砂漠?
「あーごめんごめん。忘れてたよ。今回頑張った報酬ね」
「え?」
ニャラ様が指パッチンをすると僕に何か光の粉みたいな物が降りかかるエフェクトが発生する
『Lv56にレベルアップしました 魔法 スコピオ を入手』
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ハチ 補助術士Lv56 天衣無縫の器Lv5
HP 715→735
MP 1160→1190
STR 45→46
DEF 43→45
INT 74→76
MIND 166→168
AGI 136→138
DEX 156→158
成長ポイント 60
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「あ、ありがとうございます……」
「一応脱出出来た報酬だよ。普通は出られないからね。もっとあげても良いけど、それじゃあ面白くないだろう?」
要するにニャラ様へ少しだけダメージを与えた的な分で貰えた経験値って事なのかな。これは嬉しい誤算だ。しかもこの新しい魔法の名称的にゾディアックスペルだろう。今回のゾディアックスペルはどんな物かな?
『スコピオ 消費MP100 5分間 微ダメージを受け続ける代わりにランダムなステータスを上昇するか、ダメージは無いがSTR、INT、AGI、DEXを下げる事が出来る。効果時間中はどちらか片方のみ使用出来る』
「選択出来るけど、ランダムでステータスが上昇かぁ……タンクの人に使って、上手く行けばDEFが上昇して微ダメージは受け続けるけど相手の攻撃をシャットアウトして結果として受けるダメージの総量は減るとかあるかな?あと単純にダメージ無しでも攻撃に関連しそうな4ステータスを下げられるのは普通に強いな……」
多分、1つ特化の【オプティダウン】よりかは効果量は減るだろうけど、同時に4つ下げられるから相手が何を使うか分からないとか、色々使いそうな場合はとりあえずかけて置けばダメージ軽減出来るから開幕にこっちを掛けるとかもありかな?でもそうなると効果時間5分は破格の長さだけど、何でも良いからステータス上げたいとなった時は5分そっちは使えないとなるとちょっと使い勝手は悪くなるかな?
「基本的にはステータスダウンの方を使うのがメインと思っておけば良いか」
相手のステータスを上げてでもDoT(継続ダメージ)で倒したいって時はステアップの方を使うかもしれない
「本格的にレベル上げする前にコレを取れたのは嬉しいな。ちょっと強い相手でも逃げる時にこれを使えば逃げきれるかも」
【スコピオ】と【オプティダウン AGI】とか合わせれば相手は大抵遅くなるから逃げられる可能性がかなり上がる。護衛みたいなクエストが出てきたとしたらこれを使って時間稼ぎとかするのが一番使えそうな場面かも
「よし、それじゃあ改めて……しゅっぱーつ!」
フィフティシアから先に進んでみよう!
「うわー、砂漠か……一旦引き返すか?」
途中で食べ物とか水とか補給が出来るか分からないからこれは一旦水分とか食料を持ってから進んだ方が良いかもしれないな……
「出鼻を挫かれまくるなぁ」
新しい所に行こうと思ったら深淵に連れ込まれ、先に進もうと思えば色々と調達が難しそうな砂漠。下手をすると何かしらプレイヤー間でも略奪行為とかがあるかもしれない。具体的に言えばPvPを挑んで食料を巻き上げる人とか……アルターでは初心者がPKの餌食にならない様にフォーシアスを越えるまではそういう行為が出来ない様になっている。仮にPKとのPvPになったとしても、アイテムを落とすとかは無い。(とヘルプメニューに書いてある)が、経験値やお金は少し減るのでそれが嫌なら食料とかアイテムを置いて行けみたいなタイプのPKが居るかもしれない
「うーむ……」
まぁPKをするメリットがほぼ無いし、アイテムとかが欲しいなら決闘システムでアイテムを賭けてバトルで決着を着けろと公式が言っている様な物だからほとんどPKを見た事が無いな?(人自体そこまで普段見ないけど)弱い者虐めをしたい歪んだ人が居たとしても、フォーシアス超えなきゃPKが出来ないし、フォーシアスを越える時には基本的に一人である程度戦えるか、パーティで戦えるだろうから弱い者虐めみたいな事は出来ないだろう。それでPKしたとしても得る物は特に無く、街に入りづらくなるだけ。「やっても良いけどやるだけ無駄だぞ?」と運営が暗に言っているみたいな気がする
「一応万が一に備えて一度戻って食料とか水分を蓄えてから進むか」
ここで進んでしまっても良いけど、仮に誰か食料不足、水分不足で立ち往生している人とか無いとも限らない。そういう人にも分け与えれれる分を用意してから砂漠攻略に手を出そう
「ただいまー!そして早速料理開始!」
水分と栄養とかを考えるとスープ系の物があると多少は安心出来るかな?他には歩きながらでも食べられる様なサンドイッチとかバーガー系?でも、気を付けないと水分持って行かれるだけの食べ物になっちゃうからそれは避けたい。あと砂漠は昼は熱いけど夜は寒いってよく聞くから暖かい食べ物とかもあった方が良いのかな?でもそれは普通にその場で肉を焼いたりすれば良いか……
「おやおや?なんだか悩んでいる様だねぇ?」
「はい、ちょっと砂漠に行くんでどういう料理が良いかなって」
「それはそれは。砂漠に適した料理か試食してあげようか?」
「はい。お願い…って言う訳無いじゃないですか」
こっそりキッチンに来ていたモルガ師匠。何とか料理にあり付こうというその貪欲な姿勢はある意味見習った方が良いのか?
「そうかそうか……残念だなぁ?砂漠は大変だから熱くならない日除けとか、砂漠に隠れた街とか知ってるんだけどなぁ?」
「……いくら食べたいですか師匠?」
「うんうん、聞き分けの良い弟子を持って嬉しいよ!お腹いっぱい!」
こいつぁ、意外な伏兵が居ましたねぇ?まさかのモルガ師匠が役に立つ日が来るとは!
「……何だか何だか何処かで貶されてるような気がするよ?」
「まさかぁ、偉大なタダ喰い師匠が貶されるとかそんな……」
「ねぇねぇ?今、今言ったよね?」
「否定出来ます?」
「よ、よ、喜んで砂漠調査の協力させていただきます……」
出来る訳ないよなぁ?




