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口先暴君

「さて、それでは話し合いをしようか」

 席を用意して2人を座らせたら【アビスフォーム】を解除した。僕はあのままでも普通に話せるけど、2人が会話する為には極度の緊張感ではなく、適度な緊張感にする為にも姿は戻しておいた方が良いだろう


「ここに居る全員が証人だ。ここでの会話に嘘は許されない」

 2人に向けて嘘つくなよ?と威圧しておく


「もちろんだ。元より嘘を吐くつもりは無い」

「私もそのつもりです……」

 うーん、裏切り行為に対してショックなのか、それとも後ろめたいからなのか、レナーグさんはちょっと煮え切らないな


「まずは、お互いが袂を分かった原因は何だ?」

 僕もまだここの事情は完璧に把握はしていないから話を聞いてみよう。原因が分からなかったら解決のしようも無い


「「方向性の違いだ(です)」」

 解散するミュージシャンかな?


「ではレナーグ殿からまずは話を聞こう」

 一応ちょっと悪い事した気はあるから先に話す権利を与えよう


「は、はい!我々はここをより良い場所にする為に地上の人間を招き入れ、帰還させる時に知識を少しだけもらい、学ぶという安全な手法を取る為に危険なギルバ達と敵対する事になりました……」

「そうか」

 なるほどねぇ?やっぱり見せてもらうの他に少し知識を奪ってたみたいだな


「ではギルバ殿はどういう考えだったのか聞こう」

「はい、我々は地上から来た人間の知識や記憶をその人間から抜き出し、その知識を利用して一気にここをより良くする手法を取ろうとしてレナーグ達と敵対しました。勿論、地上の方に迷惑を掛けているのは重々承知ですが、犠牲になる方を最小限にする為にはこのような方法しか……」

 あれ?これってつまり、数人記憶を失う事にはなるがそれで犠牲が終わるって事か?いやいや待て待て。それで納得するのは良くない


「ではどちらも我々に危害を加え続けるつもりだと、そう言いたいんだな?」

 怒ってますよアピールで深淵触手を出す


「い、いえ……そういう訳では」

「今の我々ではそうするしか……」

「そうか……では聞くが、貴様らはコイツとコイツが記憶を失ってもどうでも良いという訳だな?」

「「なっ!?」」

 一番近くに居たギルバさんサイドの子供と、キャティ君を触手で捕まえる。子供を人質に取るのは最低だとは思っているが、考えを改めさせる為にはこれくらいするべきだろう


「ひっ!」

「な、なにをするんですかっ!?」

「いいか、貴様ら2人は親の事を忘れても、家がどこにあるか忘れても、自分自身が誰なのかを忘れても、こいつ等は自分達さえ良ければお前らの事なんか他人だからどうでも良いと言っている」

「「えっ……」」

「「「「「…………」」」」」

 まぁそこまで実際に言ってはいないかもしれないけど、こういう事をしていると理解して欲しい


「貴様らは大義の為かもしれんが、そのせいで消される未来について考えた事はあるのか?例え、少しだとしても記憶を奪う事で未来への可能性は大きく消える。ここに連れてこられて、命を落とせば未来その物が無くなる。知らない奴の意志で勝手に連れてこられて、我々の大義の犠牲になって光栄に思え……もし少しでもそんな事を考えているのなら貴様らが今まで積み重ねてきた記録であるこの街を全て破壊されても何も文句は言えまい。俺が言わせない」

 とりあえず一度子供2人を降ろしてその辺の軒を支えている柱を触手で破壊する。まぁこのくらいの破壊ならすぐに修復は出来るだろう。でも自分達は無傷で相手は傷付いても良いって考えは良くないよねぇ?


「何か言いたい事はあるか」

「「……」」

「貴様らが改善せねばならない事だ。今までは問題にならなかったからと言ってこれからも問題にならない訳では無い。このまま続けるというのであればこの街は全て破壊し、生きている奴らも全て殺す。そうすれば俺は問題を全て解決出来るからな?自分達の為に他人はどうなろうと関係無いのだろう?」

 完全に暴君です。はい……そんな事絶対にやりたくないよ……というかこれで自分達がやっている事がどういう事か分かってなかったらどうしようもないよ?


「申し訳ない迷い人殿。我々は今までとんでもない事をしてきた。虫の良い話は承知で頼むが、どうか俺一人の首で勘弁してくれないか」

「ほう?」

 まさかのギルバさんからお願いされるとは


「ギルバ!?何を!」

「元を正せばここでの生活を豊かに、より良くして守る為に知識を欲した俺の責任だ。だからこいつらには手を出さないでくれ。俺に家族は居ない。コイツには、レナーグには息子が居る。息子には親が要るだろう?」

「……いや、私も親として責任も取れない姿は見せられない。キャティ。辛い思いをさせるのを先に謝らせてくれ……迷い人様。私の首を差し出します。愚かな方向に皆を導いてしまった私が責任も取らずにのうのうと生きる事は出来ません。ギルバでは無く私の首でどうか!お願いします!」

「お父さん……」

「レナーグ……」

 首でお願いしますじゃないんだよなぁ……


「「「「………」」」」

 邪魔するなって威圧していたからか周りから妨害は受けないけど、もう勘弁して欲しいという雰囲気は感じる


「感動ごっこなら他所でやってくれ。俺はこれからどう改善するのかを聞いているんだ。貴様らの首には何の価値も興味もない。死んだ奴の首よりも生きてどう改善するのか案を出せと言っているのだ」

「「うっ……」」

 自分の首に価値も興味も無いって言われたら凹むよなぁ……そもそも覚悟を決めた事をごっことバッサリ切られたら間違いなく凹む。でも実際に死んで罪を償うじゃ駄目なんだよなぁ。人を連れてこないの解決になって無いし


「俺は確かに言ったはずだぞ。話し合いだと。そもそも死ねば責任が取れる奴などここには居ない。死に追いやった事で他の誰かが復讐に来るだけだ。そんな面倒事を作るより貴様らの考えを改める方が先だ」

「「迷い人様……」」

「そもそもだが、貴様らが外に出て学べばすぐに済む話だと思うが」

 まずここから出て外の世界を見てくるのが一番手っ取り早いと思うんだけど……


「それは……出来ません」

「あぁ、俺達はアレに束縛されてここから出る事が出来ない」

 おや?何か話に進展が出てきたぞ?



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― 新着の感想 ―
[一言] ほほ~?続けて続けて?
[一言] ここにしかない物をプレイヤーに渡してその代わりに地球のことか、ゲーム内のこと話してもらやぁいいでしょ
[一言] やっぱり彼らが外に出られない原因があったかぁ 破壊か機能停止すれば出られるようになりそうだけど、もしそれが地下街の維持も兼ねているとしたら厄介ですね
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