トーマ君復活
「あの人……もしかして300人以上を相手に戦った時に、何か覚醒みたいな事をして反動で弱体化してる?」
何らかの必殺技的な物を使用して反動で弱体化していたのなら、今の私が逃げきれても不思議ではない。やっぱり今トーマきゅんを救いに行くべきだろう
「私でも今なら行ける……だったら動かない手はない!」
このタイミングで行かなかったらいつあの人が本調子に戻るか分からない。反動で弱体化している今でなければ……
「ここが……許可施設?」
エリア中央の道のど真ん中に、なにやら白く四角い建物が建っていた。これが許可施設だろうか?
「お、お邪魔します……うわぁ、これ全部捕まった人達?」
中に入ってみるとそこには大量の名前と顔が書かれた札が吊るされていた。これの中から復活させたい人を選べば良いんだろうか?
「えーっと、トーマ君トーマ君……あった!」
札の中からトーマ君の名前を探す。捕まった順ではなく、名前順で並んでくれているお陰で割とすぐに見つける事が出来た
「あの、この人を復活させたいんですけど……んん?」
札を選び、何処にも対応してくれそうな人も見当たらないので、空中に向かってお願いしてみたら目の前にウィンドウが出てきた
『復活条件 現在のエリア内にある金のペンを探しだし、ここに届ける』
金のペンと思われる写真付きのメッセージを読み終えたら復活許可証という物が目の前にひらひらと降って来た。これってつまり……
「この金のペンってアイテムを探し出して持ってきたらここにサインしてくれて復活すると……行ってきます!」
復活させたい人を復活させるにはペンを探し出す事が必要。それなら私のサブジョブが役に立つ!
「まさかこんな所で役に立つとは思わなかったなぁ……」
私のサブジョブは【捜索隊】。正直戦闘で使えるモノではないが、落とし物探しや人探しなど、何かを探す事に関してはかなり使える。但し、探すアイテムの外見等を知らなかったら探せない。このサブジョブはギルドの探し物クエストや人探しクエストとか何かを探すクエストを何度も何度も連続で受けてクリアしていたら入手したある意味ちょっとレアなジョブだ。ただ、今回のイベントでは使えると思ってそのまま変えずに来たけど、魂の欠片は1つは自力で見つけないと【捜索隊】の【捜索】が使えないし、この魂の欠片は入手したら体の周りを浮くから戦闘が得意ではない私が大量に魂の欠片を持っていたら的にされたり、囮にされるかもしれなくてほとんど集めていなかった
「でもこれなら!」
捜索対象は分かっている。【捜索】を使えばある程度探したいモノがある方角が分かるし、そのアイテムに近付いていくと、その方向から軽い振動の様な物を感じるので、振動を頼りに探していく。この能力現実でも欲しいなぁ
「本当にあの人追って来てない?」
【捜索】を使用して反応のあった建物の中に入ってきたが、本当にあの人は追ってきていないのだろうか?単純に弄ばれているだけなのではないだろうか?トーマきゅんを復活させたいけど、探し終わった後あの建物の前で待っていたり、実は既に建物の中で待っていたりするのではないだろうか……そんな不安の中、とりあえず金のペンを探す
「多分、誰も居ない……金のペンは……2階かな」
反応的に上から反応があるので、2階の何処かにあるはずだ。必ず探し出す!
「あっ!あった!」
2階に上がり、部屋の真ん中に置いてある机の上に金のペンが設置されていた。これを持ってさっきの所に戻れば復活させられる!でも帰りも注意しないといつあの人が急に目の前に現れるか分からない……慎重に進まなければ
「普通に辿り着けちゃった……もしかして私よりも捕まえなきゃいけないような人達でも居たのかな」
ここまで普通に建物に行って、ペンを取って帰って来るまでに誰とも会わなかった。私以外に誰かがあの人のターゲットにされてそっちを追いかけているからこっちに来なかった……楽観的だけど、そんな気がしてきた
「これで、お願いします!」
でも、今はそんな事はどうでも良い。トーマきゅんを復活させるのだ。金のペンを掲げると空中で許可証に金のペンで「トーマ」と名前が書かれていく。金色の文字で書かれた許可証がひらひらと落下して地面に着地したその時、煙がボフンと出てきた
「けほっけほっ……あ、ありがとうございます!復活させてくれて」
目の前にトーマきゅんが居る!アイドル追っかけとかした事ないけど、もしかしてこういう気持ちなんだろうか?
「い、いえ!こっちが一方的に復活させただけなので!」
「それでも、もう一度チャンスを貰えたのであなたの為に頑張ります!」
はぁぁぁ……結婚か?これはもう結婚するしかないか?
「……しっかり自制心を持て、ここで手を出したらもう二度と会えなくなるぞ」
「どうかしました?」
「ぐはっ!」
その小首をかしげるのかぁいい過ぎるだろ!
「……いえ、なんでもありません。頑張って脱出目指しましょう!」
「はい!今は自分だけなので、どうしても隙が多くなってしまいますが、頑張ってお守りします!」
「好きが多くなってしまう……」
もうこれだけで復活させた甲斐がある。やっぱ男の子は最高や……