グレー技?
「特に何か発動するって訳では無さそう……」
マネキンさんに太鼓を叩かせてみたけど、バフが発動するなどは無かった。まぁこれで発動してしまったら僕のバフが勝手に使われるとかになっちゃうからそれは流石に無いか……ところでマネキンさんはなんでドラムロールをしてるんだ?まぁ楽しんでるならそれでも良いんだけどさ……ん?
「ごめん、ちょっと試したい事が増えたから検証させて」
「分かりました。次は何でしょうか?」
これは試してみないと……
「これは……修正するべきでしょうか?」
「やっぱりこれはオーブさん的にもグレー?」
「グレーと言うべきなのかもしれませんが、挙動の処理としては適切なので、問題無いと言えば問題はないのですが……」
一つ気になってやってみたかった事をやってみた結果。これはセーフなんだろうかと思う事が起こった
「もし、ダメなら先に修正して欲しいな。それなら僕もこれは使わないから」
「いえ、問題有りません。処理が適切であるのならそれは正常という事です」
処理が適切なら正常……凄いありがたいお言葉を頂けた。これは公式に使って良いとお墨付きを貰えたと言う事だな?
「じゃあこの使用法は使っても良いって事なんですね?」
「はい、問題ありません。この方法は防御とカウンターを組み合わせた技と言っても過言では無いので、そういうスキルもある事ですし、セーフです」
「だって、これは楽器を演奏してるだけですからね」
気になった事というのは、楽器は武器としては使えない。つまり、ダメージは与えられない物だというのなら盾として使えないかと思って、盾っぽい楽器を探していたらドラが選択出来たので出してみると、目の前に射撃用ターゲットの様な丸い輪で出来たドラが現れた。それを攻撃するつもりで敵対マネキンさんに叩いてもらったら、そのドラは破壊される事なく、しっかりとでっかいドラのドォォォォンという音が辺りに広がった。音の指向性を範囲にしていたので、当然僕もそのデカいドラの音を至近距離から聞いたけど、鼓膜が破れないだけで、この音はかなり破壊的な音の様に感じた
「じゃあこのドラシールドは使ってもオッケーっと」
そんな事が有ったから完成したと言っても過言ではないドラシールド。音量マックスにして、音を敵に対して指向性を持たせて使用する事でドラに攻撃してきた相手の聴覚を破壊するレベルの大音量を喰らわせる射撃や魔法でも反撃可能の凶悪兵装になった。破壊不可というのが楽器の方にも適応されているので、展開したドラを持って動かされない限りはほぼ最強の盾と化している。何時ぞやの破壊不可オブジェクトの扉で防御しようとかしてた時の物がより実戦向けになったとでも言うべきだろうか?
「一応、攻撃する前に避けるか、動かせば無意味なので問題有りません。こういうのを許可するのも我々の仕事です」
プレイヤーに有利だから即修正では無く、プレイヤーが発見した新たな仕様だからこれは使用しても問題ありませんと言ってくれるのは正直かなり好感が持てる。プレイヤーが有利になる物は鬼の様に潰し、逆に不利になる物は意図的に残す。そんな運営をして廃って行ったゲームはそれこそ沢山あるだろう
「オーブさん。オーブさんのお陰で自分で見つけた面白そうな技とか使えるよ!」
「いえいえ、そういった我々では思いつかなかった行動をプレイヤー達がして、それを私達が学び、新たに反映する……そうする事で我々も新しい発見をし、新スキル、新魔法等を更に増やしていく事が出来ます」
プレイヤー自身が新しい物を作って行き運営が認めれば正式採用と。そんな事を言われたらもっと色々と作ってみたくなる
「他にもいくつか試したい物はあるけど、ここはあえて残しておこうかな……」
「いえ!ここで出来る物はやっていってください。そうでなければ禁止級の物が出てくるかもしれないので」
オーブさん。実はさっきのドラシールドが結構グレーゾーン攻めてたせいで警戒しているみたいだ。一応シンフォニアで気になっていた物は全部試していくか
「うーん……」
「どうでしょう?特に体に埋まったり、おかしな挙動になっていたりはしないと思うんですけど……」
「確かに、問題無いと言えば問題はないのですが……」
空中で呼び出した楽器がシンフォニアを解除するまで降りてこないので、それを足場にして空中待機。【ジェミニ】と【イリュジオ】にも楽器を持たせて最大音量にし、指向性棒状からの三角形で敵を逃がさないようにする騒音拘束等々使ってみた。これで何か問題があれば言って欲しい所だ
「どうしてすぐに普通の使い方から逸れた使い方を見つけるんですか?」
「そういうのを探すのが楽しいかなって……」
「流石好奇心には勝てないハチ様ですね」
「やっぱり勝てないですねぇ~」
流石にこの前のトラップだらけの博物館みたいな露骨な所では好奇心を抑えられるけど、今この場で好奇心を抑えるのは無理だなぁ
「楽しんだ者勝ちとは言いますが、ハチ様は本当に心から楽しんでいるみたいで私も嬉しいです」
「まぁ、色んな人に結構言われたい放題ですけどね……でも、そんな事を気にしてたら何も出来ないですから……言われたい放題言われながらやってた結果。面白い物、面白い事をいっぱい見られているのかなって」
やっぱり自分で自分の道を切り開いて進むのが楽しいからなぁ……他人に言われて挑戦しようとしている事を辞めたりするのは勿体無い。オーブさんだって、僕がやってみたから使っても良いという許可を出してくれたと思ってるし、挑戦する事は大事だろう




