最後の支援攻撃
「ユルサナイ……ゼッタイニユルサナイ……キサマダケハヤツザキダァ!」
「おぉ、良かった。ここで死なれたらあっけなさ過ぎて困る所だったよ。それでどうだい?まだやるかい?」
軽い地響きの後で、地面から出てきたボロボロのボス。背中にくっ付いていたゴーレム砲台は数体分しかなく、足回りを担っていたオートマトン達も欠けがある。でもまだ動けるな?これなら最後の支援攻撃の後で倒すとか簡単になりそうだ
「確か僕達が島を調査してから耐性とか確保してたんじゃないの?それにしてはちょっと拍子抜けって言うか……」
まぁ地形攻撃とでも言うべきか、ちょっと対処はしにくい攻撃はしてたけど、それにしてももう少し対処出来ると思うんだけど……
「ハッハッハ、ソンナタイショガ、タッタノスウジカンデ、デキルワケナイダロウ!」
「そっかぁ……そうだよねぇ……」
ゲーム的にこれで攻撃したから対処というか耐性を得るんだろうと考えていたけど、そもそもその耐性を作る為には時間が必要だったんだ。本当はゆっくり、もう数日程度時間を掛けたかったけど、襲来する危険に対処する為に早急にバイクを作り上げる為にかなり急いで進めたからなぁ……あのトーテムとかも番人との戦いで相手がどういう戦い方をするのか情報を集めるなんて装置も兼任していたかもしれないけど、番人と戦わないし、秒でトーテムを破壊されたからキチンとした耐性を得る前に戦闘になったんだろう。もしかして今まで戦っていた奴らと連携は取れてないのか?
「まぁ、僕は逃げますけどね?」
「マテェ!キサマダケハ、イカシテオカン!」
今まで戦ってきたゴーレムやオートマトン達と情報の連携が取れていないとするなら、アイツは何か強制的に従わせてるだけで、操られてる側は何か不満があったりするんだろうか?まぁ、足にされたり、自分の下半身を破壊して砲台にさせられたりしたら嫌気もさすか?
「もしそうなら……」
流石にそれをゴーレムやオートマトン達が勝手にしているとするなら全体が嫌々従ってやっている事になる。もしかして、コイツ以外に何かゴーレムとオートマトンを纏める裏のブレインでも居るのか?
「何処かで僕の事を見ている可能性もあるか?」
今目の前に居る奴はボスで間違いないと思う。だけど、確実にゴーレムやオートマトンと戦った僕の戦闘情報が伝わっていないという事は何かしらに情報を規制された可能性も考えられる。そうなると……意外と作られたオートマトンとかの中に何かしらのエラーが発生して自我を得た奴とかが紛れ込んでいる……?
「それならソイツと協力は……流石に結べないかな」
協力してボスを倒そうと言いたい所だが、僕もオートマトンとゴーレム達を倒しまくっている。流石にそれではもしボスに恨みを持っているエラー個体が居たとしても協力してもらう事は不可能だろう
「よし、じゃあ気を取り直して頑張りますか!」
一旦協力を仰ぐルートは考えないで、このボスを何とかする事を考えよう。今度は行き止まり戦法は使えないだろうから、普通に平地で戦闘で良いかな
「ナンダァ?モウニゲナイノカ?コシヌケ」
「言うねぇ?そんなに欲しいならもう一発お見舞いしちゃうよ~?」
指を鳴らしながら視線を上に逸らす。ボスも次は喰らわないと言わんばかりに上に対してゴーレムを使って防御しようとするが……
「ナニモコナイ……?」
幾ら待っても攻撃は来ない。だってそれ、視線誘導するだけだからね
「アノヤロウ!マタオレヲ、コケニシヤガッテ!」
「敵の言う事素直に聞いちゃダメでしょ」
「クソガァァァァ!」
ボスが上を見上げている間にとっとと距離を取っていたので、またボスが怒っている。いやぁホント気持ちいいくらいハマってくれるなぁ?
「さて、ヘックスさん?ヘックスさんの最後の支援攻撃って閉所でも使えます?それとも完全に屋外じゃないと無理?」
「他の支援攻撃と一緒で屋外じゃないと無理だな。だが、とっておきだから派手だぞ?」
何となく僕が今までボスをバカにした動きで行動していたからか、ヘックスさんも少し楽しそうにしている。とっておきの支援攻撃とやら、見せてもらおうじゃないの
「それならせっかくだし、決戦のバトルフィールドは山頂にでもしましょうかね?」
「あぁ、問題ない」
今回は間接的な攻撃では無く、直接ヘックスさんの支援攻撃を当てるつもりで行こう。派手だと言っているし、外したら外したで囮として使えば無駄が無いだろう
「さて、それならお客さんにはしっかり来てもらわないとですねぇ?」
「あぁ、アイツの態度は少々ムカついてたんだ。正直私も一発顔面をフル装備で殴りたいが、生憎殴る装備が無いからこのとっておきで勘弁してやろう」
ヘックスさん的にはオートマトンとかある意味仲間みたいな物だからその扱いに関して少しイラついているみたいだ。ヘックスさんの殴る装備とかそれこそ顔面がボールみたいに飛んで行ってしまうんじゃないだろうか……いや、砕け散るか?どっちにしても良い子には見せられない事になりそうだからそのとっておきに任せた方が良さそうだ
「キサマ……ドコマデモチョコマカトォォ!」
「褒め言葉だねぇ?そう、ちょこまか動いていればお前みたいなただデカい奴は強敵でも何でもない。ただの雑魚なんだよ。この島は自分の物?自分の島だと思ってるだけだろ?島自体は自然の物で誰のものでもない。単にお前がここに来て、ここは俺の場所と勝手に主張してるだけだ。公園で遊具を占領するおこちゃまみたいだねぇ!」
「グォォォォ!!」
頭に完全に血が上っちゃってるねぇ?
「今です」
「あぁ!」
僕の煽りが刺さったのか。完全に足が止まって激昂したボスに向かって空から光線が放たれた。えっ?衛星レーザー?