情報があれば多少は引き付ける事が出来そうだ」
「惜しいわね。もう少し情報を引き出せるかと思ったけど」
「アハハッ、ハチ忙しそうー」
残された4人はそれぞれ今後どう動くか等を思案しながら、個室風呂を後にした
「良く分かりませんが、もうお話は終わってしまったみたいですね……よし!人を集めて入浴剤の調査を進めましょう!これで個別の効果を発見出来れば一儲け出来そうです!」
1人残されたチェルシーも個室風呂から全員出てきて解散したのを見て、入浴剤作りを開始した
「ルクレシアさんは、居ないのかな?」
城を見て回ったけど、ルクレシアさんは見当たらなかった。という事は学園に戻ってるのかな?
「よーし、元々行くつもりだったし、行ってみるか」
一応制服を着て行かないとな。念の為【ヴァルゴ】を掛けてから行くか。それなら何かあっても誤魔化しが効くし
「おらぁ!」
「全く、一度レポートを提出しに来たら急に喧嘩を吹っ掛けてくるとか困りますね」
「えぇ……」
制服を着て、マジナリア魔法学園に行ってみたらいきなり喧嘩?みたいな場面に出会った。というか、喧嘩を売られてる側はルクレシアさんじゃないか?
「くっ、お前ら!」
「「このっ!」」
「そういうのは良くないと思うな【レスト】」
1対1で勝負してるのに仲間に助力を願って背後から攻撃を仕掛けるのは良くないと思うなぁ?
「何っ!?」
「ご助力感謝します!【パラライズボルト】」
「ぐあっ!」
スタンガンみたいな雷を浴びせ喧嘩を売った男が動けなくなる。あれ?この学園ってそういう路上戦闘とかよく発生するの?
「コラー!そこ!許可の無い戦闘行為は止めなさい!」
「そうですね。戦闘行為は良くないですよ」
ここで下手にこの戦闘?に関わっていると思われたら困る……とりあえず僕は関係無い風を装っておこう
「私が見ていた限りですが、あの男子生徒が女子生徒1人相手に3人掛かりで喧嘩を仕掛けていたみたいです。最初は1対1で戦ってたみたいですけど、すぐに背後から2人が攻撃を仕掛けてました。卑劣ですね」
「何!?そのようなのは許せません!その男子生徒達は反省文です!」
反省文とか嫌だねぇ?まぁ僕は関係無いんで、そっちでしっかり反省して欲しい所だ
「ハチさんですか?」
「はいはい、ちょっと用事があったからやってきましたハチさんですよ」
「またそんな恰好で……というかどうしてここに?」
「図書館にでも行こうかなって」
適当にはぐらかしながらどうせ大した用事では無いと言っておく
「それよりもなんでルクレシアさんが喧嘩を売られてたんですか?」
「多分ですが、あの人は私に勝てば自分が学校のトップになるとでも勘違いしたのではないかと。この前学校のルールを変えた後に来た転校生で、「お前に勝てばこの学園のトップなんだろう?」とか何か頭の悪そうな事を言ってました」
うわぁ…なんだろう?勘違いが凄い
「この学園は騎士学校に通ってたけど、魔法の才があると後から分かったとかで転校して来る人もたまに居るので、血の気の多い人も来るんです」
「あぁ、何となく分かりました……」
つまり、これ以上関わらなくてもいい奴だな
「私も空島にいらっしゃった方と会話したりする事でまだ本に載っていない様な事とか知る事が出来たのでそれを纏めたレポートとかを学園に提出する為に一度来たんですが、急に戦えと言われて…なんにしても助かりました」
「まぁ、手助けしなくてもルクレシアさんなら余裕で倒せると思ったけど、手を貸した方が色々と早く終わるかなと思って」
ルクレシアさんだって用事があるだろうから余計な時間を取らせるのは可哀想だし
「お陰で変に時間を取られなくて助かりました。この時期になると騎士学校と魔法学校で模擬試合とかあって、血の気が多い人とかたまに触発されるんですよ」
「模擬試合?」
ちょっと気になるお話が出てきたぞ?
「フィフティシアの王様が剣技を磨き、魔法を磨き、技術を磨いた生徒達が自身の持っている力をぶつけあい、より磨き合う事が更なる成長の糧となるだろうとの事で、半年に一度学校対抗の模擬戦を行っているんです」
ほほう?ちょっと面白そうだな
「色々あって学校対抗だけではなく、剣の腕を競う剣技大会、魔法の腕を競う魔法大会も同時開催になりまして……」
剣対魔法じゃなくて、剣対剣、魔法対魔法もあるんだ。なるほど、なんか触発される人の気持ちも分からないでもない。つまり、この試合に出る為に自分は学校で強いと証明したいんだろう
「出る気は無いけど気になるなぁ」
「それならあと1週間程度でその大会が始まりますけど、見に行きますか?」
「そうだなぁ。ちょっと面白そうだし、見に行きたい」
「分かりました。それなら案内します」
大丈夫かなぁ?ルクレシアさんの取り巻きとか来たらかなりアウェーだぞぉ?




