人造マーメイド
「さて、見せたい物を見せられたのでモルガ師匠、もう天候を元に戻しても良いですよ」
「ほいほい~」
モルガ師匠が杖を振るうと空を覆っていた雲が消えてなくなり、また太陽の光が戻ってきた
「天候操作……本来ならもっと驚くべきなんだろうけど、ハチ君の関係者だとそのくらいは普通に感じてしまうね」
「確かに……ハチさんがボスで登場したら天候くらい変わりそうです……」
そういう演出かぁ……まぁそういうのがあっても良いかもしれない。でも天候を変える魔法は覚えるの大変そうだなぁ……
「あの、ハチさん?」
「あぁ、放置してごめんね。上から見てまだ行ってみたい所とかある?それとももう帰りたい?」
「あ、それならあそこが気になるから行ってみたいぜ!」
「オッケー!それじゃあ気になってる所に連れて行ってあげよう。良い所選びますねぇ」
エギアさんがサーキット場に行ってみたいとの事なんで行ってみよう。今日はレースやってるかな?
「それじゃあ行きますか」
皆を連れて一度展望台から降りる
「ちょっと待ったハチ君」
展望台から降りている途中でハスバさんが声を掛けてきた
「あれ」
ハスバさんが窓から外を指差している所を見てみる。おっと……イクサバンの街でバイバイした4人が空島に来てる。これは……
「トーマ君行こう。ここは私達が注意を引いてハチ君の邪魔をしないようにしよう」
「はい!分かりました!」
僕は何も言ってないのに2人とも前に出て、僕が4人に見つかる前に自分達が先に話しかけに行って注意を引いてくれるみたいだ。ハスバさん本当にこういう時に頼りになるな……
「ハスバさん」
「なんだい?」
こういう時はもう一言しかないでしょう
「死なないでくださいよ」
「おぅ、いきなり死亡フラグ立ててきたねぇ!別にアレを倒してしまっても良いのだろう?」
「更に重ねてませんかそれ……」
あえてハスバさんに死ぬなよ的な事を言ってみて反応を確かめてみたらノリノリで重ねてきた。まぁどっちにしてもここは姿を変えてから城から出ていくとしよう
「よし、じゃあここでちょっと待ってください。そうだな……ヴァイア様、僕に水の球で包んでくれます?」
「うむ。良いぞ」
人魚達3人と同じように水に包まれる。よし、あとはここから……
「えっとテアトルクラウンの服に着替えて、【ヴァルゴ】【バリアント細胞】【アダプタン】」
【ヴァルゴ】で女性体になり、服装をエフィーレさんを真似て若干の露出を多めの服装にする。そして【バリアント細胞】で足をくっ付けて人魚風にしてみてから【アダプタン】で水に適応した手の水かきとかヒレ、人魚特有みたいなヒレ耳?みたいな状態なってかなりエフィーレさんとかに近い感じになったかな
「「「「「えっ!?」」」」」
「よし、じゃあモルガ師匠。ちょっとこのままサーキットの方まで歩いてもらえますか?そうすればかなり怪しまれなくて済むんで」
「いやいや、凄いねハチ君……こんなのも出来るんだ」
「は?え?人魚にもなれんのかよ?」
モルガ師匠とボルカさんも驚いてくれている。ただの変身魔法では無いし、コピーした訳でもないから同じ顔の奴が居るみたいな事でバレる事は無いだろう。もっと言えば、呪枷を何とかしたかった所だな……でも、これも水の中だからある程度誤魔化せるか
「驚かせてしまってすみません。でも、これで多分邪魔も無くサーキット場に行けるんで」
「お、おう……」
「えぇ?ハチさん普通に可愛い……」
「見た目が……」
皆驚いている中で、水の球の中で一回転とかして動きを馴染ませる。【アダプタン】の適応のお陰か無理せず泳げるな。これなら不自然にはならないかな?
「ボルカさんはどうします?」
「そうだな……俺はちょっと別に寄りたい所があるからそっちに行く。流石に人魚4体の他にドラゴンを連れるのは目立ちすぎるだろうからな」
ボルカさん結構ドラゴンの中でも人間的常識を持ち合わせている気がする。ここで目立つから別行動を選んでくれる辺り偉い
「それじゃそれじゃ、気を取り直して行こうか」
モルガ師匠の後ろに4つの水の球が浮き、その中に人魚が4体入った状態で空島の街に繰り出した
「おや?師匠殿ではありませんか。これから散歩でしょうか」
「「……」」
ジェリスさんと白武と黒武だ。3人で街のパトロールでもしてたのかな?そういえば最近白武と黒武を呼び出して無いし、たまには呼ばないとなぁ……今度手合わせしてもらおうかな?
「おやおや、ジェリっちゃんとシロクロちゃんじゃん!パトロールの帰り?」
そういえば僕が空島に居ない時でもモルガ師匠は来てたりするんだっけ。そりゃあ勝手に仲良くしてたりするよね
「はい、そちらの方々は……人魚ですか。どうぞごゆっくり」
『ごゆっくり』
白武と黒武に持たせたホワイトボードに『ごゆっくり』の文字。うんうん、字も上手くなってる。偉いぞぉ
「え、えぇ……ゆっくりさせてもらうわ」
マダムが完全にビビってるなぁ?天使も分かるんだろう
「念の為護衛しましょうか?人魚が珍しいと人が寄って来てしまうかもしれませんので」
「おっおっ、それありがたいかも。よろしく~!」
ジェリスさんが護衛を引き受けたので白武と黒武も護衛に加わり、結構な大所帯で街を歩く事になった




