カミングアウト準備
「おい、キャティ」
「うへっ!?きょ、教官!?」
「ちょっとこれを持っていてくれ」
「は、はい……」
これと言いながらキャティ君にニクリウスさんを渡した
「おい…これとは扱いが酷いぞ…」
「えっ……今どこから」
「今持っているだろう?」
「えっ!これですか!?」
「これと言うな…」
ニクリウスさんが若干不機嫌気味に言うが、正体を知らなかったら大体誰でも最初は同じような反応だと思う
「あまり失礼な態度はとらない方が良いと思うぞ。レナーグ殿が神だと言ってた存在だからな?」
「あわっ、あわわわ……」
「お、お、お、落とすなよ…?」
この2人を見てるの面白いな?落とさないように緊張してぷるぷるしているキャティ君と落とされない様にしてるけどキャティ君の手の震えが伝わってぷるぷる震えてるニクリウスさん。後ろからキャティ君の肩をトントンと叩いたりしたらニクリウスさん落としちゃうかもしれないな……
「自分達の創造主と出会えるだけでは無く、その創造主を持つ事が出来るなんてまず経験できないぞ?貴重な体験だな?」
「いや、いやいやいや!もう緊張し過ぎて訳が分からないですよ!」
「仕方がない。では持ってやろう」
このままだとダメそうだし、ニクリウスさんを回収する
「あの、戻ってきたのは良いんですが、いったいどうなっているのか説明してもらっても良いでしょうか……」
「このニクリウス殿が煙の力を皆に与えてくれてた存在。そしてニクリウス殿の記憶から作られたのがお前達だ。そして地上に行く許可も取れたからこれからは記憶を奪うのではなく、地上に行って学んで来ると良いだろう。ここの地上は学園などがあるからしっかり勉強すればそういう所にも行けるんじゃないか?」
「地上に行っても良いんですね!……あれ?今なんか凄い情報が途中にあったような」
会話の間に挟んでみたけど、自分達の出生の秘密みたいな物を知るってどういう気分なんだろうか
「よし、それではキャティ。新しい任務を与える。ここに人を集めてくれ」
「皆に伝えるんですね!分かりました!」
人に認められるって嬉しいもんなぁ……キャティ君も褒められたいからか最初は暴走してたけど、僕が頼りにしたからか、少し落ち着いて話を聞ける様になった。キャティ君の事を褒めて伸ばせばあの身体能力を活かしてその内密偵とかでもなれそうだな……
「集まり次第、ニクリウス殿を紹介して自分達の出生を知ってもらう。そして、全て説明して自分達がどういう存在なのか理解出来れば、自分達で地上でどう行動するのかの指針になるだろう」
「本当にどうしてそこまでしようとするんだ?」
「迷惑を掛けられたと言ったが、俺の周りに被害に遭った奴は居ない。ここに知り合いが居た訳でもない。ここの奴らが地上に出て来ても、出てこなくても別に問題はなかった……でも、ここに来て、話を聞いていたらお節介を焼きたくなった。それじゃあダメか?」
お節介としてやりたくなっちゃったから介入しちゃった。包み隠さず言うのならこんな所だろうか?
「お節介でこんな事をするとは…変わっているな」
「よく言われる」
適当にニクリウスさんとお話しながら人が集まった時に聞きやすいようにするために、また道路の真ん中にテーブルとかを用意する
「話が纏まったとは本当ですか!」
「俺達は結局どうなったんだ?」
レナーグさんとギルバさんが先頭になってお互いに仲間を引き連れてやって来た。キャティ君、ギルバさんの方にもちゃんと声かけて来たんだな。偉いぞ
「集まってくれて感謝する。まず、リーダー2人に聞きたい。封印していた扉の先に何があるのか知っているか?」
ニクリウスさんはテーブルの上に居るけど、聞いてみる。知っているのか知らないのかでこれからの会話をどうするかの指針にもなる
「あの扉の先は……」
「何かの胃の中みたいな場所で声が何処からか聞こえる。そういう場所だ」
「我々が安易に踏み込んで良い場所では無いと思った為、封印していました」
まぁ確かに、僕も空島にあんな一面肉で出来た部屋とかあったら鍵かけて封印するかもしれない
「その部屋の主をここにお連れしている。紹介しよう。ニクリウス殿だ」
「「なっ!?」」
テーブルの上に居るぷよぷよした物が封印されていた存在だと言ったら2人とも凄い顔をしていた。そりゃあ封印していた者に話を付けてきたと思ったらその封印されていた奴を連れて来るとは思っても居なかったんだろう
「ニクリウスだ…お前達の生みの親である」
「簡単に説明しよう。こちらのニクリウス殿が煙の力を授けてくれていた存在だ」
「「「「「このぷよぷよした物が……」」」」」
ごめん、ちょっと吹き出しそう……
「貴様ら全員我と同じ姿にしてやろうか…」
「抑えてくれ。ニクリウス殿は姿形を自由に変えられる。お前達が人型と獣人型に別れているのはニクリウス殿の力によるものだ。その気になればどちらかの姿だけにする事も可能だぞ」
出来るか分からないけど、ここは脅しも兼ねて言ってみる
「あまりに失礼な態度なら…やるぞ?」
「「「「「ひえっ……」」」」」
とにかくこれで話も進みそうだ