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出しきる

 僕、ガチ宮さん、レイカさん、ロザリーさんの4人が勝ち進んだ。さて、ガチ宮さんをどう攻略すべきか……


「さぁ!遂に準決勝!エントリーナンバー815様対ガチ宮様の試合!頼みますよ!宣伝に使える試合を!」

 オーブさんに念押しされた。どうしろと……僕が勝つ為には心臓を抜く残虐ファイトをするか、見栄えのしない場外勝ちをするしかない。レベルの高い相手と殴りで勝負をしても回復されて長期戦に持ち込まれちゃうのだけは避けなきゃいけない。そんな状況絶対僕が負けるからね


「君はβプレイヤーか?」

 ガチ宮さんが話しかけてきた。これ、どう答えるべきかな?


「一応……とだけ」

「見た事無いが……まぁ俺の戦法ならロザリーにだって勝てるんだ!お前も終わりだぜ?」

 金ぴかローブが眩しくて鬱陶しいな……でもアレを戦法って言ってるから最初の攻撃は爆発魔法で決まりか……はぁ、これは最後の防御の手段を使うしかないなぁ……ま、当初の目的は2位になれれば良いし、僕の頭も結構痛くなってきたからイベントはここがクライマックスだ


 あの爆発がどのくらいの威力か分からないけど距離が詰められなければ僕の負け。だからAGIを高めておく


「それじゃあ行くぜ!【イクスプロシブ】!」

 ガチ宮さんが杖を振りながら何かを飲む。僕も距離を詰める為、前に走り出す。コロシアムの中心で爆発の光が集束している……僕、爆発の中心、ガチ宮さんの位置関係になったらアウトだ。爆発の中心、僕、ガチ宮さんの位置関係に持っていく為、体勢が崩れていても構わない……もっと前に!走れ!




 2秒と掛からずにコロシアム全体が爆発に包まれる。背中に衝撃を受け、HPが吹き飛び、僕の体からガラスが飛び散る様なエフェクトが出る。正直気を失いそうなレベルの痛みだ。死ぬほど痛いぞ……でもなんとか間に合った。ガチ宮さんの方に吹き飛ばされる


「はっ!?なんでこれを喰らって生きてるんだ!?」

「死んだよ。一回ね」

 僕のHP自体は実際あの攻撃で全て吹き飛んでいたハズだった。だが、姫様から貰った小鬼姫のお守りの効果でHPが1だけ残った。役目を終えたお守りからは色が抜けて明らかにもう力が無いという感じだ……お守りまで使ったんだ。絶対に倒す


「おりゃ!あれ?」

 吹き飛んだ勢いを乗せ、跳び膝蹴りを当てようとするがガチ宮さんの体に当たった……と思ったらすり抜けた。急いで着地姿勢を取ってガチ宮さんの後ろに着地する


「残念だったな!霊体化薬の効果で俺にダメージは与えられないぜ?MPを回復してもう一度ぶっ放してやる!」

 なるほど、何か飲んでいたのはダメージを受けなくなる的な薬だったのか。というかそんなめっちゃ強そうな効果がある薬があるのか……高そうだな……


「ねぇ?今回復薬を飲んだ?」

「あぁ?お前をぶっ倒す様のMPを回復しただけだぜ?」

「ふーん?」

 爆風で吹き飛ばされ、ガチ宮さんとその背後を取った僕との距離は1mも無い。何か使う分には届く距離……


「じゃあ回復は出来るんだね?」

「何を……ふごっ……!?」

 ガチ宮さんの口に向かって【違法改造】した野戦生薬をぶっこむ


「こはっ!?苦っ!?にっがぁ!?」

 僕の行った【違法改造】は『回復量』に全振りして『味』を犠牲にした野戦生薬。とても僕自身は使いたくない。普通の野戦生薬でも中々苦いのに『味』が最大にマイナスされた野戦生薬とか多分吐く


「まぁまぁ、遠慮せずにこれも回復薬ですから」

 そう、『回復量』を最大に振った事でこの【違法改造】野戦生薬の回復量は脅威の60%。使ったアイテムは薬草とインクリー草だけなのにこれだけの回復量……味さえ我慢出来れば最高のコストパフォーマンスだ。味さえ我慢出来ればね……


「おぷっ……オロロロロロ……」

 あぁ、口から虹が……


「とりあえず全部使っちゃいますね?」

 これ霊体化薬も吐き出させる事とか出来るかな?と持っている野戦生薬を全てガチ宮さんの口の中にねじ込む


「こぽっ……やめっ……オロロロ……」

 地面に転がり、虹を口から出すガチ宮さん。おっと、このままだとまた使えないとか言われそうだ。ぷるぷる痙攣しているガチ宮さんの襟元を掴んで持ち上げる。うん、もう霊体化は解除されているみたいだ。よく見たら耳が尖ってる。エルフ的な種族なのかな?


「霊体化は終わったみたいだね?【ディザーム】」

 無理矢理立ち上がらせ、フラフラの状態のガチ宮さんの手から杖を奪う。ここからは僕のターンだ


「か、かえs……」

「【インパク】」

 顎に向かって下から掌底をしながら【インパク】を発動する。するとガチ宮さんの体が空中に跳ね上がる


「【インパク】【インパク】【インパク】」

 重力によって落ちてくるガチ宮さんの体にまた【インパク】掌底アッパー。打ち上がるガチ宮さんが落ちて来たらまたアッパー……杖は僕が没収しているから反撃も大した事は出来ないだろう


 アッパーでループしながら場外付近まで運ぶ


「これで……終わり!」

 最後の締めで落ちてきたガチ宮さんの腹部にテコンドーで使われる回転蹴り(ターンチャギ)を放つ。回転の力に引っ張られるのではなく、活かす様に軸足を素早く入れ替え、蹴りの威力を増幅させる。DEXを上げた訳じゃ無いけどしっかりと「はいった」感覚が伝わり、ガチ宮さんが吹っ飛ばされてそのまま場外にアウトする


「ふぅ、もう出し切っちゃったなぁ……」

 煙玉は予選で、野戦生薬はガチ宮さんに全て使った。あれは持っていても自分で使う予定が無かったから全て使い切ったけど……これで持ち込みアイテムは0、防御用のスキルもクールタイムで使えない、最後の砦の姫様のお守りも壊れた。この状態で決勝と言われても勝てる感じがしない。多分だけど上がってくるのはロザリーさんだと思うから僕はボッコボコにされかねない。どうやったら死なずに済むかなぁ?



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― 新着の感想 ―
[良い点] 延々と相手の口に激苦回復薬ぶち込んでゲロ吐かせるとか…これ絵面的にR18入りそう何だけど…観客の反応書かれてないけど絶対ドン引きしてるぞ… [気になる点] 回復薬って、口に含んだだけじゃ回…
[気になる点] うん、苦さを強化したんだろうとは思ったけど絵面が酷い…… [一言] オーブちゃん「せっかくハチ様が勝ち進んでるのにまともな試合が無いです……」 もざいくぅ……
[気になる点] この主人公いつになったら自分の火力がかなりトンでることに気づくんだろう……w
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