要望通りに
「島の調査で補助してくれる人が欲しk……」
「引き受けよう!」
別に食い気味に言わなくても大丈夫なんだけど……
「あの村で私を置いて補助に強い者はまず居ない。私が適任だ!」
「じゃあ3日後に頼んでも良いかな?」
「任された!」
胸を張ってムフー!とでも言いそうな姫様。まぁ自信がある事は悪い事でも無いし、やってくれると言っているのだからお任せしよう。売り子も1日くらい休んでも問題無いだろうし
「さて、それじゃあ最後にメロにゃんさんの所に行かないとな」
メロにゃんさんはファステリアスで裏道の方にお店を開いていたハズだからそこに行ってみよう。前のドレスはハスバさんが代金を出してくれたから何とかなったけど、今回は相手の要望に答えて何とかならないかの相談からだからなぁ……
「いらっしゃいま……あらぁ?ハッちゃんじゃない」
「ハッちゃん……まぁそれでも良いですけど。お久しぶりですメロにゃんさん」
お店に行ったらなんかあだ名をつけられていた。まぁ嫌では無いので訂正しなくても良いだろう
「今日は何か欲しい物でもあるのかしら?」
「欲しい物はあるんですけど、お金が無いのでお仕事手伝うとかで何とかなりませんかね?」
「そうねぇ……物にもよるとしか言えないわね?」
そりゃあそうだ。Tシャツとドレスが同じ価格で買える訳が無いのと一緒でどんな服かによってお手伝いの報酬として納得出来るかどうか分からないよな
「そうですね。えっと、こういう服って作れますかね?」
テアトルクラウンの服で特攻服を見せる。これが一番どういう服を作って欲しいか分かりやすいだろう
「……えっ?」
「僕と背丈はそこまで変わらないんですが、特攻服を着たいって子が居て、その子にプレゼントしてあげようと思ってたんですけど……呪いのアイテムの関係でお金が持てないので何とかならないかなぁと……」
「いやいや、ちょっと待って?お金云々よりもその服は何!?」
そっか、メロにゃんさん的にはこの服の方が気になるか……
「これはユニークアイテムで触れた服の見た目を5分間変える事が出来る物で……失礼します」
メロにゃんさんのアオザイに触れ、見た目をスパンコールドレスに変えてみせた
「えぇ!?何これ凄いじゃない!」
「まぁあくまでその姿が5分持つってだけなので、服についてる特殊能力が変わるとかは無いです。変えたかったらまた触ればこんな感じで」
今度はチャイナ服に変える。ムキムキのメロにゃんさんだとどうしてもピッチピチになってしまっているのは……まぁこの際無視だ
「これは流石にあげられないし、入手法と言えばお世話になった人のお師匠さんが残してくれた服を着られなくて勿体無いから僕に着てくれって貰った物なので……」
これをくれと言われても流石にあげる事は出来ない
「まぁ大事な物は人それぞれよね。大丈夫任せなさい。服に関しては何とか作れると思うけど、作ってあげるからちょっとお願いを聞いてもらっても良いかしら?」
「どうぞ」
さぁ、何を要求されるかな?
「まずは例のアレと併用してちょうだい!そしてこのスケッチの服を模倣してみて欲しいの」
例のアレとは【ヴァルゴ】の事だろう。そして渡されたスケッチを見て見ると、しっかり前後の姿を書いてあったりするウエディングドレスの様な服だった。このスケッチ……ただ服が好きで描けるような物では無い気がする……直接聞いたりはしないけど、もしかしてメロにゃんさんってデザイナーだったりするのかな?
「……なるほど、完璧に模倣出来るとは言い切れませんが、可能な限り再現してみます」
背中の腰部分の大きなリボンだったり、胸の花だったり、出来る限りスケッチ通りの大きさで再現してみよう
「よし、それじゃあ行きますよ。【ヴァルゴ】」
メロにゃんさんが女性に変わり、そしてテアトルクラウンの服の効果で、既にアオザイに戻っていた服がスケッチのウエディングドレスに変化する
「凄いわ。ほとんど想像通りのドレス……」
「微調整も出来ますよ。少しフリルを足すとか逆に何か消すとか色を変えたりとか……」
イメージを形にするので、既に形が出来ているのならパーツを消したり増やしたり色変えは簡単だ
「このスケッチはメロにゃんさんが描いたんですか?」
「ええそうよ。実際に作ろうとしたら素材を集めるのも大変だけど、形に出来れば色々と参考になるから何とかしようと思ってた所でハッちゃんが来て、これをやってくれたお陰でかなり捗りそうよ!」
「まぁ実物とかあった方が想像はしやすいですね」
2Dモデルより3Dモデルって所だな
「ここをもう少し短くして、胸の花はもう少し小さくして主張を抑えても良いかもしれないわね。でも背中のリボンは少し大きくして背中の主張をもう少し強めにした方がメリハリがついて良いかしら……」
「短め花小さめリボン大きめ了解」
なんかラーメン屋の注文みたいな受け答えになってしまったけど、メロにゃんさんの要望通り変形させる
「良い!これよ!スケッチを少し修正して……これで行きましょ!」
どうやら気に入って貰えたみたいだ