心配
「くぅ~!久しぶりに頭がクラクラしたなぁ……」
【レスト】を挟まずに連続で行動するのはやっぱり脳への負担が凄いのかもしれない。少し横になるか
「む?返信かな」
どうやらさっき送ったメールの返信が来たみたいだ。えーと何々……
『ありがとうございます。影人君も凄かったですね?最後の挨拶の時には居なかったみたいですけど……大丈夫ですか?』
最後の挨拶とかあったのか……これはまたやってしまったかな
『まぁちょっと……僕が居なくて何かマズい事になってましたかね?』
とりあえずその場に居ただろう菖蒲さんに聞いてみよう
『終わりの挨拶をハスバさんがやってましたね』
あぁ、ハスバさんが挨拶をしたのか……え?それ大丈夫だったのか?
『それって大丈夫だったんでしょうか?あの人ボコボコにされたくて相手を煽ったりしてませんでしたか?』
ハスバさんならやりかねない……
『普通にお疲れさまでした的なニュアンスのやり取りでしたよ?』
良かった。悪い事にはならなかったみたいだ
『流石にそれは理性が働いてましたか。ちょっと頭が痛くなってログアウトしてしまったのでハスバさんが挨拶って聞いた時にはちょっと心配してましたが、問題無かったようで何よりです』
まぁキリエさんとかだと本気で煽りそうだからハスバさんが挨拶してくれたならまだ安心出来るか
『頭が痛くなったって大丈夫なんですか!?体は動きますか!?必要ならすぐに病院に連絡します!必要なら家まで向かいます!』
そっか。しまったな……菖蒲さんは僕が手術のお陰で動ける様になったとか色々知ってるから、頭が痛くなってとか言ったら最初の原因である自分のせいだと思い詰めて過剰な反応になってしまっているのかもしれない
『そこまで心配しなくても大丈夫です。そもそも動けなかったら菖蒲さんにメールよりも先に直接病院に連絡してますから。前にもあった事というか、多分実際の体に無い部位を動かすとかで脳を通常よりも使った状態?みたいな物なので休めば元通りです』
脳を酷使してオーバーヒート的な事が起こったせいでこんな状態になってると思う。そりゃあ自分の背中から触手を出して操ったり、尻尾を生やしてみたり、新しい腕を生やしてみたり……現実に無い物を本当の手足の様に扱う訳だから脳を酷使しない訳が無いな
『本当に大丈夫なんですね?』
『最近は無かったんですけど、今回のイベントで久々に無理しちゃったのでこうなっちゃっただけですからゆっくり寝れば元通りです。心配させてすみませんでした』
火事場の馬鹿力は身の危険とか感じた時に発揮される物だけど、常に発揮してしまうと体が壊れるとか聞いた事が有る。鍛えてる人はそうじゃないのかもしれないけど肉体では無く、脳の処理能力の話なのでこれはどうなんだろう?そういう事に当てはまるのかな?まぁ今は難しい事は考えずにゆっくり寝よう
『無事なら良いんです。何かあったらすぐにお手伝いとかするので必要な時は連絡ください』
今の所手伝ってもらうような事とか別に無いけど……そもそも相手は女の子だから荷物運びとかさせられないし、連絡する機会がまず訪れないなこれ
『いえ、とにかくイベントお疲れさまでした』
このくらいで良いかな。さて、風呂入って寝るか
「いやぁさっぱりさっぱり。風呂に入って寝れば大抵、調子が凄く良くなるな」
しっかりとした休息を取った事で体調も万全。すこぶる調子が良い。やっぱり風呂入ってから寝るのコンボはかなり効くな
「とりあえず学校に行くにも支障が無いな」
翌日に響くような事にならなくて良かったな
「む?メールが……あぁ茨さんからか」
どうやら僕が寝ていた時に茨さんからもメールが来ていたみたいだ
『菖蒲から話は聞いた。体調は大丈夫かい?しっかり休んでもし体に違和感が少しでもあったら病院に行くんだぞ?』
皆心配性だなぁ。まぁ一応返事だけはしておくか
『おはようございます。お風呂に入ってしっかり寝たら体調も良くなったんでもう心配ありません』
心配してくれるんだから返事をしないのは失礼だ。でも考えてみれば、一応今は僕も1人暮らし状態だし、誰にも知られずに動けなくなった場合は危険か……何かあった時に相談出来る人が居るのは確かにありがたい。茨さんは大学生だし、何かあった時にある意味頼れると言えば頼れるからこういうやり取りもそれなりにしておいた方が良い……のかもしれない。でも、変に連絡し過ぎると普通に迷惑になるだろうからこの辺は適度な塩梅を探っていかないとな
「にしてもゲーム友達に自分に何かあった時頼むって連絡とかやる人かなり少ないだろうなぁ……」
そもそも相手の住所が分からなければ行く事も無い訳で……あれ?そういえば僕の家の住所を知ってるのか?
『それは良かった。前に菖蒲を救ってくれたお礼の品を贈ろうと雲雀さんに住所を聞いた事があったから、もし何かあった場合はこちらから救急に連絡する事も出来る。今回の様な途中でログアウトとかした時に後でこちらから連絡をして通じない場合など緊急性が高いと感じた時は影人君を救う事が出来るから安心してくれ』
命を救ってもらった事があるから僕に何かあった時は命を救う準備があるって感じだな。そこまで考えなくても大丈夫なんだけど、まぁ心配してくれてるんだなぁ……
「……あれ?これってお年寄りの見回りみたいな物では?」
心配のされ方がお年寄りの孤独死云々のそれと大差ないのでは?そう考えるとなんかちょっと複雑な気分だ……