グレドラゴン
「さてさて、どんな龍が居るのかな?」
居候という事だから、そこまでデカい態度は取ってないと思うんだけど……
「というか、ここは中々狭いな……僕1人分しか通れないぞ?」
ドラゴンが居る場所まで通じているとしてもこの道は流石に狭すぎる。こんな所を通るドラゴンは流石に居ないと思う……下に向かって行ってるからやっぱり火山の中心の方に居るんだろうか?流石にマグマの中を突き進んではいけないから、それを考慮してこの細道を作ってくれたのかな?
「おっ、やっと出口……わぁお……」
全身が黒い鱗で覆われたドラゴンがマグマに囲まれた地面の上で寝ていた。天井から落ちてこないマグマもあるし、この辺はやっぱり魔法的何かがあるのかな?
「あれが件のドラゴンか。さて、理由は聞けるかな?」
真っ黒ドラゴン相手に何故家出したのか理由を聞く事は出来るのかな?
「とりあえず静かに近寄ってみるかな」
いきなり話しかけても良いかもしれないけど、寝起きが悪いドラゴンだった場合はいきなりブレスを浴びせられるとか全然あり得る。まずはこっちも何かしら出来る間合いまで接近してみよう
「しっかり寝てるなぁ……」
警戒しながら寝てるのなら接近した段階で流石に気付かれると思うけど、寝息を立てながらガッツリ寝ている。まぁここに来るような存在自体そうそう居ないだろうし、安心してるんだろうなぁ
「とりあえず起きるまで待つかな?」
クエストを進める為にはこのドラゴンに起きてもらわないと困るけど、家出中らしいし、手加減じゃないけど可能な限り優しく接してあげたい所だ
「んあぁぁ……な、何モンだテメェ!?」
前言撤回。これどうしよう……大分ヤンチャっぽいぞ?
「あぁ……どうもどうも。お邪魔してます」
「お邪魔してますじゃねぇ!ここはオレの場所だ!ヨソモンは出てけ!」
「それはちょっと違うんじゃないですかね?ここはボルカさんの所ですよ?」
「……それは今関係ねぇ!気配もなく接近しやがって!」
まぁ確かに可能な限り気配を消して近寄ったけど、どうしようかな?このまま正論で崩すべきか、感情で揺さぶるべきか……
「それに関しては謝ります。ごめんなさい」
しっかり頭を下げて気配を消して近寄った事を謝る
「お、おう……そうか」
最初にあまり言われたくないだろう居候の身だとこっちが知っているように振る舞い、その後すぐに謝れば相手のペースが崩れてくれるだろう。ここで調子に乗って俺が上だーみたいになってないからまだ話し合える
「ボルカさんとは少し面識がありまして、多少は信用してもらえる仲なのですが、家出して居候している奴が居るから少し話相手になってくれと」
「ボルカの奴……」
「あー怒っちゃダメですよ?僕がボルカさん何か隠してるなと思って白状させただけですから」
危ない危ない。ボルカさんに矛先が向かないようにしないと……
「それで、お前はいったい何なんだ?クマ……では無いな?」
黒い龍の瞳が怪しく光る。鑑定的な事をしているのかな?
「はい、クマではなく人間です。これは熱を防ぐ防具ですね。これないとここは熱くて……」
「そんな物を装備してまでこんな所に来て、何がしたいんだ?」
「今の所は連れ戻すというよりも先に話が聞きたいですね。どういう理由で家出して来たのか。なんでここなのか。そういう所を聞かせてくれますか?」
体育座りで話を聞く体勢になり、相手の出方を窺う
「まずはお前の方から色々聞かせろよ。ドラゴンに信用される人間なんてそうそう居ないハズだ」
「こっちが話せば、貴方も話してくれるなら良いですよ」
「お前立場を分かってないな?この場で人間がドラゴン相手に横柄な態度を取って許されると思っているのか?」
「ゲヘちゃん。カモン」
「オマタセシマシタ」
即戦闘になっても大丈夫な程度のMPを残し、可能な限り大きいゲヘちゃんを呼び出す。居候ドラゴンより多分デカいぞ?
「……ぇ?」
「もう一度問いますよ?こちらが話せばそちらが話す。情報の等価交換が出来るのであればお話ししますよ」
正直、龍王という存在がどのくらい強いのかは分からないし、それの子供もどの程度なのかも良く分からない。でもゲヘちゃんという体が大きい存在を急にこの場に召喚すれば多少は精神的に有利に立てるだろう
「コチラノカタハ、テキ、デスカ?」
「違うよ。ただお話を聞きたいだけなんだけど、僕みたいな小さい存在だと話を聞いてもらえないからね。ゲヘちゃんくらいの大きさが無いとね?」
「……」
ゲヘちゃんの掌の上に乗り、ドラゴンさんと目線を合わせられる様になった。そうしたら今度はドラゴンさんが目線を合わせないように目を逸らす様になった
「家出の理由を聞かせてくれますか?もし、僕も協力出来そうな事が有るのならお手伝いしますよ」
「え、え?」
やられると思っていたのか若干身構えていたのを解除するドラゴン
「だから最初から言ってるじゃないですか。話し相手だって」
「こんな奴を信用してるのかボルカ……」
ちょっとボルカさんには悪い事したかな?




