話し合いの機会
「話し合いの……機会?」
「どちらかのリーダーを捕縛したら争いが終わると言っていたが、それはつまり捕まった側が捕まえた側の言いなりになると言う事だろう?そんな解決法じゃどうせすぐにまた問題が起こる。それで地上に影響があった場合は貴様ら全てを殲滅する」
称号【無貌の黒幕】の特殊スキルである【恐怖圧】を発動して周りの獣人達に本気だと思わせる。その気になってもらわないと話が進まないからね
「「「「「っ!?」」」」」
「では行こうか」
「ど、何処に行くんですか!?その前に父さんを離して……」
身体強化をして両脇に2人を抱えて行こうとしたらキャティ君に止められた。【恐怖圧】に頑張って抗っているし、これは素直に褒めるべき事だろうけど、それとこれとは話は別だ
「話し合いをする為に必要だから解放する訳にはいかない。すまないなキャティ」
そのまま2人を抱えて拠点から出て行く
「……貴様らの未来を決める話し合いだ。見届ける事くらいは許してやろう。まぁ奴らは来るだろうと言う事だけは教えてやる」
【恐怖圧】を解除してついてくる事を許可する……というか、ついて来てもらわないと困るんだよなぁ。向こうのギルバさんが座ってた所に置き手紙として「リーダーは預かった。話し合いの場に可能な限り集まれ」的な事を書いてきたので、多分向こう側の人達は沢山居るだろう。こっちもある程度人を連れて行かないとね?
「ボクは行きます!」
一番にキャティ君がついてくる宣言をした。1人ついてくると言えば他にも来ると言う人が出て来る訳で……
「い、行くぞ……俺達が見ていれば多分レナーグさんには手は出さないハズだ」
「私も行くわ!」
「俺も!」
良い感じに釣れた。ぞろぞろと後ろから来てくれるからこれで何とか話し合いに持ち込む条件は揃いそうだな
「2人には悪いが、しっかり話し合って今後の事を決めてもらう。勿論、そちらにも事情があるようにこちらにも事情がある。だから実際には2人の話し合いでは無く、俺も交えた3人での話し合いになるが、構わないな?」
「分かった」
「分かりました……」
裏切られたみたいな形になったレナーグさんは凄く不安そうだ。ギルバさんはほぼ抵抗していないから僕の考えに気が付いているか、単純に殺される覚悟が決まっているのか……ちょっと分からないな
「騙し打ちみたいな事をしてすまないなレナーグ殿。片方を捕まえたら戦いが終わりと話を聞いた時点でこのまま問題が起こらないでそのまま終わるとは思えなかったからこの様な荒事をした。それに関しては謝罪する」
「いったい……我々をどうするおつもりか。聞かせてもらう事は可能なのか」
ギルバさんの方は捕まった時に覚悟が決まってるからか、割と踏み込んで聞いてくるな
「どうするも何も、今の状況ではこちらの人間が迷い込んだら記憶を失う。あるいは廃人にされる危険性がある状況を改善させるまでだ」
出来ないとは言わせないよ?
「仮に……仮にだが、その案は許可出来ないと言ったら……」
「その時は貴様らを殲滅するだけだ」
「「……」」
どっかの伝説のスーパーサ〇ヤ人みたいな事を言ってしまってるけど、これでも反対してくるのならそれはもうリーダーの器では無いと思う
「迷い人様、どうしてこのような事に……我々には理解を示していたハズでは」
「確かに、学ぶというやり方は認める。だが、こちら側に人が迷い込むように仕向けているのではないか?」
「それは……」
心当たりあるんかーい!適当に言っただけなのに本当に何かあった場合はこっちが困るんだよ……というかやっぱり何か隠してたな……?
「我々も、知識を学ぶ為に人を連れてきます……ですが、危険に遭わない様に可能な限りすぐに迷い人を回収して知識を学び次第帰還させています!」
こっち側がそもそも人を連れてこなかったら済む話かぁ……これは下手すると話を纏めるの大変になるかもしれないなぁ
「とにかく行くぞ。こんな所で会話しても意味が無い」
この3人だけで会話をしても何も変わらない。周りに証人がいる中で会話をしないとね
「来やがった!奴が……」
「ギルバ様!」
「アイツも居るぞ!」
「ふざけた奴め!」
おぉ、思った以上に集まってくれてるなぁ?これは証人が多くて良いかも
「奴らだ……」
「あんなに居たのか……」
「やる気か?負けねぇぞ!」
「いつでも戦闘出来るように構えておけ!」
うわぁ、バチバチだぁ……
「騒ぐなウジ虫共!ここは会議の場だ。邪魔をする奴は前に出ろ。頭を捩じ切って黙らせる【アビスフォーム】」
2人を抱えた状態で【アビスフォーム】を使ったので、両手にビクッと驚いた感覚があった。そりゃあ持っている人が急に化け物になったら持たれている側は怖いよなぁ
「「「「「へっ!?」」」」」
「話ヲ聞かナい奴ハ、頭を潰スか、引き千切ルト言ッタ。黙って話を聞ケ」
いやぁ、こういう時の【アビスフォーム】は本当に素晴らしい効果を発揮するなぁ?敵対してるだろう人達を皆黙らせた。人質も良い感じで働いているし、僕も悪役ムーブが止まらないなぁ……
「ソコニ座れ」
「「は、はい!」」
近くのお店っぽい所から、触手を使って机と椅子を持ってきて、道のど真ん中に設置する。ここから大事なお話タイムだ