新たなる弟子
「というか、僕が料理したら通知が行くって……」
「だってだって、こんな美味しい物が食べられるチャンスがそれなりの頻度でやってくるんだから逃したくないよね!」
監視……キッチンが稼働したら通知が行く的な物なのか……まぁさっきはああ言ったけど、実はモルガ師匠用の物も用意はしてある。どうせ来るだろうと思って用意はしていたけど、来なかったから自分で食べちゃおうと思って居たからどっちに転んでも良かった
「まぁ、僕の料理を楽しみにしてくれてるのは嬉しいですね。はいどうぞ」
「これこれー!やっぱり用意してくれてたんだね!」
「どうせ来るだろうなぁって」
用意していたスコーンを出し、モルガ師匠に渡す。そうだ、モルガ師匠にあの2人に会って行かないか言っておくか
「モルガ師匠。そういえば今、弟子の2人が来てますよ?」
「おやおや?あの2人が今居るのかな?」
「ロザリーさんとアイリスさんが今キッチンの方でスコーンを食べてると思いますよ。他にも3人程居ますが……魔法の才がどのくらいあるか見てあげてくれませんか?」
どうかな?キリアさんとキリエさんが居ると話にくいかな?
「なるほどなるほど、一応見に行ってみようかな?」
モルガ師匠が気に入ればあの3人も何か教えてもらえるかもしれない。ちょっと様子見してみよう
「やぁやぁ、君達。こんにちは!良い天気だねぇ?紅茶を貰えるかな?」
「「モルガ師匠!」」
「「誰?」」
「この人がモルガ師匠さんですか……」
さて、ここから先はあの人達に任せて僕は外で待って居よう。何か困った事になったら呼ぶだろうし……
「またあのドラゴンさんと会話してみようかなぁ?それとも……」
「はいはい、制御がちょっと弱いねぇ?ほらほら、もっと均等に!」
「くっ!なめんじゃないわよ!」
「うんうん、少し良くなってきたね。とりあえず他の人は外に出てよっか?あっ、ロザちゃんとアイちゃんはそこでちょっと待っててね」
今後の予定をどうしようか考えていたら、いきなりキッチンの扉がバンッと開き、中の様子を少し見る事が出来た。キリエさんが丸太を宙に浮かせてそれを空中で多分8等分に割っていた。丸太を割るというパワーと8等分というコントロール的な物を同時に訓練しているのか?
「えっと、今のは……」
「師匠の修行が始まってしまいましたね……分かりました」
「あぁ、2人はダメだったが、キリエだけは見ても良いらしい。それでさっきの様に……了解です」
「なんですかあの人!?尋常じゃない魔法操作でしたよ!?」
「お姉ちゃんだけズールーいー!」
キリアさんは見てもらえずに、チェルシーさんはもはや解説モブみたいな感じで見てもらえなかったみたいだ。そうだな……あっキリアさんって確か第二の職でグラップラーだったよな?
「キリアさん?キリアさんも修行したい?」
「え?あるの!したいしたい!」
「多分すんなり受け入れてもらえると思うから修行したいなら行ってみようか」
キリエさんは魔法面で修行の師匠を得たみたいだから、キリアさんは物理戦闘面での師匠を紹介してあげよう。多分、あそこなら受け入れしてくれると思う
「あ、ランペイジさん居る?」
「いらっしゃいますよ。あっ!もしかして再戦されるんですか!?それでしたら……」
「ごめんなさい。今日はそういうつもりじゃないんです。ただ、戦闘センスと意外と面倒見が良い所を見込んで、この子に修行を付けてあげて欲しいなって」
冥界ファイトクラブにやって来て、受付でランペイジさんを呼ぶ。多分あの人なら大丈夫だと思う
「今呼んで参ります」
「はーい」
ランペイジさんが来るまで、少し待機だな
「ようこそ。今日は戦わないんですか?マスクドV」
いきなりリングネームで呼ばないで欲しい
「今日は戦わないです。ちょっと頼みたい事がありまして、この子に修行を付けてくれませんか?」
「修行?」
「この子は武器が無くても相手を投げ飛ばしたりして戦うスタイルが出来るんです。ここで鍛えて更なる実力を付けさせてくれませんか?」
「なるほど……」
「アハハッ!くすぐったいよー!」
キリアさんを見て色々と確認するランペイジさん。腕とか脚とか実際に触って確認している
「確かにこの子は磨けば光りそうです。良いでしょう。私が見てあげます。ここで試合に出しても問題有りませんか?」
「キリアさんはどうかな?ここで修行やる?」
「正直お姉ちゃんと一緒が良いけど……私やる!」
おぉ、これは中々良いじゃないか。魔法を鍛える姉と物理を鍛える妹。魔法も物理も両方使えたロザリーアイリス姉妹と違った別れての修行は今後がどうなるか割と楽しみになって来る
「では始めようか。挨拶などは後だ。まずは走り込み!基礎から見ていくぞ!」
「はい!」
おー、あのキリアさんが素直に走り込みを始めた。お姉ちゃんに追いつくとかそういうのは素直に話を聞くのか……これは覚えておこう
「冥界で師匠を得るですか……これは期待出来ますね!」
「はい、せっかくキリエさんにモルガ師匠を会わせたんですから、キリアさんにも良い師匠を会わせたいなって」
「それで!私にはどんな師匠を会わせてくれるんですか!」
「え?」
チェルシーさんが聞いてきたけど……チェルシーさんに師匠?そんな人居ないよ?
「チェルシーさんには紹介したい人は別に居ませんよ?」
「どうしてここでそういう扱いなんですかぁ……」
だってチェルシーさん最近はネタ枠みたいな雰囲気が出てきたし、こういう方が美味しいのでは?
「だってチェルシーさんには別に師匠は必要なくないですか?」
「私だって師匠と熱いやり取りとかしたかった……」
「それなら自分の情報網で探してくださいよ……」
何の為の情報屋なのか……