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957/2005

脅しには脅しを

「いやぁ……いい歌でした」

 凄く良い歌だった。今の歌は僕じゃ真似できないな


「そうか!」

「そうですか!」

 自然と拍手をしていた


「凄いじゃないですか!歌い方を忘れていただけで、普通に2人とも滅茶苦茶上手い……なんでさっきまで歌えなかったのか分からない……」

 本当にこんなに綺麗な歌声があるのに、今まで歌えないのが勿体ない。何か原因があるはずだ


「1つ、聞きたいんですけど、最後に歌を歌ったのがいつかって覚えてます?」

「それが、いつから歌ってないのか記憶が無いんだ」

「確かに、記憶がないです。歌という存在は覚えていたはずなのに……」

「じゃあこのルールイアの街で一番長生きしてる人とか誰かは分かります?」

「それは……マダムだな」

「マダムですね……」

 ここでマダム……さっきの占いの館のマダムと一緒かな?


「それはさっき言ってた占いのマダムですか?」

「そうです。マダムがこの街で一番の長生きのハズです」

「なるほど……一度会ってみたいですね」

 絶対にマダムには何かある気がする。一度会って話を聞いてみたいけど……占いの館とかを経営?しているのならお金が無いと会話すら難しそうだな


「えっと、多分今なら会えると思いますよ?」

「え?」

「今だと休憩している時間だと思います。ほぼ毎日行ってるんでマダムの時間はそれなりに把握してます!」

 本格的な占いって毎日行くような物じゃないと思うんだけどなぁ……


「とりあえず行ってみようかな……場所だけ教えてもらえますかね?」

「え、どうせなら一緒に行きましょうよ!それにまだあなたの名前も聞いてないですし」

「あ、そう言えばこっちも名乗ってなかったな。俺はエギア、こっちは妹のエフィーレだ。お前は?」

「僕はハチです。それじゃあ案内よろしくお願いします」

「はい!任されました!」

 人魚兄妹のエギアとエフィーレと一緒にマダムの所に行く事になった。これで何か掴めると良いな




「マダムー!マダムー!」

「おや?また来たのかい?もう一度来ても今日の運勢は変わらないよ」

 そこそこ大きい建物の裏に行くと、そこには下半身がタコで上半身が人っぽい感じの怪しいお姉さんが居た。あの人がマダムか……


「ん?そこに居るのは人間かい?珍しい……」

「マダム、この人がマダムと話したいんだけど、ダメかな?」

「話ねぇ……人間が私に聞きたい事はなんだい?明日の運勢か、それともいつ死ぬかかい?」

「あぁ、それも気になりますねぇ?でも、もっと気になる事があって人魚と歌の関係性とか……」

「あんた、口は禍の元って言葉は知ってるかい?」

「あなた、蒔かぬ種は生えぬって言葉は知ってます?」

 脅されようがまずは行動しなきゃ何も掴めないからね


「ほう、言うねぇ?」

「世の中知りたい事が多くてですね」

 一応笑ってるけど、かなりピリピリしている。まぁ引きませんけどね!


「良いだろう。聞きたい事が有るのなら聞いてやろう」

「では2人だけで会話させてください」

「そうだね。あんたら2人は一旦外で待ってな」

「「え?」」

「この人間と2人で話をさせてもらうよ。そこで待ってな」

「「は、はい……」」

 マダムの有無を言わせぬ圧のある言葉で2人共シュン…としてしまった。手招きされてるし、とりあえず2人を置いて、その館っぽい所に入ってみる


「それで、何が聞きたい」

「それじゃあ僕の考えが合っているか、間違っているかの質問に答えてくれますか?」

「……良いでしょう」

「じゃあ単刀直入に。貴方、もしくは貴方と関係のある誰かが、人魚達に魔法か何かで歌う事を忘れさせたんじゃありませんか?」

「………イエス」

 よし、当たり引いたぞこれ!


「そうですか。じゃあもうこれ以上はいいです」

「は?」

 こういう時は大体やってる事の相場は決まっていると言っても過言ではない


「ここで下手に僕が歌の思い出しを広げるとマズい事になるんでしょう?」

「あんた、いったい何処まで知ってるんだい……」

「さぁ、何処まででしょうね?」

 見るからに怪しいマダムだけど、こういう怪しいのって大抵良い事してるのに誤解されるパターンだろう。詳しい事は知らないけど……多分、街中で人魚達が歌うと深海の敵を引き寄せてしまうとか、なんか強い奴が目覚めるとかその辺かな?だから自然に皆を歌わないように魔法か何かで歌うという行為を忘れさせているのかも。まぁ個人差があるだろうから歌を歌いたいって人も居て、僕が最初に聞かされたあのデスソングの人とかもそういう類の人だったのかな?


「悪いけど、知り過ぎた奴は消えてもらうかもしれないよ」

「へぇ、面白い冗談ですね?」

「っ!?」

 脅しには脅しを。どうせ刺す気のないナイフを取り出したマダムの首筋に腕から伸ばした深淵を当てる。これが刃物であれば、少し動かしたらスパッといくだろう。まぁ、当然そんな事はする気はないので本当にただの脅しだ。木の棒を首に当てているのと変わらない


「僕を消そうとするのなら、僕は相手が王でも神でも抵抗しますよ」

「こいつは驚いた……これは、本物かい」

「偽物に見えるのならそう思っていれば良いですよ。おっと、これ以上は止めておきましょう。2人に見られる」

 深淵を仕舞うと人魚の兄妹が様子を見に来た


「今、何か変な音が聞こえたので大丈夫かなって様子を見に来たんですけど……」

「あぁ、もう帰る所なんで大丈夫です」

「そうか、何でもないなら良いんだが」

「待ちな」

 さぁ、ここからどう出るマダム?




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― 新着の感想 ―
[一言] タコ人魚!そういうのもいるのか!触手プレイが捗るな! と言うか、なんでまた歌を禁じたんだろうね~、マザーの宇宙人じゃあるまいしw
[良い点] 好奇心のためなら神や悪魔だろうがどうにかするだろうなw
[一言] 元ネタでは悪役だったけど、普通にいい人そうだぞマダム
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