表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
746/2000

ニクリウス

「ここを通れば地上に行けます。本来ならここで記憶処理を施す物ですが……今回は省いてあります。そういえばそちらの方は……」

 キャティ君が連れてきたのはレナーグさん。地上に行ける物なのか、なんか空間に渦巻き?みたいな物が現れた。これで地上に行けるんだな?というか本来ならこれを潜る時に記憶がぶっ飛ぶのか。それをレナーグさんが記憶が飛ばない様にしてくれると


「この方はレナーグ殿達が封印されてた方だ。地上を自分の目で見てきて、皆が地上に出て良いかどうかを判断をするそうだ」

「へっ!?」

「では行かせてもらう」

「ちょっ!?」

 レナーグさんの返事を聞かずに渦巻きを越えて地上に戻る




「なるほど、この辺りか【ヴァルゴ】」

 渦巻きを通ったら、大通り手前の路地に出てきた。【ヴァルゴ】も掛けたし、これならすぐに大通りに出る事が出来るが……このまま大通りに出ても良いのだろうか?


「どうする……一度あそこを目指すか?」

 一旦、ダンさん達とコーヒーを飲んだあの店に行ってみるか?場所は覚えてるし、もしかするとあそこならまたダンさん達と会えるかもしれない


「何処か寄りたい場所等はありますか」

「ん、そうだな。今の所どうしても見たい所は……あの時計塔だろうか。上からなら色々と見えるだろう」

「了解しました」

 こっちが行きたい所に先に行っても良いけど、聞いてみたら時計塔が見たいというので、先にそっちに行ってみよう。多分、時計塔というよりそこからの景色が見たいと言う事なんだろうけど




「どうでしょう」

「街は清潔、人も多く活気に溢れている。学生も多いな?学ぶ地盤が固まっているのか……あれは飛行船か。技術もありそうだ……」

 塔の上から街を観察しているのを横から見ているが、別にこっちに質問をして来るという訳でも無さそうだ。質問されてもどう答えるべきか分からないけど


「問題はありますか」

「奴隷は居ない様だな」

 そっか。地下街の人達が奴隷にされたり利用されたりする可能性を恐れていたんだっけ


「悪いように捉えないで頂きたいが、地下街しか知らぬあの者達は労働力になればこの街なら良い程度。知識が無ければ誰も見向きもしないと思うが……人攫い程度なら倒せるくらいの戦闘力はあると仮定しても、この街で彼らに悪い事はそうそう起きはしない。それこそ、この街で暮らしている者が困っている事があれば、彼らも同程度に困るくらいの物だろう。彼らだけが苦しむ事があるとすれば、こちらでの常識を知らない位では無いか?それでも地上に出すのが心配であるならば、それはただの親が子供の独り立ちを心配しているのと変わりないと思うが」

 多分、都会で住む子供がちゃんと一人で暮らしていけるか心配って言ってる地元の親みたいな心境なんじゃないだろうか?それで自分の所を離れて欲しくないから地上に出さない様にしていると


「そう…か。子離れ出来ない親か…くくく、まさかそのような事を言われるとはな」

 ちょっと楽しそうにしながらも遠くを見ている。長身イケメン軍人がそんな事すると様になってるんだよなぁ……くそぅ


「心配な気持ちも分かりますが、必要以上に縛り付けずに、彼らを生み出した親であるならば彼らを送り出し、傷付いた時に帰れる場所を残しておく方が大事なのでは?」

「傷付く事を避けられるのなら避けた方が良いでは無いか」

 確かに、失敗は避けられるのなら避けた方が良いだろう


「失敗し、傷付く事でも成長出来ます。その傷付いた時に心休める場所が有るか無いか。その有無で壁にぶつかった時に乗り越えられるか、挫けるか……その機会を与えるも奪うもあなた次第なのです」

 地下街の彼らにとっては親みたいな物だし、地下街に皆を拘束するよりもいつでも帰って来る事が出来る場所にする方がお互いにとって良いと思う


「あいつらの成長の機会を奪っていると言いたいのか?」

「はい。奪っています」

 ここは直球で言うべきだろう。回りくどいと伝わらないかも


「ふっ、ここまで真っ直ぐ言われるとはな……」

「今のままではお互いの為になりませんから」

「どうやら我は傷付く事を恐れ過ぎていたようだな……この身は傷付いても再生すれば良いが、心が弱かったようだ。そういえば名前はなんだったか?」

 外での呼び方は決めたけど、これは使わないかもしれないな


「ハチと申します」

「ニクリウスだ」

 名前を告げて右手を差し出してみたら握手して名前を教えてくれた。距離感が少し縮まったかな?


「一応街中も少し歩いてみますか。どのような人が居るのか見ていった方が良いかと」

「ああ、我が居た時代とはかなり違うみたいだからな」

 地下街という隔離地域の更に奥に封印されていたら外の世界の変化に疎くても仕方がないよね




「おい、なんだあれ……」

「あの軍服って…確か、例のあの人と一緒の物じゃね?」

「前のイケメンは……でもあの人とは違うんじゃないか?」

「後ろの女軍人……めっちゃ踏まれたい」

「「「分かるー」」」

 どうしよう……街中に来たのめっちゃ後悔してる



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ニクリウス氏の不安が多少なりとも払拭されたようで良かった。 それはそれとして絵面が幸せである(〃ω〃)
[一言] 軍服のアルカイックスマイルのイケメンと同じ軍服の女性版ハチ君…なんだろうハチ君が軍帽に片目眼帯に色付きのいい唇にピンヒールブーツ履いて乗馬鞭持ってるイメージが出て来たwww
[一言] 注目の的になるのは運命。仕方ないね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ