レース終了
「3番!7番!共に凄い伸びだ!前の方で固まっている人を躱してドンドン前に出ていく!止まらない止まらない!1番逃げ切れるか!」
激坂での攻防というか、仕掛けるポイント的な所としてこの坂を選ぶと言う事は相当マシンパワーに自信が無いと出来ないはず……というかあの3番ってファーカインが誘導した女性かな?凄いな
「1番、3番、7番、6番、8番、2番、4番、5番!1番が粘っているが後ろの猛追が止まらない!6番も何とか喰らい付いてはいるが、それでも前3人との差が広がっていくぅ!」
1番と3番と7番。この3人の勝負になったみたいだ。6番の人は……多分フォヴォスがエスコートした人かな?残念だけど、最後まで前の人達については行けないみたいだ
「1番、3番、7番!もうほぼ横並びだ!残るコースもあとわずか!誰が前に躍り出るのか!誰がゴールに最初に辿り着くのか!」
3人共本当にほぼ横並び。誰が前に出ても、誰が沈んでもおかしくない。後ろとは結構な差が出来ているからこの3人の中で誰が優勝かという争いだ。本当に横並びで誰が優勝するか分からない。誰かに賭けたりはしてないけど、これは賭け事が盛り上がるのも何となく分かるかも
「おおっと!?ここで隠し玉か!3番のバイクがブースト!それに合わせるように7番のバイクもブーストぉ!1番は合わせられずに置いて行かれたぁ!」
乗り物の改造と言ったらとまずはコレでしょ。と言わんばかりのブースト。改造費用が高くつくらしいマウントアイテムの愚痴をダイコーンさんに聞いたし、直接戦闘と関係無いマウントアイテムの改造が出来る人はそれだけで財力があると言っても過言ではない。ブーストとかいつまでも持つ物でもないだろうし、ここが勝負所だと使用したのなら、この2人はかなりの勝負師な所あるな
「3番、7番どっちだ!どっちがゴールラインに先に到達するのか!もうコースも残りはホームストレートを残すのみだ!」
大接戦のトップ争いだが、やはりダイコーンさんはマシンに懸ける思いもお金も他の人以上だったみたいだ
「なっ!7番ここでなんと更なるブースト!3番喰らいつけない!引き離されていく!」
ダイコーンさんのバイクには僕も多少手を貸しているから分かるけど、あのバイクはレースは勿論、戦闘においてもかなり強い。並みのバイクでは決してあの領域までは辿りつけないだろう。その差が今ここで出たのだろう
「7番ゴール!3番惜しくも2位!少し遅れて6番ゴール!」
ダイコーンさんが勝利を収めたそのタイミングで白黒のゴールフラッグを振るう。凄い今更だけど、僕は空中のレース場で振らなきゃ意味が無い気がするけど、まぁ下で見てる人達に分かりやすいように振ってるだけだから完全に雰囲気作りだ
「それでは優勝者にインタビューです。今回のレースは如何でしたか?」
「ヒャッハー!最高のレースだぜぇ?どいつもイケてるマシンに乗ってるし、仕掛けるポイントを間違ってたら俺が最下位もあり得ただろう。今回は俺に運が向いてただけだが、正直誰が勝つか分からないレースだったと思うぜ。参加してくれた奴らにも拍手だぜ!」
「皆様、今一度レースに参加して下さった方々に拍手を!」
大人な対応やぁ……これがダイコーンさんが派閥というか推される理由とかなんだろうなぁ……
「優勝賞品の贈呈になります」
「はい、それではこれから優勝賞品の贈呈になりますが、まずはバイクを出してください」
「お?おう……」
「よし、それじゃあ2人ともよろしく」
「「はい」」
ドクターがダイコーンさんのバイクを写真で取り、ミニチュアを作成。そのミニチュアを原型として、トーマ君がぐにゃぐにゃにした金属で型取りをし、そこからトロフィーの先端部分と金を型に入れて金の形を決定するとダイコーンさんのバイクがトロフィーの先端にウィリー状態で付いている特別なトロフィーが完成した
「こちら、優勝者のバイクがついた優勝トロフィーとなっています。こちらをお納めください」
「ヒャッハー!これは飾るしかねぇな!」
マイホームとか持ってたら飾るには丁度良いかもね
「第二レース優勝は2番!おめでとうございます!」
もう一戦は人数が少なくて皆そこまで改造をしていなかったからか、何と言うか……さっきの戦いに比べるとちょっとしょぼく感じたけど、それでも良いレースで終える事が出来た。トロフィーを最後に作って終わりの運びとなったけど、ファーカインが限界ギリギリだったなぁ……
「改めておめでとうございました!それでは、今回のサーキットオープン記念レースはこれにて終了となります。参加して下さった皆様、並びに観覧して下さった皆様ありがとうございました」
ワイワイとした空気感の中でレースが終了した。無事に問題も起らず終わって一安心だなぁ……
「ハチぃ?」
「うひゃ!?」
サーキットの裏に戻ったら急に脇腹を触られて変な声が出た。おかしい人の気配は無かったハズ……
「ん?まさかキリエさん?」
後ろを振り返ってみると、離れた所にキリエさんが居た
「そんな恰好して、人前に出るとか勇気あるわねぇ?それとも、あの変態みたいに見られたくなっちゃったのかしら?」
「うひっ、なん、ちょっと、擽るの止めてくださいよ!」
明らかに人を擽っている時のわきわきした手の動きとリンクするようなこの脇腹の感覚。もしかしてキリエさんってモルガ師匠の所で修行してたし、それで何か新しい魔法か力でも入手したのか?これ、厄介だぞ……単なる魔法なら射出するタイプだから術者から飛んで来た方向が分かるとかあったけど、今回のこの擽りは僕の脇腹付近に急に出てきた。つまり、【察気術】で視れない……座標指定系の魔法か。トラップとかとも違うからこれを戦闘中に出されたらかなり面倒だ……
「はー、面白かった。ハチのそういう顔が見れただけでもあの修行を続けた甲斐があったわ」
「モルガ師匠に修行してもらったんでしたっけ。なんですかそれ?」
「まぁ【キネシス】をかなり高精度に使えるようになっただけよ」
「もの凄い精度ですね……実際に脇腹に触られてるのかと思いましたよ」
「そうかもしれないわよ?こちょこちょこちょ」
「ちょっ!ホントにッ、止めてくださいよっ!あはははっ」
今のキリエさん。邪悪な感じじゃなくて、本当に心の底から楽しんでる感じがする……ここはもう少しだけ遊ばれてあげるか
「いつまで……擽るつもりですか……流石に、もう辛いです。うひひっ」
「最近ストレス溜まってたから解消させてもらったわ」
「ストレス?キリエさんってストレス感じる事あったんですか?」
「失礼ね?まだ擽り足りないのかしら?」
「いや、普通に気になっただけで……」
僕に対してストレス解消。にしてはかなり擽りが長かったからそれなりに大きいストレスでもあるのかな?これは相談に乗った方が良いかも




