レスト神拳
「お、おい!これで良いのか?」
「………!」
「オートマトンのみを選別して倒すのは私もしていなかったが、残ったゴーレム達が後ろから追ってきているのはどうするんだ?」
今はさっきのチャリオットタイプのオートマトンが出てくる条件が分からないので、とりあえずパーツを拾って合体している説を考慮してオートマトンのみを破壊している最中だ。倒した傍からナイフでサクサク刺して欠片を集めてはいるが、オートマトンの欠片以外のアイテムが手に入らない。コアとかはやっぱりさっきみたいな大物じゃないと手に入らないか……ゴーレムの方は動きが緩慢だから無視して後ろにかなりの数が溜まっている。あれも何とかしないとなぁ……
「どうしようかな……後で倒すつもりだけど、とにかく今はオートマトンを優先して!ヤバそうなら僕が抑えるから」
この後ゴーレムだけを倒し続けるも検証したいからこのゴーレム達も今倒す訳にはいかない。貴重な実験体だから僕がゴーレムを引き受けて【受け流し】をし続けるのもアリだな
「おい!そこの、ピュアルとか言ったか?やれるか?」
「………!」
「やれるんだな!よし、それじゃあ行くぜ!特攻だ!」
「……!」
フォヴォスのヤンチャに合わせるようにピュアルもオートマトンに攻撃を仕掛ける。これはピュアルがお姉さんみたいだな
「さて、それじゃあ僕はこっちを抑えようか」
見た所、10体は余裕で越えてるゴーレム達の相手をしなければ。同士討ちとかで数も減らしたくないから攻撃が被らないような誘導をしないとか……
「上かな?」
地上だと横移動で回避はしやすい。だが、攻撃をする側からしてみたら相手は1体、こちらは複数の状態で地上に居る敵を攻撃しようと思ったら射線が必ず被る。となると同士討ちが発生してしまうだろう。それを避けるには相手と高さを変えれば味方を攻撃する可能性は大いに減らせると思う。だから僕はゴーレム達の上を取らなくてはならない
「じゃあこれだね」
ベルトパワーでバッタジャンプからのシスター服に着替えて【精神防壁】で足場を作る。これで相手の上を取りつつ、防御も出来ているからゴーレム達を釘付けにする事が出来る
「オラァ!」
「……!」
フォヴォスとピュアルがオートマトンを片付ける。やっぱり基本体とでも呼べそうな、何も特殊感の無い人型や犬型には2人は苦戦する様子もなく、倒していく。フォヴォスが1体のオートマトンを捕まえ、他のオートマトンを投げ飛ばしてぶつけ、動きが止まった所をピュアルが切り抜けるという連携をして敵の数を一気に減らす。いいなぁ?ああいう連携僕もやってみたい
「まだ、君達はそこで見ててもらわないとね。そうだ」
シンフォニアを取り出し、シスター服に似合うだろうハープを展開し、指向性を扇状にして下を向く
「未熟だけど、一曲聴いてくれるかな」
オーブさんの所で実験して驚いたのは【バインドハンド】がデバフという判定らしく、シンフォニアで範囲化出来た事。触らなければ相手の動きを止められない【バインドハンド】が、音が届けば動きを止められるという凶悪仕様になったので、シンフォニアで音の指向性を限定して【バインドハンド】を使用したら範囲行動阻害が出来るので、これでゴーレム達を足止めする
「しゃあ!終わったぜ!」
「…………!」
「おっ?終わった?お疲れー」
「「……」」
シンフォニアの音の指向性を限定していたせいで2人には音が聞こえていなかったんだろう。オートマトン達を倒して、後ろを振り向いたらゴーレム達が空に手を伸ばした状態で動けなくなっていて、空にはシスターがハープを弾いているという光景を目にして2人が固まっている
「ハチを見てると普通の戦い方という物を忘れそうになるな?」
それは褒めてるのかい?ヘックスさん……
「それよりも出てきたよ!今度は……千手観音?」
今度は腕が沢山あるオートマトンが現れた。千手観音というより大きくないけどヘカトンケイルオートマトンって言った方が良いかな?
「やっぱり偏って倒したら新型が出てくるのかもしれないな。これは良い検証が出来たかも!今そっち行くから!」
範囲化【バインドハンド】で動きを止めたゴーレム達を残し、【精神防壁】の床を蹴ってヘカトンケイルオートマトンの頭上を跳んで行く。3人で囲んで即座に倒して、ゴーレム達に対処したいので、ここからはスピード勝負だ
「スピード勝負ならやる事は1つ!」
ヘカトンケイルオートマトンに駆け寄って攻撃を……する素振りを見せる。勿論大量の腕を持つヘカトンケイルオートマトンが3人程度に囲まれただけで動けない訳は無く、3人に反撃しようとしているから下手に突っ込むとダメージを受けるのはこっちだからここでするのは攻撃では無い
「【レスト】」
まずは動きを止める。糸が切れたように地面に倒れ込むヘカトンケイルオートマトンの顔面に蹴りを入れる……震えてはいないみたいだな?じゃあ恐怖を感じていないみたいだ
「【レスト】【レスト】【レスト】」
動き始めたらもう一度【レスト】で動きを止める。相手の心臓部に掌底、動きだしたらまた【レスト】で動きを止め心臓部に再度掌底。心臓部の装甲が破壊され、完全にコアが露出したので、そのコアを引き抜く。【レスト】による動きの阻害からのこの攻撃はそうだな……言うなればレスト神拳?