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77/2001

四剣の王

「おぉ!本当にやって来たな!」

「見た感じブチ切れしてるっぽいですけど大丈夫ですか?」

「今ので【挑発】スキルを入手出来たから私としてはグッドだ!」

 挑発したハスバさんと戦闘に入ったけど効果が出る【戦場に潜むもの】のお陰か僕の方を見る奴は1体も居ない


「何か1つステータス上げるならどれが良いですか!」

「そうだなっ!出来ればっ!AGIが上がればっ!助かるかなっ!」

 4体の攻撃を1人で避けているハスバさんに何のステータスが上がれば良いか聞けばAGIを上げろと言ってくる。あの状況でステータスを急上昇させるのも危ないだろうし、ハスバさんには【オプティアップ AGI】を掛ける


「おっ!少し動きやすくなったな!」

 ついでに剣持ちの4体に【オプティダウン AGI】を掛ける


「ん?動きが遅くなった……」

「とりあえずそのままヘイトお願いしますねー」

「あぁ、このくらいならなんとかなる!」

 4体を相手に両手の苦無を使って剣を弾いたり、上体を逸らしたりして躱していく。やるなぁ?


「はっ!」

 大剣持ちゾンビがハスバさんに大振りの上段斬りを放とうとしているそのタイミングでそいつの背後から心臓を狙った貫き手を刺し込む。ゾンビだったからなのかそのまま腕が貫通して手には赤いポリゴンの塊が握られている


 ゾンビがガランッと大剣を落とし、貫いた心臓(赤ポリゴン)を握り潰すとそのまま倒れた。あれ?意外と弱い?


 衝撃的な攻撃で1人やられたのを見た3体はこっちを向く。だが、武器持ちを相手に背後を晒すのはどうかと思うな?


「隙あり!」

 ハスバさんに背を向けた3体は苦無によって首を刎ねられる。カランカランと武器を落としてあっけなくゾンビ達は4体とも倒れた


「なんだ?まさかこれで終わりか?」

「あっけなさすぎる気がする……」

 あのあからさまにボスが居ると言わんばかりの扉を開けて中に居たのは4つ玉座とそこに座る4体のゾンビ。これで終わるのはおかしい気がする


「とりあえず玉座でも調べてみますか?」

「そうしよう」

 とりあえず玉座に座っていたから王ゾンビ?を4体倒したから玉座に近寄ってみようとする


「待て!ハチ君!」

 ハスバさんの声を聞いて立ち止まる。すると、倒した奴らの武器が宙を舞い、地面に転がっていたゾンビの元に飛んでいく。そして倒れていたゾンビが手を上げて飛んで来た武器を掴む


「「「「オォォォォ!」」」」

 4体のゾンビが立ち上がり、武器を構えて玉座の前に立つ


「これって、まさか……?」

「全部倒さないと終わらないのか!?」

 ここには山の様に積み重なった動かないゾンビが()()。これを全て倒すのはとてもじゃないが倒しきる前に集中力は切れて4体に囲まれ、倒されてしまうだろう


「「「「我ラ、四剣ノ王」」」」


「喋った?」

 玉座の前に立ち、剣を上に掲げてゾンビ達が口を揃えて喋り出す


「「「「勇気アル者ヨ、オ相手シヨウ」」」」

 そう言い放つとそれぞれが剣を構え、こっちに向かってくる。今度はハスバさんだけじゃなくて僕の方にも大剣とエストック持ちがやって来た


「おっと、今度は僕も相手しなきゃダメか」

「これからこのゾンビ達を全て倒さないと終わらないだろう?ならば慣れるしか無い!」

 ハスバさんが長剣と短剣持ちのゾンビと戦闘を開始する。そして僕の方にも大剣とエストック持ちが向かってくる


「なんだろう……この違和感」

 ボス戦のハズなのにゾンビは今まで倒していたダンジョンを徘徊していた奴と変わりない。ただ、残っている物量が凄い。本当にこれで合ってるのかな?




「そりゃ!」

 18体目の大剣とエストックコンビの攻撃を躱して倒した直後、なけなしの1Gを玉座に向けて【投銭術】で投げつける。ここまでゾンビ達を倒した直後、剣が宙を舞い、他のゾンビがキャッチした後に玉座の前に立つからこれは本体がゾンビじゃなくて護られている玉座が実は本体なんじゃないか?と思って投げてみた


「……違うか。くっ!?」

 特にゾンビが動きを止める事も無く、エストックが突きで迫って来たので横に避ける。そして背後から迫っていた大剣に対処しようとする……だが、エストック持ちは横に避けた僕に対してそのまま突きから斬り払いをしてきた。僕の動きを読んで躱される事を前提にした突きだったようだ……腹部を切られた。赤いポリゴンが出て、僕のHPも5割持っていかれた。その場で立ち尽くすと大剣に斬られてしまうので転がって大剣の範囲から抜け出す。【パルクール】が良い仕事をしてくれる。ゾンビ達と距離に余裕が出来た


「斬られるって結構痛いね……」

 感覚100%だから実際に斬られた時と同じ痛みを今、感じている


「でも、お陰で集中力が戻ってきたよ」

 お腹を斬られて自分の集中力が切れていた事を思い知った。ボスなのに雑魚ゾンビだと侮っていたんだ


 エストックなんだからレイピアと違って突きだけじゃなくて斬る事も出来るんだ。相手が弱くても油断しちゃいけない。戦闘の基本だ


「よし!来ーい!」

 回復なんか必要無い。自動回復もあるけど次喰らったら僕は死ぬ。その緊張感こそ今は必要だ


 大剣とエストックが僕の前後から同時に攻撃を仕掛ける。片方は見えてももう片方は見えない。そうなれば対処出来るのは片方だけだろう


「【リブラ】 DEFtoDEX」

 防御を50%下げ、技量を50%上げる。ボス戦に入った時はINTを下げてDEXを上げていたけど、時間切れで効果が切れていたのでDEF下げで再発動する。自分が喰らったら確実な死が来る状態にする事で更に集中力が上がる


 縦振りと突き。それが同時に僕に当たりそうになる時に受け流す


 体の向きはゾンビ達に対して横向きになり、右から振り下ろされる大剣の刃に右手を添えて僕の体の前に振り下ろす様に、左から迫る刺突は左手で僕の背後に流れる様にそっと手を添える。視界の隅だろうが僕の目は視界に入っている限り、端でもしっかり見える。世界がスローになっている状況で剣に付いている傷まで見えるくらいだ……ん?


 僕の体は自然に反時計回りに回転しながら大剣とエストックを握り【ディザーム】を発動するとゾンビから大剣とエストックを奪い取った


「重っ!」

 エストックは持てたけど大剣は重くて落としてしまった。流石に片手で大剣は持てないや……地面に転がる大剣と手に持っているエストック。その刀身をよく見れば顔があった


「ハスバさん!この剣が本体です!」

 四剣の王。その正体はゾンビでも玉座でも無く、剣そのものがボスだった



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