少し弱気
「イグニス。そんな事が出来るのか?」
「まぁ、ちょいちょいーとやっちゃいますよ!アネさん!しっかり乗ってくださいよ!」
「おう!」
どうなるのか見ていたら、イグニスが坂でも上がるように地面から離れていく。するとイグニスの後ろに光る道みたいな物が生まれていた
「とりあえずぐるっと一周しますねアネさん!」
「あぁ!空を飛ぶのとはまた少し違った感覚で良いぜ!好きに走りなぁ!」
「はいっす!」
好きに走れと言われてイグニスが走った軌跡が空に光のコースらしきものが完成させた。まぁレースコースと言うべきかジェットコースターのコースと言うべきかな所はあるけども……
「とりあえずこんなんでどうすっか?」
「どうって……とりあえず乗っても大丈夫なのかな?おぉ、結構しっかりしてる……」
目の前のコースに繋がる上り坂を歩いてみたけど、結構しっかりしている。これなら確かに普通に何か走っても問題無いかも
「ヒャッハー!すげぇもん見せられ過ぎて黙っちまってたが、俺に一度走らせてくれ。こりゃあ俺の愛車が走りたがってるぜぇ?」
ダイコーンさんがいつの間にかバイクに乗り込み、サイドカーを切り離している。完全に走りの為に外したみたいだ
「1日は持つハズっすから走ってみてくださいっす」
「ヒャッハー!行くぜ!」
ダイコーンさんがハンドルを捻り、アクセル全開で光の坂を登って行く。そしてコースに辿り着き、走り出した
「おぉ、早いっすね……アイツも中々やるみたいっすね」
ダイコーンさんに対して言っているのか、それともダイコーンさんのバイクに対して言っているのか、どっちか分からないけどイグニスが若干フンフンと鼻息?を粗くしている様な気がするのでレースしたいのかもしれない
「1日持つって言ってたけど、1日経ったらこれは消滅するの?」
「はいっす。これは本来谷越えとかの時に使うモノなんすけど、アネさんが強ぇんでこのくらいの長さなら余裕で作れるっす!」
「だそうだ!」
イグニスのシートに座りながら腕を組んでドヤ顔をするフォヴォス。と言う事は、フォヴォスがこの島に居てくれれば、毎回違うコースでレースとかを開けるんじゃないだろうか?それこそ普通にこういうバイクみたいな物だけじゃなく、生き物みたいなマウントで、それこそ馬とかを使った競馬的な事も可能になるかもしれない。これは本気で漆黒龍を何とかしないとなぁ
「コイツぁライダー達が黙ってねぇぜ?」
「ダイコーンさん的にこのサーキットはアリですかね?」
「ヒャッハー!大アリだな!改装の話が嘘じゃなけりゃあ本当にこのサーキットを作って欲しいぜ」
「それはそうしたい所ですけど……」
サーキットを作れるのはイグニスとフォヴォスの2人だけだ。漆黒龍を何とかした後にこの2人が空島に残ってくれるかと言えば……親子の仲直りを出来たとしたら後はやっぱり一緒に帰るべきだろう。そうなるとどうしても2人が居なくなる事を考えたらサーキットを作るのは難しい事になりそう
「どうした?」
「……まぁ、その時になってみないと分からないですね。とりあえずサーキットは検討しておきます」
今はこのくらいの事しか言えない
「さて……どうするべきか」
漆黒龍を呼び寄せるにしても島の住人達をそのままにしておくべきか、何処か一か所に集めるべきか。確実に漆黒龍と戦闘になってしまったら島に損害が発生する。島が多少壊れるくらいなら問題無いが、誰か死ぬなんて事になったらそれはフォヴォスの親だとしても許せない。絶対に戦闘に発展させてはいけないし、発展してしまった場合はタイマンに持ち込んで何とか周りに被害が出ないようにしなければならない。交渉が一番の武器になって来るな……
「そうだな。とりあえず教会辺りで集めるのが良いか」
城に集めるのは逆に攻撃対象になりそうで若干怖い。ドラゴンが国際法なんて知らないと思うけど、教会だったら攻撃しないとか何とかならないだろうか?
「最終的な話を纏めてから漆黒龍を呼んだ方が良いか……あ、ごめんなさいダイコーンさん放置しちゃって」
「いや、とりあえず困った事が有ればいつでも言ってくれ。力になるぜ」
困った時は出来れば来て欲しくは無いが、そういう時に助けてくれる存在が居るとなれば僕も動きやすくなる
「ありがとうございます。困ったら頼りにさせてください」
「あぁ、それじゃあ俺はもう帰るとするぜ。とりあえず今日の事は他言無用にしておくな?」
「はい、お願いします」
こういう所が本当にカッコイイ。僕もしっかり配慮が出来る大人にならないとなぁ……
「と言う事なんだけど……この辺の眷属達とかその時が来たら匿ってあげてくれないかな?」
「そういう事でしたら、引き受けます」
「分かり…ました」
「漆黒龍が来るって何ですか師匠!そういうの早く教えてくださいよ!」
教会に入るとミリアさんとメリアさん。そしてモニクが居たのでかいつまんで事情を説明した。一応これで避難先では無いけど集合場所は決まったな。というかモニクはなんで楽しそうなんだよ
「あの、下手したら空島終了の可能性があるんだけど?」
「え?師匠ってドラゴンとか普通にオオトカゲとか言っちゃうタイプでは?」
「時と場合によっては言っちゃうけど……」
「そんな風に言えるなら心配する必要性0では?」
まるで負ける要素が無いって雰囲気だぁ……こんなの師匠としてカッコ悪い所は見せられないなぁ?
「分かったよ。絶対なんとかする。だから皆も手伝ってくれるかな?」
「「「勿論です」」」
ここまで信頼されてるなら絶対に被害0で乗り越えないとな……