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自分で決められる様に

「誰よりも先へ……」

「戦いにおいて偵察は必要不可欠です。精確な情報を先に入手して持ち帰り、綿密な作戦を組む。そうする事で被害を最小限に抑える。その為に必要なのは纏め役のリーダーよりも偵察が出来る人ですよ」

 リーダーは確かに必要だけど、キャティ君は偵察の方が絶対に向いている


「もっと言うなら、戦闘以外にも偵察って大事ですよ?怒らせたら怖い人とか何をしたら怒るのか、何を贈ったら機嫌が良くなるのか。街の住人は何が欲しくて、何が要らないのか。そういうのも偵察が出来れば色々出来るんですよ」

「…………」

 黙って何か考えているレナーグさん。認めるべきなのかどうかを考えてるのかな?


「チェルシーさん」

「はい、なんでしょう?」

 ここで小声ではなく普通の音量で話す。まぁ途中から聞き耳を立てていたチェルシーさんには聞こえていただろうから僕の欲しい返事をしてくれるだろう


「チェルシーさん。クエストに行ってたと思いますが、情報収集もしてましたよね?」

「はい、そこにいらっしゃるレナーグさんがここのリーダーで、信頼はされてますが、最近はちょっと一人息子がハチさんの所に行っているので愚痴を言ってきてちょっと面倒だという情報が……」

「ちょ!?何でそれを!?」

「まぁ……これが偵察による情報の力と言うべきか……レナーグさん意外と子離れが出来てないみたいですね……」

 意外と寂しかったりするのかな?


「なんでこんな事が……」

「偵察……まぁ諜報の重要性。認識していただけましたか?これをキャティ君も出来るようになります」

「キャティが……?」

 すっごいビックリしてるなぁ……


「まぁ、街を良くする為には聞いて回るよりも偵察するなんて事も大事だと思いますよ」

 しっかり聞くというより、本当の取り繕っていない評判を集める為にはそういう事も必要だと思う


「……今すぐに決める事は出来ませんが、キャティの未来はキャティに決めさせようと思います」

「それが良いと思います。こういう事が出来て、更にリーダーとしてやると言うのであれば僕は止めませんし、未来は誰かに決められるんじゃなく、自分で選ばせてあげてほしいだけなので、これ以上は僕も何も言いません。今後とも良い関係を築きましょう」

「はい」

 レナーグさんと握手を交わす。よし、キャティ君の自由な未来はこれでゲットだ




「ハチさん、ワルですねぇ?」

「何がですか?」

「あの話で断れる人の方が少ないでしょう?断らせるつもり無かったですよね?」

 まぁキャティ君の為に最初から断らせるつもりなかったしなぁ……


「あそこで断られたら、今島で預かっている息子さんがやりたい事とか出来なくなっちゃうし、最悪話が纏まらなければ空島との交流とかを掛け金にしても良いかなと」

「ひぇ~、ハチさん何気に話術も上手いんで怖いですねぇ……」

 相手を上手く乗せられれば話を円滑に進められるし、特にその必要が無ければ会話を広げなくても良い。相手から欲しい物を引き出す為の会話が上手く出来ているか不安ではあったが、チェルシーさんに話術が上手いと言って貰えて少し自信が持てるな


「僕は色々決めたり作ったりするので空島に戻ります。まだここでクエストしてリングを稼ぐというのならどうぞ」

 ワープゲートは繋がっているので、正直出入りは自由だ。人数制限は……くじ引きとかで良いかな?先着順でも良いけど、多分新しい所で色々出来るとなれば行きたい人は多いと思うから最初はくじ引きで、落ち着いてきたら先着順にしても良いかな


「私も戻ろう。どういう所か知ることが出来たからそれだけで充分だ」

「私も戻るわ」

「「お姉ちゃんが戻るなら」」

「私も一旦戻ります。他のクラメンを連れてきて色々とあの街の事を調査したいので、もう一度この街に来るにはあのゲートを通れば良いんですよね?」

 一応5人とも空島に戻って、チェルシーさんは仲間を連れて情報収集の為にまたアグラウドに戻るみたいだ


「そうですね。それじゃあ戻るついでに城でお茶でも飲んで行きます?」

「「「「飲む!」」」」

「あ、それなら私も良いですか?アグラウド調査はその後にします」

 カップはあるから大丈夫だけど……その内トーマ君とかに頼んで金属加工で自分用のコップでも作ろうかな?




「「「美味しい」」」

「中々いけるじゃない」

「サクサクお菓子も美味しー!」

「出来たてですからねぇ……こういうのも慣れた物ですよ」

 紅茶を5人分出しながらスコーンも焼く。これでも、神様や世界を救った英雄相手にお菓子やら食事やら用意しているんだ。5人くらいなんて事ない。でもこの城の超便利キッチン現実でも欲しいなぁ……


「ハチさん、料理も出来るのズルいですよ!こんな美味しいの……お土産に下さい!」

「あとで包みますよ。でも、なんで自分で作らないんです?」

「そんなの、私は料理なんてやってないからです!」

 チェルシーさんの料理も出来るのズルいからの私は料理やってないの流れ。周りを見ると目を逸らす人が多い。これもしかして皆料理出来ない感じ?


「冷凍食品のレベルが高くて美味しいので……」

「料理は用意してもらえるし……」

 あまり深くは聞かないようにしよう……



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― 新着の感想 ―
[一言] なんならセブンの「金の〜」シリーズのが下手な店より美味いまであって怖い。 胃袋握ろうとしてるの、またでは...?
[一言] さては女性陣はハチ君の耐性訓練に役立つポイズンクッキング技能の持主か!? トーマ君やハスバさん、ヒャッハーさんあたりは料理できそうw
[一言] こうしてチェルシーさんは図書館から意識を見事遠ざけられたのであった。めでたしめでたし。
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