ドラゴンバイク
「よし、それじゃあ製作に入らせてもらう。見ていても良いぞ」
「「「じゃあ見る(させてもらうぜ)!」」」
マウントアイテムのバイク製作という中々見られない物を見られるんだからそりゃあ見るよね
「ではまず一番大事なエンジンの部分から作って行こう」
オートマトンのコアらしきものを用意するヘックスさん。アレがエンジンになるのか……
「4つ取って来てくれたオートマトンのコア。これをエンジンに使用する。これでかなりの出力が出せるぞ」
心臓部が4つのコア……クアッドコアと言う事か
「そして、ゴーレムのルーンの方だが、これはタイヤに使わせてもらう」
「タイヤにルーン?」
タイヤが割れない的な物でもやるのかな?
「ふっふっふ。今回私が作るのは普通の、今そこに置いてあるようなバイクではない。もっと自由に動けるバイクを作ろうじゃないか。見せてやろう!これがこのバイクのタイヤだ!」
「「「なっ!?」」」
そう言ってヘックスさんが取り出したのはまるで鉄球の様な物だった
「これは……そうか!しまった……こういうのもアリかぁ!」
なにやら先を越されたみたいな言い方のダイコーンさん
「球体のタイヤかぁ……」
「これで走るのか?なんかちょっとダサくないか?」
正直僕もそれが少し気になる。特攻服を着て、バイクに乗るのはカッコイイと思うけど、そのバイクのタイヤが球体だとなんか少し可愛いというかカッコイイ要素がそがれてちょっとチグハグな存在になっちゃうんじゃないかと思う
「まぁ待て。確かにこのタイヤを剥き出しの状態にしたらカッコ良さは確かに疑問符がつくだろう。だが、このタイヤと本体を繋ぐ部分はまだ説明していないだろう?」
「どうするんだ!早く教えてくれ!」
ダイコーンさんも結構興奮気味で聞いている
「分かった分かった。実は、お前達がバイクの形状の話でどういう外装が良いかの話が出てた時に既に外装パーツは作っていたんだ。ただ、それが別の形状の方が良いのかを話してどうなるのか聞いていたが……どうやら私のデザインは間違ってはいなかったようだな」
指を鳴らすヘックスさん。すると、バイクのコアと球体タイヤの両サイドから大きなブロックみたいな物が現れ、そのブロックから沢山の小さいアームが出て来てパーツをカチャカチャと取り付けて行った。ドンドンバイクが組み上がって行く様子はそりゃあ楽しい訳で……
「「「おぉぉ……」」」
皆、感嘆の声が漏れていた
「ヘックスさん」
「どうした?」
「これも使って外装パーツをもっと強化出来ますかね?」
あの島で貰ったミスリルをヘックスさんに渡す
「良いのか?それはあの島でハチが貰った物じゃないか」
「僕は構いません。このミスリルでマシンが更につよつよになるなら見てみたい!」
いつか自分が使うより、今仲間に使う方がこの素材はより有効的に使えている気がする。使いたくなったら……また集めれば良いや
「ハチ、良いのか?」
「良いよ良いよー!これくらいケチケチしない方が楽しいでしょ?どうせ作るなら今持ってる中で最強を目指そうよ!」
「分かった!今外装パーツを少し変形させる。少し待ってくれ」
僕から受け取ったミスリルをそのブロックに突っ込むヘックスさん。それですぐに使えるのか……
「かぁー、すげぇな?ミスリルだって?純度はどのくらいの奴だったんだ?」
「純度?」
「何?純度について知らなかったのか?ミスリル自体は取れない訳じゃないが、大抵は低純度の物しか取れないんだ。ミスリルを分離しようとしても性質的に錬金術師でも分離が出来ない代物だ」
「はぇ~一般的にはどのくらいの純度の物が?」
「多くて30%あれば充分だな。それだけ入っていればミスリル武器や防具を名乗れる」
30%でミスリル防具とか名乗れるんだ……
「因みにさっきヘックスさんに渡したミスリルって純度どのくらいなんです?」
「純度95%だ」
「へ?」
「95%ミスリルで出来ている」
「と、とんでもねぇ純度じゃねぇか……ミスリルと言うより純度が高いからピュアミスリルとか言った方が良いんじゃねぇか?」
「ピュアミスリル……確かにそういう言い方の方が良いかもしれないな。ピュアミスリルを使った事でバイクの装甲もかなりの物になるだろう。質の良いミスリルは込める魔力で防御力や攻撃力も上昇率が高い。このピュアミスリルがバイクにどれ程の効果を及ぼすか……これは正直私にも分からない」
どのくらい強化されるのか分からないっていうのはロマンがあるな……
「良いですねぇ。これでどうなるのか楽しみが増えましたね!」
「純度95%のミスリルなんてヤベー物を使ったバイク……いったいどうなっちまうんだ?」
バイクの内部はほぼ完成と言っても過言では無い所まで来ている。ここから外装パーツで最終的にどんな見た目になるのか……
「どうやらミスリルの加工が終わった様だ。完成するぞ」
バイクの外装……装甲パーツがミスリルを使用した事でどうなるのか……
「これが、オレのタンシャ!」
「球体タイヤはどうかなと思ったけど、これだとかなりカッコイイかも」
球体のタイヤを両手で掴んだように見えるドラゴンがそのままバイクになったようなカウル。尻尾の部分が背もたれになっている所も良いデザインだ
「ヒャッハー!良いバイクじゃねぇか!」
「乗ってみなよ。あれはフォヴォスの物だよ」
「あぁ……これがオレの!」
黒いドラゴンバイクに跨るドラゴンのフォヴォス。控えめに言ってめちゃ似合ってるなぁ……