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929/2006

砂の上で

「よろしくお願いします」

「分かった。時間も無いから早速訓練に行こう」

「はい」

 とりあえずこれで訓練としてニーニャさんとまた2人で会話出来る。今の所敵対じゃないにしてもこっちの仲間と数えて良いのはニーニャさんくらいだろう。なんだかんだ言っても心配はしてくれてたみたいだし




「申し訳ない。まさかあんな事になるとは……」

「まぁ、監禁されるまでは想定してなかったですねぇ」

 正直あの勝気な女王と顔を合わせた時点で戦闘になりそうな雰囲気だったから、それは覚悟してたけど、監禁までは確かに想定してなかった


「それで、監視が付いてるみたいですけど、とりあえず訓練を始めてもらっても良いですか?」

「……流石」

 宮殿を出てから1人ついて来ている。単純に興味あるからなのか、僕が協力すると言って本当に協力するのかを見に来てるのかな?


「教えるとするなら足は踵やつま先から地面に着かないようにする」

「踵やつま先から着かないようにですか」

「接地する面が少ないと、深く埋まる。足の裏全部で地面を掴めば埋まりにくい」

「なるほど」

 画鋲に指を乗せると圧力が1点に集中してるから痛いけど、剣山だと圧力が分散してそこまで痛くないみたいな理論で、つま先とか、踵から地面に足を着けたら自分の体重がその一点に集中してより深く地面に埋まってしまって歩きにくいけど、足の裏全体で体重を分散すれば埋まりにくいと言う訳か


「あとは後ろに蹴りだす」

 砂を走る所が綺麗に見えたのはこの後ろに蹴りだす足がしっかりしてたから自分の足にいっさい砂を掛けないで走っていたのが目に留まって綺麗に走っていると思えたんだろう。普通に歩くのとそこまで変わらないように見えるけど、こういう小さな変化みたいなのが大きな変化に繋がるんだな


「つまりは忍び足みたいなのとは違うんだな……」

 忍び足の時は踵から音を出さないように徐々に地面につけていたけど、これは足裏全部で地面を掴む感じで歩いた方が良さそうだ


「これは足首がかなり重要だな」

 足裏の砂を掻き出すように蹴る。ニーニャさんの走り方を見せてもらってそんなイメージを得ているけど、何より足首がかなり重要に見える。これは要するに砂上戦闘で対人間であれば、足首を破壊すれば撤退もままならなくなる可能性があると言う事だ。相手は砂漠の砂の中からの攻撃を仕掛けてくるとするならまず足下から来る。そうなれば、いきなり機動力を奪われる可能性もある訳だ。敵が来るまで時間が無いなら、いかに砂に足を取られずに回避行動に移行出来るか。攻撃の訓練よりもそっちを優先した方が結果としてより多くの敵を倒す事に繋がるんじゃないかな


「ニーニャさん。とにかく移動にだけ焦点を合わせて僕に教えてください」

「分かった。砂漠の歩き方教える」

 戦闘法はその時が来たら考えるとして、まずはキッチリ動ける様にそれだけでも覚える




「こうですか!」

「覚えるの早い。これなら多分大丈夫だから次のステップ」

 教えられた通りに動き、砂の上でもほぼ足を取られないで動けるようになったから次のステップらしい。何をさせられるんだろう


「攻撃する時は、気を付けて」

 的と言うか、案山子のような物を取り出した。まさにサンドバッグかな?


「これにパンチして」

「分かりました。うっ、マジか。これはマズいな……」

 パンチや掌底を繰り出すにしても大きな威力を出すには全身の連動が必要になる。足の裏から足首、ふくらはぎ、膝、腿、腰、背中、腰、背中、肩、肘、手首、そして掌と下から伝える事で大きな威力を出す事が出来るが、その為には踏み込みは必要になる。単純に砂の上を走るだけなら問題無いが、的に対して掌底の一撃を与えようとしたら結構足が砂に沈んでしまって威力が大きく減衰してしまった。これは良くない。宮殿の中だと床はしっかりしてたから問題無かったけど、ここの砂は中々ヤバイ。沼地みたいだな……打撃無効のウシガエルもとい、フロッカウと戦ったのが懐かしいなぁ……


「まぁ、今までだったらここで困ってた所だけど……」

 解決手段はもう持っている。それに、一応全くどうしようも無い訳ではない


「ん?急に着替えてどうしたの?」

「黒いから結構あっついなぁ。えっと、これを着る事によって砂漠での戦闘がかなりやりやすくなるって感じですね。もう一回やります」

 聖女の戦闘用修道服を着て、もう一度的に対して掌底を喰らわせる……前に足元に【精神防壁】を展開する。しっかりとした足場があれば、しっかりとした一撃を喰らわせられる


「せいっ!」

「本当に出来てる……」

「あとは……」

 縛占貨を少し右方面に向かって投げる。今までであれば当たらないで手元に戻って来るだけだったが、今は違う


「よし今だ!」

「……今の何?」

 縛占貨は大きく軌道を変え、的の背後からぶち当たる。普通に僕の蹴りくらいの威力が有りそうなんだけど……


「僕がどうにもならなかった時用の隠し玉みたいな物ですね」

「凄い……」

 まぁ、隠し玉はまだあるんだけどね



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― 新着の感想 ―
[一言] ここでズルなしで慣れるまで動いてたらスキル生えてたんじゃ
[一言] さすがだ、足場がなければ創ればいいじゃない~術! ニンジャたるものとっさにさっとできなければな! これで『砂漠の油虫』の称号ゲットも近いぞw
[一言] 一を知って十を知ると言うハチ君の高スペックを披露ってやつだね そう、これは作者様の性格そのものってやつね
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