一時帰還
「敵来た。行ける?」
「「「「当然!」」」」
街に向かって砂漠を走る僕達。前に蠍やハゲタカのプチ集団が出てきたと思ったらニーニャさんが合図を出したら残りの4人が各々走りながら技を放ち、瞬殺してそのまま街に進むという凄いスタイリッシュな事をしていた。まぁ、そんなスタイリッシュ行動されてる最中の僕は肩に背負われてるだけなんだけど……にしても、最初見た時は気が付かなかったけど、4人は足に何かアンクレットみたいな物を装備していた。それのお陰で皆砂の上で結構早く動けてたのかぁ……それ僕には教えてすらくれなかったねぇ?
「見た所は敵らしい敵はもう倒して……いや、居るな」
「ハチ、分かる?」
街まで戻って来て、色んなとこから何かがぶつかる様な音や金属音。怒号などが聞こえてくるから今だに戦闘中なのだろう。デカい敵は何処に居るかなぁ?と目を瞑って【察気術】に集中したら街の周りに巨大な反応があったので、まだ居るみたいだ
「様子見してるのかな?」
なんとなく、出方を窺うと言うより何かを待っているような気がしないでもない動き。あ、【察気術】の範囲から出ちゃった
「んー、遠くに行って追えなくなっちゃった。でも街の周りにはまだ居ると思う」
今僕達が居る場所と街を挟んで反対側に回っているから居場所が掴めないのかもしれない。まぁ、アイツを追いかけて走っても良いけど、今は救助を優先した方が良いかな
「でもまずは街中で戦ってる人達の救助をした方が良いかな。親玉らしい相手も反応が掴めないし」
いつ来るか分からない敵に対策を講じるのも良いけど、目先で負傷している人がちらほら見えているからそっちの回復とかを優先したい。今やらなきゃ間に合わないとかあるかもしれないし
「分かった。出来るだけ怪我した人集める。皆も手伝って」
「「はい」」
「分かったわ」
「いーよ!」
「お願い」
街に着いたので、肩から降ろしてもらい見えてる範囲の怪我している人の救助に向かう。皆噛まれたような傷とか切り傷が多い。これはサメ相手に戦闘してたんだろうなぁ……
「よし、【聖域展開】」
「「「「「おおおおおぉぉ!」」」」」
シスター服のとっておきを使い、集めてもらった怪我をした住人達を一気に治癒する。これで、それなりに立て直しは出来たかな。まぁ、あの親玉を何とかしないと今回の戦闘は終わらないんだろうけど、懸念する事は少し減った
「アイツは何かを待っているのか?それとも単純に攻めあぐねてるだけ?それともこっちが攻撃しなかったら手を出さない……いや、あれはその内来るな」
油断とかしてる訳じゃないけど、巨大な気配はまだ街の周りに居座っているだろう。どのタイミングで来るか分からないからどこから来ても大丈夫なように街の中心付近に居た方が良いかな?これは一旦正確な場所を探る為にポン君を呼んだ方が良いか。今回のような街防衛で敵の動向が掴めないのは危険過ぎる。360度何処から来ても大丈夫!ではなく、先に何処から敵が来るのか掴めれば危険地域から住人を逃がす事も出来るし、戦力を集中して短時間で討伐する事も出来るかもしれない。今は時間を掛けない方が良い気がする
「とりあえず敵を探してみます。皆はお好きな様に」
邪魔はされないだろうけど、出来れば見られたくはないかなぁ
「さてと……ポン君。ちょっと手を貸してもらうよ?」
「いーよ」
街の中心付近の高い建物の上でパンドーラを使ってポン君を呼びだす。いつも通り首筋に噛み付いてもらって知覚をブーストする。この一気に視野とかが広がる時の負荷はやっぱり凄いな……
「もう少し強化して……居た!」
街中の人の気配が多くて捜索の邪魔になってしまったが、なんとか追加ブーストで知覚範囲を伸ばしてみたら遂に見つけた。思ってた以上に反応がデカいなぁ……オーラの形的にミミズっぽいからやっぱりあのタイプがボスになるんだな
『街の北西方向に巨大な反応を発見。避難指示や戦闘準備お願いします』
とりあえずメッセージで皆に送る。一度敵を見つけてしまえばあとはそれを追尾して行けば常に敵の位置を報告出来るし、今回はポン君ブーストを掛けたまま戦闘をしてみるか
『分かりました!今向かいます!』
『面倒だから避難指示はさっきの娘に任せるわ』
『近い出口どこー?』
『ハチ君はどうするんですか?』
『向かうけど、先に戦闘してくれると助かるかなって。一応逃げ遅れとか居ないとも限らないからその確認をしてから戦闘に参加しようかなって』
街の戦闘では無く、街に来る巨大な敵の迎撃みたいになるから一応失敗、もしくは強制イベント的なノリで街に入る前に倒したとしても最後の足掻きみたいな行動をして街に被害を与えるかもしれない。僕だけなら失敗したとしても僕が非難されるだけだが、今回は仲間が居る。倒すのに成功しても住人が被害を被っていたら街の施設を使えなくなるとかあるかもしれない。まぁ、バトルジャンキーの街みたいな感じだからそれは無いかもしれないけど、一応街の人への心証を良くしておけば、例え失敗したとしても許してはくれるかなぁ……