帰還の選択
「中々良い選択だったよ。だけど、付け焼刃のその体じゃ駄目だね」
小柄になったゴーレムの手足を破壊し、身動きが取れないように徹底的に破壊する
「これが本当に人間の戦い方なのか……」
「僕なりの戦い方ですね。よっしゃ!ゴーレムのルーンゲット!」
連続で同じ種類の奴を倒す事でレアな奴が出てきて、レアな素材が入手出来るとなれば結構効率も良くなるだろう
「よし……やっぱり今日は一度帰ろう」
「え?まだタンシャの分が全部集まってないぞ?」
「まぁ欠片は必要分集まってるからそう焦らないで。2人の実力はしっかり確認出来たし、一度帰還して別の人との探索相性とかも知りたくてね。例えば、今2人は全く気にしてないけど、その足場に生えてる草。それが実は薬草だとか言ったらどんな薬草か分かる?」
「え?草の事は全然分からないぞ?」
「……!」
「分からない。と言っているな」
まぁ分からなくても仕方ないよなぁ……
「ごめん、実は適当に言った。その草自体はただの雑草なんだけど、2人は戦闘能力が高い分、探索というか、採取系はそこまで得意じゃないと思うんだよね」
2人の戦闘能力は抜群に高いだろう。今後ここで戦闘が起きても2人に任せてしまえばそれで終わるかもしれない。でもここで例えばだが、姫様とお付きのゴブリン1体を連れてきたりした場合、姫様のバフで戦闘、逃走が格段にしやすくなって、お付きのゴブリンがこの草は、とかこの鉱石はレアだから採取していくと良いとか、良さげな物を教えてくれるかもしれない
「戦う事は楽しいからドンと来い!だけど、周りの物に関しては良く分かんないな」
「……!………!」
「えっ、いやいや、そんな事をする必要は無いぞ?」
「なんて言ってるんです?」
「探索出来るように色々と設定変更してくれとな。それをしたら多少人格に影響が出てしまうかもしれないからダメだと」
「それはやっちゃダメかな。手伝ってくれようとしてるのはありがたいけど、人格変えてまで手伝っては欲しくない」
ピュアルがピュアルで無くなってしまうのは絶対にやっちゃダメだ。そこまでしなくても充分捜索に向いているのが居るはずだ
「とにかく一旦帰ろう。不完全燃焼かもしれないけど、安全第一でね?ここで急に凄い奴が出てきて対処出来ないとかもあるかもしれないからね」
島に〇時間居るとお仕置きボスみたいなのが出てくるとかあるかもしれない。それにここまで入手出来ていないオートマトンの魔力レシーバーというアイテムもあるので、これも探す為にも一度帰還して編成を見直してみる事も必要なのかもしれない
「納得は出来ないが、帰ると言うのなら……」
「タンシャを作るのに必要な最後のアイテムが、例えば他のオートマトンと戦った情報を元にそれに対応するように変化したボス的存在が居た場合は、今日は帰る方が絶対に良いんだよ」
「へ?」
今日は帰ろうと思った理由。同種を連続で倒した場合に出てくる上位種というか変異種。あれは中ボス的存在でその更に上が居るのでは?という思考に至った。今の奴らは多少ノーマルより戦える様になったくらいだけど、相手に対応する為にパーツを集めて装甲を増やすという手法を取ったり、逆に余分な装甲を削ぎ落して相手に追いつこうと速度を上げようとしたりという工夫が見えた。ただこれが、〇〇無効的な効果が出た場合……そう、物理攻撃無効とか出てしまったら今の3人で戦うのが非常に辛くなる
「今日オートマトンが戦った相手は僕、フォヴォス、ピュアルの3人でしょ?皆近接攻撃が得意なメンバーだけど、ここで例えば僕達に対応する為に物理攻撃に耐性を得たオートマトンが出て来たら確実に辛くなる。その為にも魔法アタッカーかその耐性を無効化出来る様な人とか必要になってくるかもしれないから今日は帰ろうって言ったんだよ」
初日に高火力メンバーで行こうという事になったけど、皆近接系が得意だったからまだ見ぬ敵が物理耐性のみを得ていると想像出来る。魔法アタッカー……エアラさんとか?後は姫様は絶対に連れてきたい所だ
「なら、最後にあの洞窟だけ見ていこうぜ!あれは気になる」
「………!」
「あの洞窟はまだ探索していないな。調査してくれるか?」
「オッケー。じゃああの洞窟を最後に調べてから今日は帰還しよう」
フォヴォスが見つけた洞窟に入って行くが、誰も灯りとか付けようとしない……皆暗闇でも見えてるんだな
「さて、どんな洞窟……おっと、これは大物が寝てますねぇ?」
洞窟の中に入ってみるとそこは長く続く洞窟……では無く、広間の様になっており、そこには巨大な人型オートマトンが眠っていた。そしてそのオートマトンを守るように透明なバリアの壁が3重に張られている
「このバリアは……この島の何処かに発生装置があるタイプか?」
流石にあれだけ守られているとなれば、このオートマトンとは今は戦えないという事なのだろう。多分だけど、アイツが魔力レシーバーを持っているんだろう。あれを倒さないとバイクは作れないだろうからやっぱり今日は帰ろう
「フォヴォス、良く見つけてくれたね。空島に戻ったら……あの人にちょっと頼んでみようか」
「何を誰に頼むって?」
「服屋にフォヴォスの特攻服をね?」
ポンチョでも良いけど、やっぱり自分用の服とかあった方が良いだろう。メロにゃんさんにピュアルの分の服も頼めたりするかな?報酬は……その時に考えるか




