砂漠進行への下準備
「で、その砂漠の隠れた街とかは師匠が道案内してくれたりするんですかね」
「えっとえっと、それに関しては心配しなくても砂漠の民に話を通しておくよ。フィフティシアに知り合いを行かせるから、その子と一緒に砂漠の街まで行くと良いよ。一応見たらすぐに分かると思うよ」
やっぱり何だかんだ言っても師匠は元救世主みたいな話があるから知り合いも多いのか。とりあえず聞いてる感覚的にはボスを突破しないと行けない街では無く、ウカタマの御稲の国みたいに寄り道系の街なのかな?まぁ、フィフティシアよりボスの場所には近いだろうから、ボスに挑みに行きたい時にはフィフティシアから行くよりは楽になりそうだから行ってみよう
「それじゃあその子が好きそうな食べ物ってなんです」
「うんうん、いきなり食べ物で釣ろうとしてるね?」
「最近誤解される事が多くなってきたんで、初手の印象操作です」
忘れちゃいけない【国崩級危険人物】という称号。街とかに入った時に警戒されやすいというデメリット効果があるので、いくらモルガ師匠の紹介だからと言ってもそれはそれ、これはこれと街に入れてもらえない可能性もゼロではない。ましてやこれから向かうのは砂漠の隠れた街。排他的な可能性は全然あり得る。道案内役の人に道案内をしてもらっている最中にこっちの仲間にしておかなければ街に着いたらはいさよならみたいになると悲しいからね
「えっとえっと、そうだねぇ、砂漠の子達は甘くて冷たい物が好きだね!……あっ、あと飲み物もセットだともっと良いかも!」
「それは決して今モルガ師匠が食べたいからそう言ってる訳じゃありませんよね」
「……いやいやぁ?そ、そんな事ないよ!本当に砂漠の子達は甘くて冷たい物が好きなのは本当だよ!」
「じゃあ飲み物セットが願望っと……」
「あっ」
小賢しい手を使うようになったなぁ?
「じゃあアイスか。それならまぁすぐに用意出来るというかもうあるか。そういえば……」
アイスと飲み物のセットと言えば
「はい、とりあえず砂漠の街に行く為にモルガ師匠には色々とやってもらわないといけないみたいなのでこれで頑張ってください」
「おっおっ!良いね。美味しそう!いただきまーす!」
何時ぞや作ったメロンソーダのフロート。飯綱さんが育ててる種に毒性アリだけど実が美味しいスロウリが冷蔵庫に追加されていたので、収穫した物を納品してくれたんだろう。そのソーダフロートをモルガ師匠に出す
「あまあま~ひえひえ~美味しい~」
「やっぱり毒を持ってた方が美味しいんですねぇ……」
「えっ、えっ、ごめんなさい。今までの事は謝りますからどうか命だけは」
流石にフロートを飲んでいる最中に毒云々を話題に出したら焦り始めた。ちょっと悪い事しちゃったかな
「問題無いですよ。それに使ったのって種には毒性があるけど実の部分には毒性が無いですし、そもそも種の毒も鈍足化の毒ですから命に係わる事はありません。結構こういうのあるんですよ?身は凄く美味しいけど皮と内臓に毒を持ってるから限られた人にしか調理出来ない魚とか、もっと身近な物なら芋だって芽とか青い皮には毒がありますから取らないとお腹壊したりしちゃいますし」
ジャガイモの芽取りはしないとダメだと父さんによく言われたものだ
「そ、そういう事は早く言ってよー……心配しちゃったじゃないか」
「まぁ、今後師匠が問題を起こしまくってたら死なない程度で美味しい物が無いか飯綱さんに聞きに行ったりはするかもしれませんね。あの人結構毒性ある物を育ててますから」
飯綱さんの所に行けば僕の要望に沿った毒性を持った食べ物を紹介してくれるかもしれない。まぁ使う事はないだろうけど
「あのあの、ハチ君は良い人だからそういう事はしないって師匠信じてるからね!?本当だよ!」
「僕も師匠を信じてますよ?まぁこの前のキッチン速報の件はちょっと飯綱さんの所に駆け込もうか迷ったくらいなんで、ああいう事をしなければ今まで通りです」
「あのあの、あれは本当にごめんね……」
流石にここまで言い聞かせればモルガ師匠もあの時の事の大きさを再確認してキッチン速報問題をまたやる様な事はないだろう
「僕も誰かに自分の料理を食べてもらって喜んでもらえる事は好きなんで、師匠みたいに笑顔で食べてくれる人は居て欲しいです」
一応虐めてるような気もしたのでフォローを入れておこう。流石に料理をあげるあげないで脅しをかけるのは良いと思うけど、毒を入れるとかになると話が変わる。今後も僕の料理を安心して食べてはもらいたいからね
「ハチ君ハチ君、今のは私に対する告白かい?」
「いえ?僕は笑顔で僕の料理を食べてくれるのが嬉しいから師匠は今までみたいに食べてくれるのが良いなって」
「……うんうん、ハチ君ならどうせそう言うと思ってたよ。もー!いっぱい食べちゃうもんね!」
「あっ、そんな勢いで食べたら……」
「グワーッ頭がーっ!」
アイス部分にかじりついて頭がキーンとしているモルガ師匠をよそ目に準備を進める。とりあえず相手を引き込むには冷たくて甘い食べ物が必要だとするならアイスを軸に色々用意してから行こう
 




