ハチ君してる
「これでとりあえずは村の誰でも羊さん達に水やりが出来るね」
「「「「うめぇ~」」」」
クラウディアシープ達もちゃんと姫様が使ったマジック・レコーダーから出た【ミスティックミスト】を食べている。これは成功だな
「おぉ?なんかまた新しい物増えてるなぁ?」
「ワリアさん。あの、その恰好は?」
骸骨のワリアさんが革のエプロンと麦わら帽子を被ってもこもこ牧場にやって来た
「おう、そいつらが落とした毛を集めてる所だ。普通はこんなハイペースで毛が増える奴らじゃないんだが、餌に魔力が籠ってるから案外その辺が効いているのかもな。ほれ、雲の糸と雲毛だ」
ワリアさんが集めてくれた糸と毛を貰う
『雲の糸×12 雲毛×12 を入手』
「これって、落ちてた毛全部じゃないんですか?」
「いや、それ以外にまだ少し落ちてたんだ。今の所4体居るが、ここが良いぞってクラウディアシープ達の間で噂が広がったりしたら他からやって来てかなりの施設になるかもしれんな?」
「え?」
口コミで増えたりするものなの……
「ふわふわ~」
「「「「あったかぁ~」」」」
ホーライ君がクラウディアシープ達の中で寝てるけど、もしかしてホーライ君が近くに居るからお互いに何か良い影響とかあるのかもしれない。ストレスがたまると毛が黒くなってパチパチするとか言ってたし、もしかするとホーライ君がその静電気的な物を吸い取ってるとかあるのかな?でも、ただの雲の中と違う事と言ったらそういう所だと思う
「とりあえずありがとうございます。これはありがたく使わせてもらいますね」
さっそくメロにゃんさんの所に持ち込んでみるか
「おーい!ハチ!」
「あ、フォヴォス。と、ボルカさん」
人状態のフォヴォスと人型ボルカさんがやって来た。タイミングバッチリだな
「あれ?そういえばボルカさんって火山には一度戻ったんですか?」
「いや、今の所は戻って無いな。まだ火山は放置してても大丈夫だからちょっとこの島で色々見てたわ。この島意外と面白いな!」
空島から帰らなかったらしい。一応は自分の家なんだからさぁ……
「ちゃんと帰らないとダメですよ?自分の家があるんですから」
「「……」」
これに関しては正直フォヴォスに対しても言っている様な物だ。いつか必ず親と対決しなきゃいけない時が来る。その時の備えでは無いけど、心構えは作っておかないといけないだろう。僕の意思を何となくくみ取ったのか、ボルカさんが乗ってきた
「仕方ねーじゃんここ面白いんだから。別にあそこに戻っても誰も心配してねぇぞ?」
「心配してる人は居ると思いますよ?それこそ、近くの街とかだと守り神が居なくなっていつ噴火するか分からないみたいな事になってるかも……」
「……わり、一旦帰るわ。フォヴォスは置いて行くから。フォヴォス、ここから先は自己責任だ。ここに残るも帰るも決めるのは自分だ。それだけは忘れるなよ?」
「……あぁ」
「そんじゃ一旦帰るわ」
フォヴォスがボルカさんの言葉を噛み締めている間にそそくさとドラゴンの姿に戻り、帰って行くボルカさん。さっきのは良い言葉だったと思う
「とりあえずフォヴォス。一旦一緒に来てくれるか?」
「あ、あぁ……分かった」
流石に親との事を思い出したのか少し、元気が無いフォヴォス。まぁそれは絶対に解決しなきゃいけない事だから多少は深刻に考えるのも仕方ない
「メロにゃんさん」
「あら~ハッちゃん……そちらが例の?」
「はい、一応採寸だけしてもらおうかなと」
「よ、夜露死苦……」
ちょっとキレがないな。メロにゃんさんにビックリしてるんだろうか?まぁ、こういう言い方は悪いけど、メロにゃんさんの姿もある意味黒歴史と言っても過言じゃないからなぁ……
「それじゃあ奥の方に来てくれるかしら?」
「お、押忍……」
恐る恐るという感じで奥に行くフォヴォス。一応君ドラゴンだよね?この調子だとハスバさんと会ってもビビりそうな雰囲気だな……
「昨日の今日で採寸に来るって事は素材は普通の物にするのかしら?」
「いえ、これで何とかなります?」
メロにゃんさんに雲の糸と雲毛を全部渡す
「へ?」
「雲の糸と雲毛両方12個ずつです。足りませんか?足りないなら明日また用意して……」
「いやいやいや!なんでこんなレアな素材をすぐにこれだけ用意出来るの!?」
「言われてからすぐに行動したので……」
服を作るにはこれが必要だからって事で急いで用意したんだけどなぁ?
「なるほどね……これが噂のハチ君してるって奴なのね……」
なんだか名誉なんだか不名誉なんだか分からない言葉が出てきたぞ?
「とりあえずどうでしょう?それじゃあ足りませんか?」
「いえ、これだけあれば立派なのが作れるわ。背中の字に関しては後で入れられる様にするから出来上がったらすぐに入れても良いし、まずは無地のままで何を入れるか決めてから入れると良いわ」
良かった。材料は足りてるみたいだ
「フォヴォス。特攻服作れるって」
「本当か!?店主!ここは1つ夜露死苦!」
さっきまでのテンションと違うな?やっぱりプレゼントは気分があがるのかな?