目印タワー建設!
「何かあったら遠慮なく言ってくれ」
「分かりました」
インカムドローンからヘックスさんの声が聞こえる。上空で見てくれているのなら不意打ちの危険性も減るだろう。まぁ僕も【察気術】があるから不意打ちに関してはそこまで気にする必要は無いと思うが、僕以外の2人の不意打ち警戒が出来るのなら分散して調査する事も出来るだろう。ただ、まずは3人で固まって行動をして、相手の強さを見極める必要がある。今回の活動次第で僕一人で行動しても大丈夫かどうかの指針にもなるし、フォヴォスとピュアルの強さを見る事も出来るからしっかり見よう
「まずは浜辺で敵が出て来るまで待ってみますか?」
「それよりも真っ直ぐ突き進んじまおうぜ!」
「……!………!」
「周辺の安全を確保しよう。だそうだ」
ヘックスさんがピュアルの通訳をしてくれる。インカムドローン意外と便利だなぁ?
「拠点を作ろうって事?」
「………!……!………!」
「目印があれば、ヘックス様のサポートが無くても集まれる。だそうだ。確かにハチは迷子になりやすいだろうしなぁ……」
確かに何か目印になる物があれば島で迷子になったとしても目印が見える方に行けば戻って来る事が出来るな。僕はどこに行こうか決める時とか、よく棒を投げて行き先を決めるから迷子になりやすい。と言えばなりやすい方だ。分散して調査するとか考えたら帰還や集合用の目印は確かにあった方が良いな
「確かに迷子にはなりやすいから目印は欲しいですね。ヘックスさんに一々どっちに行けば帰れますかと聞くのはちょっと恥ずかしいので」
「別に帰る時に聞いても良いが、目印があれば集合する場所を決められるから楽にはなるな」
「目印って言ったってどういう目印を立てるんだ?」
見て分かるように高い目印を作るにはその辺の木を切って立てただけではちょっと心許ないか
「ヘックスさん、何か目印用のドローンとかありますかね?」
「目印用……ホログラフドローンでも飛ばしておくか。それならただの木材を組み合わせて作った目印の先に乗せておくだけでも目立つだろう」
確かに先端に光る物があればただの柱でも目印としての役割が大きく上昇するだろう。ただの柱であれば破壊される確率も少ないかもしれない。ドローンがその上で光るだけで灯台みたいな役割をしてくれるだろうし、ただの柱なら破壊されてもそこまでコストにならない
「よし、それじゃあピュアルは丸太を切り出してくれ。フォヴォスは丸太の運搬を頼む。丸太の接合は僕がやるから」
「任せろ!これが終わればいよいよだな!」
「………!」
「すぐ始める。だそうだ」
「よし、それじゃあ目印をササっと立てますか!」
ピュアルが走り出し、近場で高めの木を一刀で切り倒し、枝を切り払う。あっという間に丸太が完成して、その後丸太の先端をV字型に切ってもらい、接合する時に合わせやすくする。フォヴォスはその丸太を目印を立てる場所に運び地面に突き立てる。僕がその丸太を登り、魔糸で接合してドンドン柱を高くしていき、木製の目印タワーを完成させたらその先端にドローンが1機着地した
「これで簡易的だけど目印の塔が完成だね。もしも3人で探索中に逸れたとか起きたらこの場所を目指して戻ってこよう」
「おう!」
「…!」
「この浜辺を一応の集合地点として登録しておく」
帰って来る拠点を決めたからこれでやっと島の森内部とかに進行出来る。一応目印を立てている時に敵ゴーレムとかオートマトンは来なかったからこの浜辺は割と安全かもしれないし、早速森の中に入ってみよう
「じゃあ隊列……というのもアレだけど、ピュアルとフォヴォスが前を歩いて僕が後ろを歩くよ。歩いている最中に前から敵が来た場合は2人で対処して僕が補助。後ろからの敵の接近には僕が警戒してこっちが先手を打つ形にしようと思う」
前衛2、後衛1の形で基本は進む。バックアタックされる場合はこれが前衛3になる。ピュアルとフォヴォスが後衛が出来るイメージが思いつかないし、まずは2人の実力も見たい
「よし!やってやるぜ!夜露死苦!」
「…………!」
「こちらこそよろしくお願いします。と」
さて、この2人がどれくらいやるのか。後ろから見せてもらおう
「オラァ!突撃あるのみ!」
「…………!」
「【フラッシュ】」
いやぁ凄い簡単に進んで行くなぁ?フォヴォスは流石ドラゴンと言うべきか、出てきたゴーレムやオートマトンはラリアットとかで吹き飛ばしたり、敵の量が増えて来たら人型でも使えるらしいブレスで一網打尽にしていた。ピュアルはその両手でゴーレムやオートマトンをズバズバ切ってバラバラにしていく。僕はと言えば後方から一瞬前に出て目くらましをしたりする程度だ。これ、一旦僕一人で倒せるかどうかお試しさせてもらった方が良いかもしれないな……2人とも1人で充分戦える力量を持ってるのは分かった。後は僕が1人で戦えるかどうかが分かれば個別探索もアリだな
「次に敵が出てきた時、ちょっと僕にやらせてくれない?」
「ん?前衛交代か?」
「ちょっと僕自身どの程度やれるのか気になってね?」
さぁ、ゴーレムでもオートマトンでも出てこいや!