ドラゴンさんと話し合い
「別にここを破壊したいとかでは無く、単純に会話したいなぁと思いまして……前回は圧迫感を与えてしまったみたいなので、お詫びみたいな物と捉えてくれたらいいです。勿論、このお菓子に毒は入ってません。心配ならこの中からどれでも選んで僕が食べても構いません」
自分が選んだ物を食べて毒入ってないですって言うのは小分けの物の場合はほぼ意味が無いと思う。こういう場合は相手に選ばせた方が誠意を尽くしていると捉えてくれるかな?
「毒は別に問題ない。というかどうせお前も毒はほぼ効かんだろう?」
「まぁ、そういってしまうと確かに僕もそこまで毒は効きませんが……」
誠意を見せようと思ったけど、これはあまり誠意を見せられてないかもしれない。どうしよう?
「……とりあえず1つ貰おう」
「どうぞ」
埒が開かないと思ったのか、1つ食べてもらえるみたいだ
「いや、小さくて掴めんのだが……」
「あー、じゃあ口開けてください。投げ入れます」
ドラゴンさん向けに一応ゼリーのサイズは大きめにはしておいたが、流石に自分が食べる事も考えたらゼリーを野球ボールサイズ以上に作るのは勇気が無かった。とりあえずゼリーを1つ掴んでドラゴンさんの口に向かって投げ込む
「ふむふむ、中々イケるな?」
「おっ?気に入ってもらえました?」
ゼリーを気に入ってくれたならこっちとしてもありがたい。僕の今回の目標はドラゴンさんとの関係改善みたいな物だから、気に入ってくれるポイントがあるなら少しは仲良くなれるかもしれない
「何故だか分からんが、この星が入った玉……中々趣深い」
趣深いんだ……
「僕達、最初の出会い方が良くなかったかなって……今回は水晶を持って行くとかする気はないので」
「それに関してはどうでも良い。それよりも聞きたい事が有る」
聞きたい事……これは歩み寄ってくれてると見て良いかな?
「何でしょう?」
「お前……あの時深淵を使っていたな?」
「はい、そうですけど……」
深淵触手を出してみせる
「本当に……お前は何故正気を保っていられる?長い時を生きてきたが、その深淵の力を手にした者達は皆正気を失い、戦う事しか出来なかったり、話す事が出来ない様な狂人ばかりのハズなのに……」
「そうなんですか?って事はアビス様は昔はもっとスパルタだったのかなぁ」
アビス様がスパルタだったから戦う事しか出来ないとか、会話が出来ないみたいな悲しき戦闘マシーンみたいな人達しか居なかったのかもしれない。僕の時はアビス様は少し丸くなったお陰で僕は正気を保てている可能性あるな?
「いや、充分狂っているか……」
「失礼ですね?」
確かにアビス様とニャラ様の指導は厳しいけど、確実に僕を強くしてくれる。一応神的存在が人間の限界とか、その辺の理解が進めばどのくらいまでやっても壊れないのか理解するまで時間が掛かるだろう。ガラスのコップをどのくらいの高さから落としても割れないかのギリギリを測っているような物だ。壊れてしまったらそのコップでは2度と実験出来ないから新しいコップを探すまで実験も出来ないし、新しく見つけたコップも前回のコップとは形が違うから耐久度も違うとなればその見極めは本当に難しい
「どうかな……呼べるかな?アビs……」
「やめろやめろ!こんな所で呼ぶな!?火山が爆発するぞ!?」
アビス様が見てるかなぁと思って深淵の覗き穴で呼び出ししようと思ったけど、呼び出したら火山が爆発すると言われたら流石に呼び出す事は出来ないな
「じゃあ、止めておきます」
「コイツ……破壊神かよ」
「僕は人間ですよ?」
一応言っておかないと、変な噂を建てられるかもしれない。こういう所からでも噂が広まると尾鰭が付いて大変な事になる
「とりあえず、僕は他の深淵を使う人とは違うって結論で良いですか?」
「分かった。それで良いだろう。それで、今回はどういった理由でここに来たんだ?」
「普通に誤解を解きたかったのと、知性ある存在と色々話すと僕の知らない情報とかも出てくるので、ドラゴンさんはどんな事を知ってたりするのかなぁと思いまして」
情報収集なら情報屋を使えと何処かの情報屋に言われそうだが、自分の足で情報を集めた方が正確だし、何より情報屋にお返しを用意する必要が無い。それに、ドラゴンと会話なんて面白そうだから自分でやりたい
「まぁ、教えられる事はコレを貰った礼として教えてやろう。何が知りたい?」
龍玉ゼリーのお陰でお話を聞いてくれるらしい。やっぱり作って来て良かった
「そうですね……ここに来る時にサラマンダーが僕の事を避けていたんですが、ドラゴンさん何か知ってます?」
「私は人間が来たらとりあえず逃げとけと言っただけだ。どうやら迷惑をかけたみたいだからな。今生きている者達が罪を作ったとしても、未来の子にその罪を背負わせてはならない」
かっこいい……でも、これって僕達がサラマンダーを乱獲したせいだよなぁ……
「そうだ!ドラゴンさん空島に興味があるって前に会った時に言ってましたよね?」
「確かに言ったな。空島とかいう面白そうな所……行ってみたいが、ここから離れる訳にも行かぬ」
火山の鎮静化、肥沃な大地の維持、その他諸々をこの人……じゃなくてドラゴンさんがしているのだろう
「じゃあ、この場に居ながら空島に行ける方法があると言えばあるのですが……」
「何だと?」
どうかなぁ、話に乗ってくれるかなぁ?