レアタイプゴーレム
「このやり方だとコアは確定で入手出来るかな?よーし、それじゃあ次はゴーレムだ!」
「なんだそのやり方……怖っ!」
「………!」
流石にコア引き抜きは見た目が良くなかったかな……ピュアルとヘックスさんが一応は見てるし、今後は控えめにしておこうかな
「次は僕がゴーレムを倒すよ。だから手を出さないでくれ」
今回は僕が集中的にゴーレムを倒してみる。これでゴーレムのレアタイプが出てきたら言う事なしだな
「それだけ動きが鈍かったらっ、結構なんとかっ、出来るんだよっ!」
ゴーレム達の緩慢な動きなら複数体同時でも相手出来る。もう同士討ちさせないようにとかそんな事を気にしなくて良いのは助かる
「はぁ!」
ゴーレムの相手は片足を破壊してバランスを崩壊させて倒していくのが良いだろう。何気にこのゴーレム達、関節以外がかなり硬い。足は内側からの鉄山靠が股関節にかなり効くみたいで破壊がしやすい。ゴーレムが重いから足先が地面に着いたままで、鉄山靠の衝撃が股関節に集中してしまい破壊が出来るのだろう。もしかしてゴーレム系のレアタイプは他のゴーレムの破片を集めて足回りを戦車みたいに履帯っぽくなって体重を支えるなんて事をしているかも?
「本当に手伝わなくて大丈夫か?ブレスで片付けた方が楽だぞ?」
「大丈夫!まだ行ける!」
フォヴォスの声が聞こえる。ドラゴンのブレスでゴーレムを焼き尽くすのは確かにすぐに終わりそうだけど、とりあえずここは他の人の手を借りずにゴーレムを倒し続ける。倒したゴーレムは体の土が乾燥してひび割れている様になるから、倒したのか、ただ転んだだけなのか見分けは付くし、僕が連続で同じ種類の敵を倒したらレア種が出てくるのか。その検証の為にも、フォヴォスに手伝ってもらう訳にはいかない
「途中追加も入ったけど、ラスト一体!」
途中で僕達が引き連れていたゴーレム以外に他の所からもやって来たゴーレムも一緒に足を外したり、腕を外したり、頭を外したり……とにかく関節を狙った攻撃でゴーレムを片付けて最後の一体が残った
「あれ?なんでひび割れてるんだ?」
ゴーレムは倒したら体が乾燥したようにひび割れるはずなのに、最後の一体はまだ立っているのに体がひび割れている。もしかして……
「ゴーレムはそういうタイプかっ!」
オートマトンは他のオートマトンのパーツを集めて強化されてレアなオートマトンになるタイプだったが、ゴーレムはどうやら他のゴーレム達がやられて情報を収集したのか、最後の一体の体がひび割れ、その中から細身で小柄なゴーレムが出てきた。多分だけど、大型の体では小柄な僕を相手にしても捕らえられず、足を破壊されて負けるだけだと思い、僕に似せた小柄で素早い体を用意したのだろう。胸にルーン文字的な物も刻まれているなぁ
「良いぞ!こういうのは大好きだ!」
相手に対応する為に相手と似たような姿を取る。学習してるからゴーレムの方が厄介になりそうだな
「小さくなって速度が上がった分、威力は減っただろ?」
僕の姿を真似たゴーレムは確かにパンチやキックの速度は上がった。だが、今までの質量による破壊力みたいな物が無くなったので、攻撃を受け流した時に地面に穴が開いたり、木を破壊したりする力が弱くなっていた
「あと、僕にサイズを合わせてくれたのは完全に失敗だったね。悪いけど、それなら……よっと」
僕の顔面を狙った真っ直ぐなパンチも顔を逸らし、空振った所を腕を掴んでそのまま背負い投げ。そこからゴーレムの腕を背中に回して関節を極める。ゴーレムが痛みを感じればここで抵抗はしないが……
「やっぱりダメか……人だったら確実にこれで痛がるんだけどな……」
体を捩って何とか僕を振りほどこうと抵抗するゴーレム。というかやっぱり人の体とはちょっと違うな
「じゃあもうやるしかないや」
関節を極めたと思ったけど、手首や腕が360度回転する状態だからこのまま肘を更に背中側に押し込んで腕そのものを破壊する。絶対に曲がらない部分を更に曲げようとする事で骨折させるように折り込んでいき、そのままもぎ取る
「うわっ、痛い痛い痛いっ!」
「フォヴォスは見てるだけじゃん……」
分かるよ?腕極めてるシーンとか見てるだけでこっちまで痛くなるあの感覚なのは分かるけどさ……ここで手加減したら僕がこうなってるかもしれないんだ。相手の攻撃手段を奪う為にも腕1本は頂いていく
「これが……ステゴロ!」
「一応中距離くらいまで攻撃する手段はあるけど、確実に相手を倒す為には僕の手で直接仕留めるのが一番。やるかやられるかだよ」
一歩間違えば僕がこのゴーレムの様に腕を捥がれる可能性もある。自分が生き残る為には相手の脅威度を減らす為にも相手の攻撃に使用する部位を破壊したり、使用出来ないように封じたりするのが勝利への近道だろう。武器持ちなら武器を奪い、素手であれば腕を破壊する。痛みや恐怖を感じない相手との戦闘になったのなら手加減はこっちの死に直結する。初対戦の相手であれば尚更だ
「容赦の無い戦闘だが、自分が生き残る為の全てが詰まっている様な言葉だな」
ヘックスさんも分かってくれたか
「生存するのが第一だからね。2人もマズいと思ったら気にしないで逃げてね?」
正直一番伝えたかったのはこれだ。僕はやられても復活出来るだろうけど、NPCであるフォヴォスやピュアル達がやられてしまったら復活出来るとは限らない。例え戦闘能力が高くても油断はしちゃいけない。犠牲を出してレアなアイテムを入手するくらいなら、何も入手出来なくても犠牲無しの方が良い。まぁヤバいと思ったら即帰還を僕が選択するのが一番か