お急ぎ調査
「よし、ちのりん行くよ!」
「ぽよっ!」
時間が無いので島の調査を少し急ぐ事にした僕は、今回はちのりんだけを連れて、島の調査に向かった。今までの調査で多少敵が強くなっていく事は理解したので、そろそろ攻略をしっかりやらないと面倒になると思い、移動は完全に僕が主導でちのりんを肩に乗せて走るという手法で島を走り回ろう
「とりあえずアイツが動いてないかだけ確認しておくか……」
今回の予定は例の横たわっていたオートマトンのボスみたいな奴の3つのバリアを破壊する事。もう一度しっかりソイツを見ておこうと思って、確認しに来てみたが……
「あれ?良く見たらこのバリア……」
「ぽよ?」
バリアが若干3方向に尖っていた。これはもしかして?
「よし、まずはこの方向に行ってみよう」
「ぽーよっ!」
このバリアが尖っている方を進んで行けば何かあるんじゃないかと島を走ってみる。材料はレシーバー以外足りてるし、この辺のゴーレムとかオートマトンはスルーだ。倒す事でリポップや、レア種が出てくるかもしれないなら、倒さないでスルーしたらそれ以上出てこなくなるかもしれない。そうしたら後ろから追われるだけで済むから意識を集中させやすい
「多分こっちの方向で合ってるはず……ん?あの壁怪しいな?」
島を走っていたら、崖っぽい所の壁部分に魔力を感じる。これは確実に何か隠してますねぇ?
「おっ!お邪魔しまーす」
「ぽよぽーよっ!」
魔力を感じた壁を触れてみるとそのまま貫通した。壁の感触も無いからこれはホログラム的な物だったかもしれないな
「おぉ、隠し部屋か!」
ヘックスさんも上から隠し部屋の発見を喜んでくれている
「隠し部屋には大事な物が置いてあるっていうのはやっぱり常識だねぇ?しっかり守る奴も配置しちゃって……」
「「………」」
隠し部屋に入ると、番人みたいなゴーレム2体がトーテムポールの様な物を守っていた。しかもご丁寧に何か波紋の様な物を空中に発している。その波紋が向かっている方向は当然と言うべきかあの横たわるデカいオートマトン
「ちのりん?アレで行くよ!」
「ぽよ?」
「僕達がオーガを倒した時の奴!一番最初のアレだよ」
「ぽよっ!ぽよぽよぽー!」
何をして欲しいのかすぐに理解したちのりんが少し体積を増やし、僕を持ち上げる。そして……
「うぉぉぉ!?」
ちのりんにぶん投げられてゴーレム2体の間を高速で抜ける。あの時と同じ様に、トーテムポールに向かってキックで突っ込む
「悪いなぁ!今は急ぎなんだよ!」
本来なら番人を倒してからゆっくり破壊したり、番人も倒して素材を入手とかをするのかもしれないけど、今欲しいのは魔力レシーバーのみ。このバリア発生装置みたいな物をぶっ壊して次のバリア発生装置を破壊しにいくのだ
「一か所破壊!ちのりん次行くよ!」
「ぽよっ!」
ちのりんを掴んで肩に乗せ、即座にその場から脱出。こういうのって終わるまで出れないかなぁと思っていたけど、トーテムを破壊したら後ろの壁の映像が無くなった。これはもうここから脱出出来ると思って外に向かって走ったら普通に通過出来たので、閉じ込められるとしてもトーテムを破壊するまでで、番人と戦闘しなくても良いというのは丁度良いな。無駄に戦闘をして時間を浪費しなくて済む
「ヘックスさん!さっきのバリアの形からあと多分2か所あるトーテムのおおよその場所分かる?」
「少し待て。島の形状、バリアの強度問題、先程の隠された配置……推定で行くがガイドを出す。インカムドローンの示す光の方向に向かってくれ」
インカムドローンからレーザー光みたいな細い光の線が出てきた。これをガイドにして走って行けば良いんだな
「先程倒していなかったゴーレム達もハチの追跡に入ったぞ。1か所でももたつくと挟まれる可能性がある。何処かで倒した方が良いんじゃないか?」
ヘックスさんの提案ももっともだ。だが……
「急いでるのもありますが、どうせならこの島を渡したくない奴の怨念がどの程度なのか見てやりましょう」
怨念として魔法が残っているのなら、その魔法を破壊した方が死神さんのお手伝いとしての役割も果たせるかもしれない。だとしたら限界までその魔法が発動した所で破壊とか出来れば、この島は平和になるかも?別に僕もゴーレムやオートマトンを倒すのは僕に襲い掛かって来るからであって、向こうにその意思が無いのなら、放置でも良いかなと思ってる
「全く、そういう事ならこちらも囲まれないようにルート指示はしっかりしよう。但し、トーテム破壊の際は本当に気を付けるんだぞ?」
トーテム破壊に手間取ると後方から奴らが流れ込んでくる。さっきみたいに速攻で決める必要があるな
「分かりました!ちのりん?さっきの感じで次も行くよ!」
「ぽよっ!」
ただトーテムを破壊する事だけを考えて駆け抜けよう。下手に欲を出すと良くない
「その先を曲がった所が隠し部屋候補地だ」
「はい……あった!」
確かに道を曲がったらそこにはホログラムで隠されていたトーテムが有った。今回はオートマトンが守っていたみたいだが……ちのりんライダーキックを止められる事は無かった