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約束を果たしに

「そちらの女性は?」

「女性?えへへ……ありがとうございます」

 いや、えへへじゃないんだよなぁ……まぁ面倒事になる前に説明しておこう。回避出来る面倒は回避だ


「この子はキャティ君。ちょっと特殊な地下街から来てるんだけど、地上の事を学びたいって言う事でこの街に来てるんです。因みに男の子なんで」

 先手必勝。勘違いは初手訂正だ


「えっ!男の子!?」

「もう言っちゃうんですね……色々とハチさんの所で学ぼうと思いまして……」

「いきなり非常識な事を教えてるんですか……?」

 凄い勘違いされてるぅ!


「これは色々と重なってしまった事故でですね?個人的趣味とファーストコンタクトの事故が……」

「個人的趣味……」

「分かった。しっかり話し合いましょうアイリスさん。ちょっと同行する人が増えるけど良いかな?」

「はい、構いませんよ」

 確実に個人的趣味の部分を僕が着せてるみたいなニュアンスで捉えてるでしょこれ……この場での訂正は無理だから一緒に歩きながら訂正するしかない




「それで、キャティ君はこの恰好で島に来たんです」

「なるほど、そういう事だったんですね」

 キャティ君に城のどの部屋を使わせるとか、ここはどういう存在が居るとか説明しつつ、アイリスさんにもキャティ君の女装がしたかった経緯とかを話した結果。なんとか理解してもらう事が出来た。危うく男の子を女装させる趣味があるみたいな誤解をされるところだった……


「とりあえず後は自分にとって役立つ知識がありそうな所があったら好きに見に行っても良いよ。但し、冥界の門の先に行く時には気を付けてね。あの先は自己責任だから」

「あ、あわわわ……神様に死後の世界、区分けされてる冬、そして浮いてる島……こ、こんな所が」

 世間知らずの地下住みだったキャティ君にとってここはまぁお話の中だけに出て来るようなトンデモ世界だよねぇ……


「その気持ち分かります。ここははっきり言って非常識な場所ですから……」

「やっぱりそうなんですね!ハチさんの方が普通じゃないんですよね!?」

「はい。あの人は特別です」

 何ですかぁ?この2対1の雰囲気は?


「とりあえず街エリアなら大抵の人は優しいはずだからその辺を見てどういう感じで他の人と関わるのが良いのか学んでくるのをキャティの宿題にする。良いね?」

「は、はい!それでは見て回ってきます!」

 キャティ君には申し訳ないけど、ここは自習的なノリで街の見学をさせて、アイリスさんとのタイマン状態に持ち込もう。だってさっきから何か話したそうにソワソワしてたんだもん


「で、何か僕に御用でしょうか?」

「ハチ君。あの時の約束を覚えてますか?」

「約束?」

 一応とぼけてみる。まぁイベントでの事だと思うけど……


「覚えてない……やっぱり記憶に障害とか出ているんじゃ!」

「イベントが終わったらクエストか何か行こうって言った事ですか?」

「それです!覚えててくれたんですね!」

 とぼけるのは良くなかったな……一瞬で表情が暗くなって、クエストに行こうって話としたらパーッと表情が明るくなった


「ごめんなさい。何か良いクエストとかありますかね?」

 せっかくだから何か良いクエストが無いか聞いてみる。丁度良い物があれば良いんだけど……


「まだ良さそうなクエストは見繕ってはいないんですけど、ハチ君は何かある?」

「んー……あっ!そうだ。実はイベント中にチェルシーさんを条件付きで見逃してあげたんですよね。何かアイテムに関する情報をイベントが終わった後に教えるからって条件で。それを今から聞きに行ってみようかと」

 何かしらのアイテムに関する情報であるならば、何かのクエストである可能性も捨てがたい。空島にもチェルシーさん達の情報屋が場所を持っていたハズだ。そこに行ってみるか


「チェルシーさんとそんな約束を……」

「約束を守れば許しますし、守らなければ……まぁ、即座に地上にお戻りになってもらおうかと」

 脅しの様に聞こえるかもしれないが、これは今現在も取り引き中なだけで、早くしてほしいだけだ


「そういえば最近何かの情報を得たみたいな雰囲気でしたね」

「と言う訳で、話を聞きに行って、そのアイテムが取りに行けそうだったら一緒に行きませんか?」

「はい!」

 どんなアイテムの情報なんだろう……




「いらっしゃいまs……」

「おっ、丁度良い。チェルシーさんだ」

 情報屋のテントの中に入ってみたらチェルシーさんが居た。早速例のお話を聞かせてもらおうじゃないの


「先に言っておきます。誤魔化したら空島出禁です」

「勿論あの時の約束は守りますからあんまり物騒な事を言うのは止めてくれませんかね……」

 なんだろう……下手に出ている感じがどうしても三下感を醸し出しているせいで僕がヤから始まる自由業みたいな人みたいになっている気がする


「それで、どんなアイテムの情報なんです?」

「私の入手した情報によると武器……の様な物で……でも、そのアイテムは人を選ぶ物みたいで、誰が欲しているのかも分からないし、誰が入手出来るのか分からないので、色んな人に見て欲しいけど、ある程度の実力は持っていないと困るみたいな……」

「曖昧と言うべきか、情報の拡散はして欲しくないんですかね?そのアイテムの場所は分かってるんですか?」

 少し言い難そうな感じで喋るチェルシーさん。まぁ僕が武器を装備出来ないって確か前に話した事があったと思うから、そのせいで役に立つ情報か自信が無いんだろう


「はい、その場所まで案内させていただきます」

「そんなに僕怖いですか?」

 借りてきた猫みたいになっていたので聞いてみた


「あのイベントの後に怖くないとでも思ってるんですか……」

 これはまたイメージ改善か何かしないとなぁ……



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― 新着の感想 ―
[一言] 修羅場にはならず、よかったよかった() と言うか、ヤならまだいいでしょ、たぶんそんなもんメじゃねえ位の恐怖的存在でしょ~w たぶん、下手にイメージ改革やってもハチショックは治まらないんじゃw…
[良い点] そりゃさんざんホラー生命体ロール(一部アビス様、ニャル様含む)かましておいて、スパッと切り替えられるのは「だってハチくんだしなぁ…(諦観」って人か一部の「さすが!」勢だけっすわぁ…。
[一言] 人の心理を、行動を、掌握してフルコントロールする国崩クラスの人を恐れるなというのが無理なんよ。人によって優しいという印象も残してるところとか完全に騙すことに特化してるフィクサー
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