お手伝いを終わらせよう
「いやぁでも助かりました。このクエストは攻略一歩手前まで行けても攻略は出来なかったので、心残りだったんですよ」
あっ、これチェルシーさんに良いように使われたパターンか
「とりあえずこれは僕が貰って良いんですよね?」
「もちろんです。それをハチさんから貰うなんて言ったらそこの4人に私はぶっ殺されますよ?」
「ぶっ殺されるって……流石にそこまではしないでしょ……」
「「「「…………」」」」
目付きがマジっぽい。ぶっ殺す云々は本当かもしれないな……
「ね?」
怖ぁ……でもまぁこれが僕の物になってくれたのは助かるな
「とりあえず戻りましょうか」
「そうですね。私もこの旧監獄を解放するクエストを達成出来たので、報告に行きたい所でして」
「旧監獄だから手錠だったんですか」
「……まぁそこは雰囲気で合わせてただけですが」
うん、途中からこれ手錠要る?って思ったけどやっぱり必要っぽく見せてただけだったか
「まぁそれは別に好きにしたら良いんじゃないですかね?いやー4人ともありがとうございました。わざわざ手伝ってもらって……それじゃあ僕はお先に」
「「まぁ、待ちな(さい)よハチ(君)」」
流石にこのまま流れにのって脱出出来るかと思ったら上手く行かなかった
「ハチ?忘れてないわよね?」
「私達のクエストも手伝ってもらうよ。一緒に来てくれるだけで良いんだから」
「さぁ、皆で運びますよ」
「お神輿みたーい!わっしょーい!」
お神輿みたいと言えば聞こえは良いかもしれないけど、僕が逃げられないようになのか、両手足を木と結ばれて、やってる事はこれ生贄を運んでるようにしか見えないと思う
「おう、冒険者達。お帰りなさ……はっ!?」
「……」
多分売られる仔牛みたいな目で門番の人を見ていたと思う。僕を見つけた途端状況説明の為に止められた
「ちょっと……そりゃあ、なんだ?」
「これですか?これは目を付けてないとすぐに何処かに行ってしまう人と、その人に頼みたい事があった4人です」
チェルシーさんが横からすかさず解説に入る
「あれは無理矢理してるんじゃなくて、彼は凄い巻き込まれ体質なんです。だから自分の足で歩かせるとよく色んな事に巻き込まれるので、あのように……」
「そ、そうか……」
凄い解説だ。でもそれで騙されないで?そこで諦めないで?まだ戦えるよ?
「だが、流石にそれは人として看過出来ないぞ」
「おぉ!」
思わず唸ってしまった。両手がフリーだったら拍手してたと思う
「と言うか君も黙ってそんな状態になってないで、何か言わないとダメだろう!?」
「返す言葉もありません……」
確かに流されるままこの状態になってるけど、引き留められなかったら新しい所にでも行こうかと考えていたからさっきの話が全部当てはまらないかと言われたらそうでもない。黙って居たのも論破されるような事は言わないようにしていただけだし……街に一度戻るのも予定の内だったから運んでくれるのなら楽出来るかなと思ってたのもあった
「こういうのは人攫いと誤解されるかもしれないんだからあんまりやらないようにするんだぞ?正直止められないかもしれないと思ったから応援を呼ぼうかかなり迷ったからな……」
「「すみませんでした……」」
「今度から気を付けるわ」
「ごめーん」
反省して無さそうだなぁ……
「特に捕まってるそこの君!君が一番気を付けるんだぞ?こういうのは一度悪い奴らに見つかると何度もやろうとする奴らもいてもおかしくない。君は女の子でも捕まえられるとなれば、身代金を要求するような奴らに捕まると非常に面倒な事になる」
まさかの僕が一番怒られる奴か。確かに女の子4人で捕まえられるなら大人2人居れば連れ去るくらいは余裕かもしれない。まぁここに居る4人は普通の4人じゃないんだけどね
「すみませんでした。今度からは捕まらないようにします」
「それだと私達が困るんですけどね……」
「とにかく、街に入る前にその拘束を解いてあげなさい。どうしても必要ならこれを貸すから」
そう言って門番さんが紐の様な物をチェルシーさんに渡した
「どうしても目を離さないようにするならその腰ひもで繋いでおけば大丈夫だろう。先程は見逃したが、君達は金クラスの冒険者の様だしな」
扱いが犯罪者じゃん。もしかしてこれは【国崩級危険人物】の称号が何か悪さしているのか?
「とにかく、周囲を誤解させるような行為は控えてくれると助かる。こちらも市民を守る為に必死なのでな」
門番さんにはお手数をお掛けしました……そりゃあ4人の女の子に男1人が両手足拘束されたまま運ばれるのは異常事態だよなぁ……弁解が1名居たとしても怪しさが勝つ
「というか4人共僕がそんなに逃げると思ってるんですか?」
「逃げると言うより別に何かが起こってハチ君が連れていかれる可能性が高いなと思ってね」
「なんかハチさんの場合だと、それこそ急にデカい鳥が飛んで来て連れ去られるとかありそうですからねぇ……」
あー、確かに無くはないかも……
「それよりも早く終わらせてしまいましょう。そうしたらハチさんは自由ですから」
そう、4人のお手伝いを終わらせてしまえば良いだけだ。回復役が欲しいみたいな話だったし、ささっとやってしまおう