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増えた理由

「クラウディアシープなんて珍しい生き物の事良く知ってたな?」

「知り合いの人に教えてもらって、その毛が凄いふわふわだから服とかクッションとか色々使えると聞きまして……」

 ドナークさんがこっちを見ながらも尻尾の先でクラウディアシープの毛をちょんちょんと触っている。僕も触りたい


「ほら、ハチも触って見るのだ!もふもふだぞぉ?」

「お、おぉぉ!なんか不思議な感触だ」

 姫様に誘導されて触らせてもらったけど、餅の様な、ビーズクッションの様な、それでいて羽毛の様な軽さもあるし、羊毛の様な温かみもある。もちもちふわふわと表現するべきか?


「この毛ってどうやって取ったら良いんだろう?流石に毟り取るのは可哀想だし、毛刈りは季節とかもあるだろうし……」

「クラウディアシープは水を飲むと毛が増えるんだ。まぁ、飲み過ぎると毛が黒くなって肌触りが悪くなるんだが……あとパチパチしてくる」

 ドナークさん曰く、水を飲むと毛が増えるっていう事は雲が水蒸気を集めて大きくなる的な事だろうか?飲み過ぎると黒くなってパチパチして来るって辺りも本当に雲みたいな感じだなぁ


「それじゃあクラウディアシープ達って自然に置いておくと水を溜め込んで黒くなっちゃうんですか?」

「それはちょっと違うな。溜め込むのはストレスを感じている時だけだ。ストレスを感じてなければ毛が勝手に毛玉になって落ちるんだ。それを拾えば雲毛とか雲の糸なんて素材が入手出来るはずだ」

 なるほど、自然にドロップする類の物なのか。それなら無理矢理取るとか可哀想な事をしなくて済む……というか、その毛の素になっているのって、水なのか?水が毛になる……確かにそれならあの餅っぽい感触とかもある意味納得出来るかも


「どうもどうも羊君達。ここの居心地はどうかな?」

「「「「ちょうどえぇ~」」」」

 丁度良いらしい


「皆はホーライ君について来てくれたんだよね?こんにちは。僕はこの島の管理人みたいな事やってるハチって言うんだ。どう?ここは住みやすそうかい?」

「「「「すめぇ~る」」」」

 住めるって言ってくれてるな。よし


「ここに住んでくれるなら、君達から出る毛が欲しいんだけど、何か用意して欲しい物とかあるなら言って?可能な限り用意するから」

 さっき水で毛が生産されると分かったから水飲み場は確実に用意するとして、他に牧草とかも食べたりするのだろうか?


「「「「みず~」」」」

「水は用意するよ。あ、もしかして水蒸気じゃないとダメかな?」

 ただ単純に水を用意するだけではダメなのかもしれない。雲の中に居たのであれば、水を水蒸気にしておく必要があるな……


「「「「ん~?」」」」

「えーと、単なる水じゃなくて雲みたいに水の煙みたいな状態が良いのかなって」

「「「「おぉ~それいい~」」」」

 やっぱり普通の水より、水蒸気の方が良いのか。これはやかんというか、加湿器みたいな物があると良いのかな。そういえば……


「ちょっと気になるからこれが食べられるか試してもらえるかな?【ミスティックミスト】」

 水蒸気が主食だとしたら、ミスティック『ミスト』も多分水に分類されるかもしれないから食べられるか試してみよう


「「「「なにこれ~うま~」」」」

 展開したミスティックミストがどんどん減少していく。ミストが食べられてるみたいだ


「食べられるんだ……味も良いみたいだな」

 確かにクラウディアシープ達が少し膨らんでいる気がする。水の形は水蒸気やミストがベストかな


「普通の水よりも魔法で作った水とかの方が良さそうか。よし、ここはヘックスさんに相談しようか」

 流石に今から作ろうと思っている物は僕が個人で作れそうな物では無い。機械を作るならヘックスさんの協力も必要だ


「今日は島の調査にも行くし、丁度2人も揃ってるから今からヘックスさんの所に行こう。多分家に居るよね?」

「私ならここに居るぞー」

 そう言いながらヘックスさんが厩舎の中から出てきた。何か一仕事終えた後みたいな表情だけど、何をしてたのかな?


「ヘックスさん。何してたんですか?」

「この羊達の寝床の魔力調整の最終チェックさ。多すぎても、少なすぎても良くないからね」

 確かに、毛が大事なクラウディアシープの体調に影響が有りそうな魔力量の調整はしっかりやってもらいたい


「あの、ヘックスさんに頼みたい事が有るんですけど……」

「何を頼みたいんだい?」

「1つ魔法を記憶して、誰でもその魔法が使える装置みたいなのってありますかね?」

 もし、【ミスティックミスト】を誰でも使えるように出来たのなら羊の餌やり的な事を誰でも出来るかもしれない。それならこの羊達も安心してここに居てくれるだろうし、ストレスも少なく良い毛を落としてくれるんじゃないだろうか


「そうだな……ハチ。島に行ったらゴーレムのルーンを追加で1つ取って来てくれ。そうしたら残りはオートマトンの欠片をちょちょいと使えば魔法を記憶しておく装置なら作れる」

 ほほう?それは島の調査をやらなきゃいけない理由が増えてしまったなぁ?


「分かりました!それじゃあ今から行けますか?」

「私はいつでも問題無い。残りの2人は……後ろの2人で良いんだよな?」

「はい、2人とも今から島の調査に向かうけど良いかな?」

「「問題無い」」

 頼もしい返事が帰って来る。よし、それじゃあ行こうか!



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― 新着の感想 ―
[良い点] 誰でも単一の魔法が使えるとか、想像以上にヤバくないか。 魔法の相性とかにもよるだろうけど、ヴァルゴ置くだけでもお手軽性転換装置になるし、レスト置くだけでもお手軽ショートスリープ装置になる…
[一言] このモチモチ具合、ヒトを駄目にする寝具がつくれるぞ!
[一言] 高性能汎用素材たっぷり、私欲魔術師(故人)の技術力?怨念?がすごいですね
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