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842/2001

ハチ君の料理

「はい、これをどうぞ。スコーン15個ずつ入れてあります」

 スコーンの入った箱を5人分用意する。女性だから料理が出来るなんて偏見は良くない。誰だって得意不得意はあるんだから料理が出来ないは別に恥ずかしい事では無い。僕だって男だけど力仕事が得意かと言われたらそんな事はない。個人で得意な物は違うんだからそこにケチをつけるなんてやってはいけない。お土産を人数分持たせてそれでオッケーだ


「こういうのも慣れてますからまたお茶に来ても良いですよ。まぁお客さんが居るかも知れませんが……」

 今回は来なかったが、料理をしたらほぼ確実にやって来るモルガ師匠が居る。お茶しに来たら鉢合わせる事もあるだろう。ロザリーさん達は面識があるから案外そのままお茶したりして……いや、あの人なら間違いなく「お茶友~」とか言って普通に一緒にお茶しそうだ……


「ハチ?幾ら払えば身の回りの世話とかやってくれる?」

「いや、お金じゃ動かない……というか、それは流石に自分でやってくださいよ。僕も色々あっちに行ったりこっちに行ったりしなきゃいけないんで……というかなんで皆さん財布を覗いてるんですか」

 お金を払って身の回りの世話をして欲しいって……僕は家政婦サービスとかはやってないぞ


「とにかく、今日は僕も他に行くところがあるので、あとは各自ご自由に」

 新しい所に向かうか、今まで発見したところを更に調査するか……またちょっと本で調べに行くのも良いかな?


「一度、調べに行くかな……」

 図書館で何か調べるついでにルクレシアさんに挨拶でもしておけば良いだろう。そうそう。あの森の中ももうちょっと調べてもみたいし、クリスタルのナメクジが居るのなら、ルビーのテントウムシとか居るかもしれない




「行っちゃいましたね。このスコーン……全部自分で食べちゃうか、何かの交渉材料に使うか……」

「ハチが人気になってくれたお陰でこういう物の価値も上がるのよねぇ……」

「他の人にはあげなーい!」

「私には出来ません!全部大事に自分で食べます!」

「正直結構悩んでいる自分が居る……」

 ハチに貰ったスコーンをどうするかで迷っている5人。イベントなどの活躍もあって、ハチが作った料理をチラつかせれば生産職でハチのファンだった場合は割引等が狙える交渉に使えるアイテムと化す為、自分で食べるか、交渉に使うかで迷ってしまう


「シツレイシマス。オカエリノサイハ、アシモトニ、ゴチュウイヲ」

 ゲヘちゃんが5人の前に現れる。一瞬皆ポカーンとしたが、そういえばここそういう所だったと頭を再起動させ、話を聞く


「あ、ありがとうございます……何かあったんですか?」

「ゲンザイ、シロノ、ゲンカンデ、モルガサマガ、ナイテオラレルノデ、アシモトガ、ヌレテイルカモシレマセン」

「「あぁ……」」

「「「ん?」」」

 事情を知っている2人と、知らない3人


「ハチさんの食べ物が好きなNPCが料理を食べられなくて泣いて足元が濡れて滑りやすい状態になっているから気を付けろって事ですね」

「あの人なら……確かにそういう事にはなるかも知れないな……」

 修行の事は言わずに、どういう人間か説明して、帰りの時に足元に気を付けようと思う2人と話された内容で相手によってはNPCでも交渉可能かもしれないと考える2人。そして早速貰ったスコーンを食べている1人と、中々カオスな場になっていた




「さて、フィフティシアに戻って……」

「ハチ君ハチ君!ちょっと遅れたけど何か作ってるんだろう!?」

「うわ出た」

 噂をすればモルガ師匠。何か用事があったのか少し出遅れたみたいだけど、残念ながらその出遅れは致命的なんだよなぁ……


「もう作った物は全部僕のお客さんにあげちゃいましたよ?」

「ノォォォォ!」

 崩れ落ちるモルガ師匠。涙ダバダバって……1回食べ物逃しただけで?


「なんかあったんですか?」

「実は実は、家の結界を少し修復というか、改造しようと外に出てたら人に見つかって面倒な事になり掛ける前に記憶処理をして事無きを得たけど、お陰で時間掛かった……そのせいで~!うわぁぁぁん」

 ここで甘やかすと今後も(言い方は悪いけど)つけ込んでくる可能性もある……でも今回のは流石に可哀想と言えば可哀想だな。出かける予定があるし、今からスコーンを焼くにもまた生地から作らないとだからこれどうしよう……モルガ師匠の涙で床もびちゃびちゃだし……にしても出しすぎでしょ?


「それで……その修復か改造は成功したんでしょうか?」

 とりあえずハンカチを渡しながら話を聞こう


「一応はね……でも間に合わなかったら意味がないじゃん!」

 家の改造理由が僕が作る料理に間に合う為?だとしたら心配したのが途端にあほらしくなってしまうんですが


「じゃあ今度から間に合いますね。今回は残念だったと……」

「だってだって!紅茶とスコーンでしょ!?」

「何でそれを知ってるんですかねぇ……」

「まぁまぁ?それが結界改造の効果と言うか、ハチ君が料理を始めればこっちに通知が来るし、改造結果として、何を作っているかメニューまで分かるようにしたのだ!いやぁ大変だった……あっ!勿論プライバシーは守って、それ以外は分からないから安心してくれたまえ!」

 なんだろう……好きな事には全力でって言葉があるけどこういう事なんだろうか?



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― 新着の感想 ―
[一言] ここの女性(一部男性)陣は外はピカ一、なかは……(沈黙は金 男性陣は基本中は抜群、外がちょっとエキセントリック。 これも釣り合いってやつなんですね。
[一言] その泣いてる人にスコーン一個上げるとあら不思議! 重要NPCと激太パイプが!!
[一言] これぞまさに、無駄に洗練された無駄の無い無駄な動きじゃないか!しかも無駄に高性能w
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