半分だけ
「まぁ普通にただの軍人スタイルでも問題無いし、そのまま走って追いかけるか」
色々やったけど、やっぱり本格的に捕縛を考えたら軍人スタイルで走って追いかけるのが一番かもしれない。魅了を使う女軍人スタイルでも良いけど、ヒールブーツだとやっぱり本気で走る時にはちょっと辛い
「そうだ!あーでもそれなら黒ローブの方が良いか?」
追いかける姿を一つ思いついたけどこれをやるのなら今後のイメージ的問題も含めて軍人の姿よりも黒ローブ姿でやった方が良いかもしれない
「ポン君、ここをこうして、ああして……」
「出来る」
テアトルクラウンの服からローブに戻して思いついた事がポン君に出来るか聞いてみたらオッケー出たのでいってみようやってみよう!
「さて、ここまで来たからには鍵1つと言わずに、2つ3つ作って脱出し、完璧な勝利で行こう。その為にはやはり彼を越えなければならない。因みにガチ宮とグランダは既に捕まった」
「いやー、ハチさんやっぱり凄いですねぇ?最近は動向をあまり追えていませんが、やっぱり規格外ですね」
「ヒャッハー!あたりめぇだ。そもそも規格外の一言で片づけるのはちょっと乱暴だぜぇ?」
ジェイドとチェルシー、そしてダイコーンが行動を共にしていたが、肉林エリアと遊び場エリアは既に魂の欠片を3つずつ集めていた。脱出の為には1つずつで充分だが、鍵を複数集めた場合に貰える限定アイテムが気になる。その為に信用出来る実力のある人と共に行動し、時に守り、守られながら魂の欠片を集めた。そしてここが最後の正念場だろう
「とりあえず、今までと同じ様に捕縛者は【ディスタンスバリア】でノックバックで弾き飛ばす事が可能。これが使えればハチ君でも弾き飛ばして魂の欠片を集める事も可能だろう。背後から来る敵とかは頼むぞ」
「ええ、分かりました」
「良いぜぇ?まぁ俺達に出番があるかは分からないがな?」
そして実はもう一人頼れる仲間が居る
「おーほっほっほっほ!この私に任せとけばいいですの!」
そしてもう一人。魔法銃を扱うレイカだ。彼女はNPC捕縛者を魔法銃でノックバック効果のある射撃で遠ざけながら魂の欠片を集める手法を取っていた。ジェイドがブロックし、レイカが退ける。2人の相性が良いので、ダイコーンとチェルシーはほとんどやる事が無い。ダイコーンはいざという時に、バイクを取り出してサイドカーにメンバーを詰めて逃げる足、チェルシーは注意を惹いたり、周辺警戒が主な役割なので戦闘になると近接のアタッカーである2人は出来る事が無い。無理に戦闘しようものなら捕縛者に捕まってしまう可能性が高いので、接触しない防御法を持っているジェイドと遠距離攻撃でノックバックが使えるレイカは戦力としてかなり強い
「頼りにしてるぞ」
「今まで通り、邪魔する奴はぶっ飛ばすですの!」
「ヒャッハー!今まではこれで何とかなっていたが、これからも通用するとは限らねぇ。油断だけはするなよ」
「一応、索敵はしますが、私だって捕まりたくはないので、いざという時は頼みますよ?」
即席のパーティとしては充分に役割分担が出来ているのでこのメンバーで大劇場エリアに足を踏み入れる
「よし、油断せずに行こう」
「あぁ……」
「可能であればハチさんに会いませんように」
「集める物集めたらさっさとずらかるですの!」
前回のイベントではコテンパンだったから、今回は勝ちたい者。相手の力量が計り知れないので、慎重に動く者。最近は人間がついて行ける所じゃない場所に行くせいで詳細な情報が集められなくて、現状の相手の強さが分からないので、近寄りたくない者。色々な思惑が混じりながらいざ決戦の地へ!
「おやまぁ、これは見知った顔触れが来ましたねぇ?ですが流石にこれは可哀想ですから見逃しましょう」
「「「「うわっ!?」」」」
エリアを移動した直後、例の人が他の人を追いかけていた。確かにエリア間ギリギリの所に立たれたらどうしようもない。ガン待ちで捕まえられたらどっちにとっても面白くないので見逃してやるとの事だが……その前にその姿に説明が欲しい
「あの……その姿は何ですの?なんか中途半端な姿に見えるんですの」
レイカが皆が知りたい事を聞いてくれた。現在のあの人の姿は、左半身は普通の姿だが、右半身は腕の代わりに、黒くて太い触手が伸びていたり、顔も半分だけ、目が増えていたりしているので、体の半分だけ暴走……あるいは覚醒しているみたいな状態になっている。この状況で正気を保っている言動しているのだから、あの状態の彼に追われたら防げない。逃げられないと思ってしまう
「あぁ、これ?皆さんを捕まえる為にちょっとだけ本気を出そうかと」
あの半身化け物の状態がちょっとだけ本気という時点で、ガチになったら化け物に変わると言っている様な物だ。逃げられる保証は何処にもない
「こ、今回は退かせてもらうよ……」
「じゃあまた後でどうぞ。その時は歓迎しますよ~?」
「こんな怖ぇ歓迎初めてだぜぇ?」
「ちょっと見ない間になんか凄い事になってませんか……?」
「アイツはそういうモンだぜぇ?」
エリアを越える事は無いとはいえ、今の状態はお互いに良くないのでジェイド達はエリアを戻り、ハチ君は別の逃亡者を捕縛しに向かった




