空島閉じます
確実に状況説明を求められる状況。今は正直誰とも出会いたくなかったが、2人と出会ってしまった。どうする……どう切り抜ける
「ハチ君!丁度良かった。実はハチ君に相談したい事があってね」
「結構事態は急を要する事になりそうなんです。後ろの人も気になりますが、今はそれよりも差し迫っている事の方が大事で……」
何やら大変な事が起こったみたいで特攻服を着ているフォヴォスは一旦置いておいてくれるみたいだ
「何が起こったんです?」
「ゲーム内で1週間後。ドラゴンが街に攻めてくるかもしれない」
「「えっ!?」」
街にドラゴンが攻めてくる……何だか嫌な予感がしてきたぞ
「もう少し情報はないんですか?」
「何でも、漆黒龍と呼ばれている龍の中でもかなり強力な龍王と呼ばれるレベルのドラゴンが何かを探してやって来るというのがギルドから知らされた。とにかく戦力を集めようって話になってハチ君を探すのと並行で防具を強化しようかとここに訊ねてきた所だったんだ」
はい、確実に関係大有りなの来ましたー!
「それって、戦力を集めて討伐するって事ですか?」
「いや、討伐ではなく撤退させられたら充分らしい。クエストの難易度的にも街の混乱を避ける為に頼める人材は多くは無く、大体にしてどこの街に来るか分からないので、戦力分散をしなければならないので、討伐する事はまず不可能だと」
まぁ、ドラゴンがそう簡単に倒せる訳が無いよね。それに実力のあるパーティとかを分散して配置しなきゃいけないって事はまずドラゴンを倒す事は考えてない。最悪そのパーティが街からドラゴンを引き離す囮をするくらいの考えがギルドの出した答えって奴かな?まぁそれで上手く行くとは思わないけど
「フォヴォス?」
「なんだ?」
「お父さんは人を殺すタイプ?」
「邪魔するものは全て倒すってタイプだな!」
「オッケーなるほどね。こっちから呼びかける事は出来そう?」
「呼べば来るだろうな。呼びたくは無いが……」
よし、こっちに呼べるのであればやるしかないな
「早急に準備しなきゃいけないな……よし!今日から数日間空島はお休みします!空島には入れません」
「「えっ!?」」
僕の判断に驚く2人。まぁ無理もないか
「ど、どういう事ですか?」
「なんでそういう決断に?」
「まぁそれに関してはドラゴンを何とかする為ですね。因みに大ヒントですけど、こちらのフォヴォス。その漆黒龍の娘さんです。それじゃ!」
「「はっ!?」」
その一言だけを告げて、フォヴォスの手を取り、泉に走る
「もう帰るんだな!よし!」
すると意図に気が付いたのかフォヴォスも走り出したのだが、フォヴォスの方が全力では無いにしろかなりの速さで走った為、逆に僕が遊園地とかではしゃいでいる子供が持っている風船よろしくひっぱられる事に……腕持ってかれるかと思った……
「どうした?泉についたぞ?」
「あぁ、ありがとう。戻ったら空島お休み令を発動しなきゃ」
そしてフォヴォスの親が来る前に島の調査を完了させてフォヴォスのバイクを完成させないとなぁ……一回はダイコーンさんに見せて一緒に走るとか色々予定があったけど、ゲーム内で一週間となるとやはりそこまで時間がある訳では無い。残った時間でフォヴォスを厨二親としっかり戦えるレベルのヤンキーにしなければならないし、このクエスト……多分クリアの仕方によってはフォヴォスは親と一緒に帰る事になるだろうから今の内に色々思い出作り的な事もしておいた方が良いかもしれない
「どうしよう。今島に居る人達は一旦帰した方が良いか?」
サーディライの領主リリウムさんの所から来ている吸血鬼姉弟のエリシアちゃんとフォビオ君とか、アグラウドから来ているキャティ君。フィフティシアから来ているルクレシアさん。モルガ師匠は別にここに加えなくても良いか……その辺の人達は安全の為一旦帰すとか考えておくか。空島で戦闘行為が出来ないとはいえ、何が起こるか分からないし
「一応聞いて回ってみるか」
これから空島が危険な状態になるかもしれないから可能なら帰った方が良いと言って回らないと……
「あー、あー、現在空島にいらっしゃる方々にお知らせです。空島リニューアルの為、大規模改修を行う予定です。その為、一度島を閉じる必要があるので、皆様ご協力お願いします」
本当の事を話す必要は無い。とにかく普通の人は一度島から出て行ってもらう必要があるからこれで良い
「空島リニューアル?マジか!次は何が起きるんだろう……」
「何か新しい施設が増えたりするのかな?」
「とりあえず空島は一旦使えなくなるのかぁ……まぁ使わせてもらってるんだから文句は言えないわな」
「出来るだけ早めに開いてくれると良いなぁ……」
色々と期待されているみたいだ。フォヴォスの親と決着をつけられたら何か新施設は作っても良いかも
「よし、揃っているみたいだね。君達には本当の事を話す。それを聞いてからどうするかだけ決めてくれるかな?」
「「「「……」」」」
エリシアちゃん、フォビオ君、キャティ君、ルクレシアさんを城の1室に集めて、これからする事を話す。この島に学びに来ている彼らが何も知らないというのは流石に良くないだろうからね