いつかの5人
「よし、ここも終わったみたいだし、もう一か所も見ておくか」
念の為もう一か所の脱出口も確認しておこう。もしかすると隠れて脱出しようとする奴らが出てくるかもしれない。確認だけしておこう
「さてと、どうだろうか……」
3か所目の脱出地点は今の所監視情報では誰も来ていないみたいだけど、僕が行ったタイミングで何か起きるかもしれない
「さて、誰か居ますかー?」
「「「「「あっ」」」」」
「おやまぁ、誰かと思えば……」
確か僕に師匠になって欲しいとか言ってた新人君達じゃないか?まさかこんな所で会うとはねぇ?
「監視網をすり抜けてこんな所まで来るとはねぇ良く見つからなかった物だ……ここから出たいのかい?」
「そりゃあ勿論そうですだぜ!」
「そうであります!」
「出たい…」
「だ、出していただけませんか……?」
「ハチさん、なんとか見逃してくれませんかね?」
戦隊ヒーローの赤、兵隊、ごっつい鎧騎士、棺桶を背負っている人形使い、そしてサメの着ぐるみ……まさにゲームって感じの統一性の無さだが、その5人が全員頭を下げてお願いして来るってどういう状況なんだ……
「見逃して欲しい?それは聞けない相談だなぁ?」
多分第二陣の初イベントになるのにそんな見逃してくださいってあんまり良くないのでは?
「やっぱりダメですよねー!」
「まぁ、ただで見逃してしまうと運営のお手伝いをする身としては良くないからね。通して欲しいのなら何かしらで戦って貰わないと困るよ。それが戦闘力だったり、運だったりはそっちの提案とか、僕の気分次第だけど……あっ、現状僕に触れられるだけで即リタイアだって事は忘れないでね?」
タダで見逃せは僕がその人に何か負い目を感じていたりしてないと無理だろう。師匠になってあげなかったって事は別になんの負い目にも感じてないから普通に何かで僕に挑んでもらわないと見逃すなんて事は出来ない。その気になれば全員すぐに捕まえられると情報をチラつかせる
「腕相撲で勝つ……とかはダメ……ですよね?」
「捕まっても良いのならそれでも良いよ?」
冗談なのは口調から分かるけど、触れずにパワー系勝負は実の所かなり危険だ。腕力(STR)が無い僕が腕相撲をやったら女の子にも負けてしまう可能性はある。実際問題として、多分キリアさん辺りと腕相撲とかしたら多分体ごと吹っ飛ばされるかもしれない
「何か…無いですか?」
「さっき脱出出来そうだった人とはじゃんけんで戦って負けたから捕まってもらったよ」
既にあった事例として、じゃんけんを出した
「じゃんけんって……凄いぜ!」
「運ゲー過ぎる……」
「じゃんけん……確かに奥が深いであります」
「確かに触らないで出来るかも」
「じゃんけんですか……そんな方法もあるんですね!」
なんかなぁ?怪しいというか、情報を引き出そうとしているというか……
「……もしかして時間稼ぎでもしようとしてる?」
「「「「「…………」」」」」
その沈黙は既に答えだねぇ?
「もしかしてだけど、他の2か所の脱出地点と同時に攻勢を掛けて脱出するつもりだった……とか?」
「「「「「…………」」」」」
5人ともそわそわしたり、目線が泳ぎまくっていたり、そうですと体全体で喋っているみたいだ
「だとしたら多分連絡は来ないよ?他2か所は既にやった後だから」
「えっ!?計画と違っ……」
「まぁ、ちょっと早まったり、焦って勝手な行動を取るのは良くある事だから」
やっぱり恐怖感を与える事で連携ミスをさせる事とか出来るんだなぁ……そう考えるとこの5人は囮として使われていたのかもしれない
「よし、それじゃあチャンスをあげよう。このボール。これを君達の誰かが出口とは反対側……つまり僕の居る方に投げる。僕はそれを取って来るからそれまでに脱出出来るかやってみな?」
一応見た目は全員そこまでパワーは無さそうだけど、見た目なんていう誤魔化しの効く情報では判断は出来ない。この中の誰かがボールを投げて僕が取って来るというまるで犬と飼い主みたいなやり取りだけど、ここでボールを遠くに投げられれば、脱出チャンスが生まれる訳だ。誰が投げるかなぁ?
「じゃあ、俺が投げるぜ!」
戦隊ヒーローの赤っぽい彼が名乗りを上げる。確かに、この中だと一番パワー系かもしれない
「頼むよ!」
4人が祈りながらボールを投げるレッドの事を見守る
「行くぜ!【必殺のオーバースロー】!」
「「「「えぇぇぇぇ!?」」」」
レッドが投げたボールが炎を纏って僕の方に向かって真っすぐに来る。前に聞いた話で3人以上でパーティを組んだら必殺技が撃てるとかなんとか言ってたっけ?もしかしてこれがその必殺技か?それだけのパワーがあるのに斜め上じゃなくて僕に向かって投げつけてくるとかアイツ中々ヤバいな?
「高めのストライクって所かな?じゃ行きまーす」
【バレットキャッチャー】が発動してたからボールが完全に弾として認められる程の威力が出ていたって事か。凄いパワーだったけど、僕に向かって投げたらダメだよね
「「「「バカーッ!」」」」
4人とも罵倒はするけど即座に脱出地点に向かっている。僕がボールを取りに行ってる間に脱出だから余裕も何も無い。レッドが罵倒されても仕方がないのだ




