謎の孤児院
「ここは……」
4人に連れてこられたのは少し寂れた孤児院の様な場所。ここでその回復役の人が欲しいって事なんだろうけど……
「あら、貴方達は……まさか本当に?」
「無償の働きなんてつまらないけど、丁度良い人材が居たからねぇ?」
「こういう事が得意そうな人が居たので連れてきました」
孤児院の子供達が怪我したり、何か病気になっているのであれば回復させたいが……何か特殊な状態異常とかじゃ無ければ良いな
「じゃあそこに居る方がもしかして……」
「無報酬で回復を請け負ってくれる善人って言うあんたが提示した無茶苦茶な条件に合う奴」
まぁ4人に手伝ってもらったお礼として働くつもりだけど、中々な条件だなぁ……クエストとして報酬無しだと受ける気が起きないんだろうけど、逆に報酬は何も無いとなると逆に気になるな
「本当にそんな方がいらしたんですねぇ。俗物的な人ばっかりかと……」
なんか帰りたくなって来たなぁ……
「とりあえず、回復させれば良いんですよね?どなたです?」
「あ、私でーす」
帰りたくなってきたなぁ……
「子供達とかでは無く?」
「はい、私の調子が悪いんで回復させて欲しいんですよね」
「因みにどんな風に調子が悪いんです?」
「なんか体がだるいんですよねぇ」
「…………」
僕と目を合わせないキリキリ姉妹を抜いた3人。マジでこんな人のお願い聞かなきゃダメ?
「ここはお願いしますハチさん。皆さんとの約束ですから……」
「……分かりました。約束を破る訳にはいきませんからやりますけど……それで、倦怠感だけですか?」
「そうですね。全体的に体がずっとだるいんで、なんとかなりませんかね?」
「それなら何とかなるかな……【レスト】」
「ふにゃ……」
倦怠感なら【レスト】でなんとかなるはず……
「ふわぁ~。スッキリ……しない」
「ん?ダメですか?」
【レスト】を使ってもダメか……何が原因だろう?
「倦怠感……もしかしてMPが無くなってたりしませんか?」
倦怠感と言えばMPが底をついた時に発生していたと思う。この人は何らかの原因でMP0状態が続いているのかもしれない
「あー、確かにMPが回復しないんで自力で回復とか出来ないんですよね」
「だとしたら何かしらの影響を受けているか……」
確実に何かから影響を受けてなかったらMPが回復しないとか無いと思う
「最近なにか拾ったとか、知らない内に何か装備してたとかあります?」
「んー?別に何か拾ったとか装備してたは無いですね?」
じゃあ呪いのアイテムの線は無いか
「えっと……ここは孤児院ですよね?」
「そうですけど……」
少し気になった線を確かめてみよう
「最近、新しい子とか入って来てませんか?」
「新しい子……あぁ、1人入ってきましたね」
おっと。気になるのがヒットしたぞ?
「じゃあその子と一度会わせてくれません?」
まずは確認をしてみよう。もしかするとこの人に影響を及ぼしている存在かもしれないから一度みてみないと
「うーん、恥ずかしがり屋だから会ってくれないかなぁ……」
「孤児院の子供達にちょっとした演奏会とか予定してたんですけど……勿論無料で」
「子供達全員呼んで来るからちょっと待ってて!」
コイツ……多分タダって言葉に弱いな?
「さぁ皆。この人が音楽を聞かせてくれるよ!」
「これで全員ですか?」
「間違いなく全員だよ」
20人近い子供達が音楽を聴きに来てくれた。この中にもしかするともしかする奴が紛れ込んでいるかもしれない
「やぁ。今回演奏させてもらうハチだよ。短い時間だけど、楽しんで聞いてね」
ノーツサポートをして貰えば大抵の曲は弾ける。アルターの音楽は知らないけど、現実でのクラシックとかを弾いてみれば多少の時間は稼げるだろう
「えー何その楽器!」
「不思議な楽器だ……」
「あれで音がなるの?」
皆シンフォニアの展開時の状態をみて不思議そうな顔をしている
「それじゃあまずは1曲弾いてみるね」
まずは観察。どの子が新しく入ってきた子なのかをまずは見て判断しよう
「あいつか?」
演奏をしている間、他の子と距離が開いている。音楽に興味はありそうだけど近寄ってこない。あと単純に周りの子供達と比較すると体格が良い。怪しい点を挙げるとするならこんな所だろうか?他の子と距離が開いているのはそこまで親しくないのかもしれない。興味があるけどこっちに近寄ってこないのは見つかると何か問題が起こるから。孤児院に居る割には栄養がしっかり取れていて周りの子に比べるとキッチリ何か食べているとかで体が大きいのかもしれない。後で接触してみるか……いや、それよりも普通に子供達に聞いた方が早いか
「演奏はどうだったかな?」
「「「「「面白かった!」」」」」
「それは良かった。ところで、皆に1つ聞いても良いかな?」
「「「「「いーよ!」」」」」
「ここで一番新しく入った子って誰か分かる?」
これでさっきの子を指差したら……
「「「「あの子だよ」」」」
どうやら僕の予想は当たったみたいだ。これはちょっとお話を聞かなければならないな