表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
900/1996

着る?着ない?

「うっわ……」

 最早懐かしいとも言えるいつの間にかハスバさんが勝手に作っていた僕の名前入りスク水。あの時返したのをまだ持っていたか……


「あぁ……その蔑みの目っ!」

「そのスク水着て僕にレースクイーンやれって言ってます?頭大丈夫ですか?」

「この罵倒っ!久しぶりだぁ……」

 本当にこの人無敵だなぁ……


「それは絶対に着ないです。【ヴァルゴ】を使ったとしてもそれだけは着ないです」

「一応理由だけ聞かせてくれるかい?」

 理由?


「僕がそれを着たらもう人として終わりかなって。ハスバさんは知り合いとかゲーム内に居るとか考えないタイプですか?」

 学生として、ゲームの中だとしても女子用のスクール水着を着る。しかも知り合いが居るのを既に知ってる状態でこれが出来るって……それもう頭のネジ全部ぶっ飛んでるレベルだと思うんだ


「それはそれ、これはこれさ。ゲーム内でアイツはどういう恰好でプレイしていて、とんでもないんですよと現実で言いふらす人は基本的に自分にモラルが無いと自分自身で言いふらしている様なものだからね」

「ハスバさん、恰好は残念なのにたまに言動は本当に尊敬出来る時があるのがやっぱり残念な所だなぁ……」

「一瞬上げて即叩き落とす!くぅ!職人技だねぇ」

 なんかお酒を飲んで「沁みるぅ」とか言ってる人みたいな……とにかくスク水はダメだ。単純なレースクイーンの恰好……もかなりきわどい気がするからそれもちょっとNGかな


「でもハチ君も変わったね」

「ん?何処がですか?」

「心にゆとりがあると言うか、前にこれをしたら即フレ切りしようとしてただろう?今は叩きつける事もなく、笑顔で応答してくれるじゃないか。掲示板の連中の夢を叶えようとは思ったが、これは諦めて戦死報告だけしておくよ」

「ちょっと待った。え?掲示板の連中?」

 なにやら聞き逃せないワードが聞こえた気がする


「詳しく話してください。ちょっと今のは聞き逃せないワードだったので」

「あー……うん、皆にも戦死してもらおうか」

 ハスバさんが掲示板の書き込みを見せてくれる




 552:名無しの旅人

 やはりあの人のスク水は見たい所だ


 553:名無しの旅人

 戦死ハスバがスク水をあの人の下に届けに行った。報告を待とう


 554:名無しの旅人

 もう死んでんじゃねぇか


 555:名無しの旅人

 その誤字はもう結果見えとるやんけ


 556:名無しの旅人

 表記上は0%だが、見えていないだけで小数点以下の確率で着てもらえるかもしれないだるぉ?


 557:名無しの旅人

 それは絶対に着てくれないんだよなぁ……一瞬で良いから装備ミスとかなんかそんな形で着てくれたりせんかなぁ……




「これが世間の声さ」

「歪みまくってる……」

「歪ませたのは君だよ。あの時のイベントで周りの人より小柄でも皆を引っ張り、誰よりも勝利に貢献するあの姿。男も女も関係無く、コロコロ変わる姿。そんな魔王を見て惹かれた人は数多い。君の真似をしようとして新しく入ってくる情報で真似出来る物ではないと知ったらもはや信仰と言っても良いくらい君を崇める人も居るくらいにはシンボリックな存在になっているのさ」

 え?何これ?今これ僕は説得でもされているのか?


「これは彼らの夢と言っても良いだろう。1度だけで良い。次は着なくて良いから1度だけでも着てはくれないだろうか」

「男にスク水着せたがるって相当な歪みでもう直らないんじゃないでしょうかこれ……」

 良く分からないけど需要はあるらしい。昔の僕なら間違いなく、考える時間も無く拒否していたハズだが、【ヴァルゴ】の習得やメロにゃんさんとの交流なんかを通して、女装とかの抵抗感はかなり減った。まぁ正直着るくらいは別に良いかなとは思う。人に見せるとなると話が変わって来るけど


「あぁ、性癖と言うのは針金みたいな物だ。一度歪んでしまうと真っ直ぐに直したつもりでも完璧には矯正出来ない」

「プレス機で叩き直してやろうかな……」

「それをしようとしたら今度は真っ直ぐでは無い別の形に歪んで固定されるだけさ。男の子が小さい頃にロボットアニメを見てロボットはカッコイイと刷り込まれるような物だからね。ハチ君に罵倒、矯正されたいという新しい性癖が生まれる」

「人ってなんて愚かなんだ……」

 なんか真理では無いんだろうけど何かに到達した気分だ……


「じゃあ一回話を聞いてみたい人達が居るので、その人達に聞いてからどうするか決めますよ」

 人に見せるかどうか。それは僕の事を知っている人に聞くのが一番手っ取り早いだろう。メッセージを飛ばして聞いてみるか


『どうも、ドラゴンの件、穏便に片付きました。少しお話したい事とかあり、メッセージを飛ばしたので、時間がある時にお返事ください』


『すぐ行きます。空島ですね』


『はい、お待ちしてます』


「誰を呼んだんだい?」

「ロザリーさんとアイリスさんです」

 どうあっても多分避けられないので、先に現実の僕を知っている2人にこういう事をするから外では言わないでねと理由を話しておけば誤解無くスク水とかも着れる。話の前提がまずとち狂ってるとしか言えないのが残念過ぎるが


「来ました!」

「これが新しい施設……いや、それよりもドラゴンの件助かった」

 僕を心配して来てくれたのにこれからスク水着るかどうかの相談をしなきゃならないってもうね……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 900話達成おめでとうございます! …ん、話の内容? ハハハ、何の事かな? ハチさんその薄い破廉恥な布切れ。当たり前の様に着てしまうに決まっているぢゃないですか〜!(願望)
[良い点] 900話お疲れさまです [一言] >「人ってなんて愚かなんだ……」 まったくもってその通りだけどこんなことで悟りたくはなかっただろうね……
[一言] 以上の会話中ハスバ氏は土下座?石抱き?海老反り固め?でお送りいたしました? と言うか、ゆんゆんした性癖は溶鉱炉に放り込んで新たに創り直さないとw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ